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collaboration.4
「英国出身の迷ヰ犬」の番外編(?)になります。
ののはなさんとのコラボです。
collection.1
https://tanpen.net/novel/67ced1c3-dad6-446e-83d1-522b3741e934/
ルイスside
「じゃあ、桜月ちゃんはルイス君の部屋へ案内してあげてね」
「分かりましたっ! こっちです!」
そう言って桜月ちゃんは手招きする。
僕の部屋は12階に用意されたと言う話だった。
多分、元の世界と同じなら下の階だと黒服が多い。
色々と彼女が手を回してくれたのだろう。
「ルイスさん」
「桜月ちゃん」
見事にハモる。
「あ、ぃゃ、大した事じゃ無いので、お先にどうぞ」
「僕も大した事では無いし、先に善いよ」
「あ、ありがとうございます! 質問、良いですか?」
「答えられる範囲内ならね」
判りました、と桜月ちゃんは少し考え込んでいた。
移動しながらどのような質問が来るか自分でも考えてみる。
「えっと、先ず、ルイスさん、貴方は一体何者ですか?」
この子のことだ。
別に首領の命などで僕のことを聞き出そうとしている訳ではないのだろう。
今まで僕は、自身のことについてあまり話してこなかった。
気になるのはごく普通のこと。
「少し、考えても善いかな」
「わ、分かりました。すいません」
何処まで話すべきだろうか。
全てを話してはいけないことは分かっている。
この世界が可能世界だとして、それを知っている人が僕以外にも居たらマズい。
下手したら桜月ちゃんが、もう一人の彼らが暮らすこの世界を消してしまうことになる。
なら、異能力は?
これから例の組織と戦っていくことになるだろう。
英国軍で、戦争で培ってきた僕の戦闘能力はマフィア構成員以上。
異能力を使えば彼女たちを守れるかもしれない。
この世界に戸籍のない僕は、異世界から来たことにすれば良いだろうか。
此処に居ることを許し、信じてくれた彼女たちに全て話すことが出来ないのは少し心が痛む。
「僕は──」
「報告です!」
ビクッ、と肩を揺らしてしまった。
振り返ると其処には一人の構成員がいる。
「泉鏡花様が起きられたそうです!」
「起きた…目覚めた!?」
「どうしてそんなに急に…取り敢えずお姉ちゃんの部屋に向かいましょう!」
「そうだね!」
行こうか、と僕達は鏡花ちゃんの部屋へと向かった。
桜月ちゃんが扉を開いて、その先に広がった景色に少し驚いてしまう。
「鏡花ちゃん……?」
真っ白な髪に、真っ赤な瞳。
彼女の状態はまるでアルビノだ。
「起きた」
「お、お姉ちゃん……」
「ごめん。心配かけた……?」
「ぁ、当たり前、でしょ。お姉ちゃん、だもんっ……会いたかったよぉ”っ……」
涙を流す桜月ちゃん。
とりあえずは起きてくれて良かった。
色々と聞きたいことはあるけど、今すぐじゃなくていい。
「起きてくれた事が何よりだよ」
「ですね、っ!」
「……相変わらず泣き虫」
「ぅ、五月蠅いっ!」
「良かったねぇ……」
はい、と返事をした桜月ちゃんは満面の笑みを浮かべた。
「それにしても、こんな事になるなんて……」
「こういう病気……ですか?」
「否、やはり異能だろうな」
「この前のクレープの時の……」
「その説が一番濃厚だと思う」
「確かに……私、一寸調べて首領達に報告もしてきます!」
バタン、と扉が勢い良く開き、桜月ちゃんは部屋を飛び出した。
姉妹、か。
家族の為に此処まで出来る彼女は、とても眩しい。
「……ごめん」
「え?」
「僕は君の近くに居たのに守れなかった」
鏡花ちゃんの顔が見れない。
もし、僕が海に刺さる光に気づいた時にもっと警戒していれば。
謝っても謝りきれない。
「──何で謝るの?」
え、と顔を上げてしまう。
彼女は本当にキョトンとしていた。
「貴方は悪くない。それより、あの後どうなったか聞かせてほしい」
「……あぁ」
本当にこの姉妹は優しい。
僕は彼女のベッドの近くにあった椅子に座った。
そして一言、微笑みながら言う。
「ありがとう」
彼女が穴に落ちてから、目覚めるまで。
僕目線で申し訳ないが何があったかを説明した。
ただ、何時髪と瞳の色が変わったかだけは分からない。
「にしても、あの昏睡状態から此処まで急に治るとはね……」
「不思議な夢を見た」
「どんな夢?」
「何者かに気力が吸い取られるような」
そんな夢、と鏡花ちゃんは言った。
「気力、ね……」
「其れを無理やり斬って起きた」
いや、斬って起きられるってどういうこと。
ツッコミを入れそうになったけど、止めておいた。
「──夢の中で斬ったのは鏡花ちゃんの短刀か、夜叉白雪か」
どちらにしても眠りから覚める手段を敵は残していたことにはる。
気力を吸い取ることに何の理由があるのか。
考えてみたが、あまり納得の出来る理由が浮かばなかった。
「もう一つ聞かせてほしいことがある」
「……まぁ、桜月ちゃんが帰ってくるまでなら答えるよ」
「貴方はどうして私の異能力を知っているの?」
「──!」
あぁ、やらかした。
独り言として呟いてしまっていたらしい。
観察眼が素晴らしいな、彼女。
どう誤魔化すか考えてみたけど、鏡花ちゃんには嘘と見抜かれてしまう気がする。
動揺してしまった時点で『桜月ちゃんに聞いた』という風に嘘をつくことは出来ない。
「私のこと、いや桜月以外の皆を知ってた?」
「何故そう思う?」
「色々と違和感があったから」
桜月ちゃんもそれで聞いてきたのかな。
どうしようかな、と僕は下手に笑うことしか出来なかった。
はい、四話目です!
ルイスくん…どうするのよ…
桜月ちゃんに心配させるなよ…
ののはなさんの小説もよろしくお願いします!