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【あわもと高等学校:1限目】登校、鳴らなかったアラーム。
この作品は、”淡本町私立淡本中学校”のIF世界線であり、
本編の世界線とは別物です。本編に繋がる伏線などはありません。
いっけなーい!遅刻遅刻!
食パンを咥えながら走る私は、さながら少女漫画の主人公。
...そんなことを考えている場合ではない!
わたしが学生であったら許された日常のひとコマかもしれない。
だが何を隠そう、わたしが教師なのだ。
いつもは時間通りに起きれていたのに、なぜか今日だけ
設定したはずのアラームが鳴らなかった。
唯一の仕事すら果たせない無能なアラームに憤慨しながら、
とりあえず食パンを咥えて家を出た。
そして今に至るというわけだ。
教師が遅刻だなんて、そんな情けないことができるはず...
そう考えていると、うちの高校の制服が見えた。
今日の私と同じ時間帯に登校とは、この子も遅刻だろう。
さて、知っている生徒だろうか。
目を凝らして見てみると、それがわたしのクラスの生徒だと分かった。
「こ、校長くん!?遅刻しちゃいますよ!!」
「あっアサ先生、先生も遅刻ですか?」
「ちがっ、いや合ってますね!アラームが鳴らなかったもので!
ほら走ってください!一応は急ぐ姿勢を見せないと...!」
彼の名前は校長。校が名字で長が名前。
その紛らわしい名前から、彼が校長室に呼び出されると
必ず大爆笑が起きるのが、この学校の恒例行事のようなものだった。
そんな彼は、ひどくマイペースな性格。
授業を聞かず、早弁に次ぐ早弁。
一言で言うならば、問題児だ。
遅刻ギリギリでも、悠々と歩いて登校する大物感は
逆に見習いたい節もあったりするのだが。
色々彼について考えていると、スタバから出てくる高校生が。
どこの生徒だ?いや、あれはうちの生徒ではないか!
しかもあれはうちのクラスの生徒...!
「北さんにAくん!!なんでスタバに寄ってるんですか!?」
「私、キャラメルマキアート飲むために生まれてきたので」
「北さんがこう言って譲らなかったので」
このふたりは...特段普段は問題児というわけではない。
むしろテストの点数は良く、模範的な生徒だ。
ふたりの問題がある部分といえば...それは、その関係性だろう。
北さんは天才肌の少女で、たまたま捨てられていたロボットを改造して
お兄ちゃん兼お姉ちゃんのロボを開発した。それがAくんだ。
そんな複雑な関係性のふたりだが、意外と生徒たちには受け入れられている。
それどころか、Aくんは目を疑うほどのモテっぷり。
ファンクラブがあったりなかったりラジバンダリ。
段々と時間が気になってきて、腕時計に目を落とす。
すると、もうすぐで学校のチャイムが鳴ってしまうではないか。
うちの学校はチャイムが鳴ったときに着席していないと即アウト。
なんとかうちのクラスから遅刻者を3名も出すのは避けたい...!
「みんな!全速力で走りますよ!」
「お言葉ですが先生、私はバッテリーが足りないので走れません」
「朝単三電池を入れ忘れました。ちなみに私もお腹がたぷたぷで走れません」
「僕は走ったら負ける気がするので走りません!」
走ったら負けるってなんだ!と、心の中でツッコみながら、
私はなんとか校舎の中に滑り込んだ。その後職員室に荷物を投げ捨て、
必要なもののみを手に階段を駆け上がる。
キンコンカンコンのキが鳴ると同時に、
わたしは教室に頭からダイブして入室する。
勝った、わたしは教師であるため着席の必要はない。
つまるところ、教室内に身体の一部分でも入っていればいいのだ。
そんなわたしに、教室内からふたつの視線が刺さった。
「せ、先生...何してるんですか....」
「...うん、わたしもよく分からないかも」
南さんと西くんは、心の底から軽蔑したような目で
わたしのことを見つめていた....
あわもと高等学校とは:
生徒数が極端に少ない高等学校。
淡本町に位置する。
バカ校ということはなく、むしろ生徒全員偏差値が高いものの
なぜか素行の悪い輩が多い。
みんなすこやかに育っている。