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アリスがそんな僕を見つめていたんだ
何これ、って私も思う作品になった。
数年経っても戦争の影は消えない
相変わらず後悔ばかりが募って行く
踞って、一人
決してあり得ない未来を描いていた
炎天直下
坂道の上を、
滲んだ僕は歩いていた
あの夏の温度が、
今も目に残っていた
「構わないでよ、何処かへ行ってくれ」
ワンダーランド
自分で閉じ込めたアリスの手を払った
『行かないよ』
なんて言って君は僕の手を掴んだ
「五月蝿いな」
僕はちょっとの先を振り返ずに歩いた
もう、ここには来ないことにしよう
『本当の心は?』
そう聞かれて、
何故か足は一瞬だけ止まった
“聡明”なんかじゃ前は向けない
理由が無いから腐って行く
時間が巻き戻ってくれれば良いのにな
何年経っても僕は死なない
希望論ばかりを唱えている
当然、今日もロリーナは
僕の隣に居ないのにさ
「構わない、死ねよ、死ねよ」
って手首を握って、
ただ呪って
何も出来ないで
ただ、のうのうと人生を貪った
「夏が夢を見せるのなら、君を失う前へ」
なんて 、照れ隠しした日々が
空気を照らして脳裏を焦がしていく
18歳になった少年
また何処かで待っていたんだ
カゲボウシ
滲む姿を思い出して
炎天下に澄んだ|街並み《ヨコハマ》
笑っていたアリスが今日も
「遊ぼうよ」
って言ってユラユラ揺れた
「心配です」
と不器用な顔をする自殺志願者
(…君なんかには解んないさ)
悲しそうなフリをしないでくれ
朦朧、
今日も不自然でいよう
昨日のペースを守っていよう
死んだ仲間達の温度を忘れない様に
叶わない夢を願うのなら
いっそ掠れた過去を抱いて
覚めない夢を見よう
当然の様に閉じ篭って
「それじゃあ、明日も見えないままだよ」
そんなことを、森さんに云われた
「それならそれで良いさ」
つまらない日々を殺す様に手を染め、
“一人”を選ぶから
18歳、腐った少年
また今日も祈ってたんだ
色めいたロリーナの笑顔にしがみついて
「どうかいっそ地獄に連れてってくれよ」
なんて、炎天下に呟いて
僕は息を静かに止めた
戻らないあの日が痛くて
ロリーナを守れなかったことが辛くて
「誰も触れないで」
一人を選んだ方が良かった
「聞こえていますか」と声が消えた
理由もなんだか解っていた
夏の温度に手を伸ばしていた
炎天下、願った少年
僕は何故か“あの場所”に立っていた
夏めく君の笑顔は変わらなくて
「死んじゃった。ごめんね」 なんて
「“お別れ”しようか」なんて
寂しいこと言わないで
往かないで
行かないで
--- 逝かないで、ロリーナ ---
伸ばした手は届かない。
宙を切った手はそのまま地面へと落ちる。
血塗れの荒野に残されたのは“戦神”と呼ばれた男。
僕はただただ、
泣くことしかできなかった。
アリスがそんな僕を見つめていたんだ
18歳=多分マフィアに行き始めた年