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カプチーノが冷める前に
カプチーノが醒める前に、ただ終わりのない話を
いつからここにいるかも分からない、
湿った空気の匂いと騒がしい雨の音、
湯気が立ち込めるカプチーノの匂い、
永久にこの時間が続けば幸せなのかもしれない。
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ーーーーしかし現実はそう夢のように幸せなものではない、カフェのテーブルの前に山積みになった大学の課題、湿気を吸って憎ったらしく膨らんだ原稿用紙、学生であり駆け出しの小説家、ペンネーム『カプチーノ』、本名|水環マリ《みずたまり》19歳、彼女は今大量の課題と原稿に追われていた。
彼女、そうワタシがなぜこんな課題と原稿に追われているのか、それはなんとなくで出版社に寄稿してみた小説がなぜか異例の大ヒットをし、天才やら神童などと持て囃され勝手に期待され、読者や出版社に次回作を熱望されたからである。
まったく大人というやつは少し大袈裟ではないかと、ため息混じりに自分に寄せられた期待や嫉妬のように湿気を吸って膨らんでいる原稿用紙を見つめていた。
天才や神童といわれ持て囃され嬉しくなかった、と言えば嘘にはなるがたまたま書いたものがたまたま世間のニーズと合い大ヒットしただけであり、自分にはそこまで持て囃されるような力はないのだ、勝手に期待され失望されるのは御免だ。
だからといって次回作を書かない、と言って出版社のお偉いさん達の機嫌を損ねるのもまた面倒くさい、まったく悩ましいものだ。
こんなことになるなら最初から小説なんて書かなきゃよかった、失敗したと後悔しながらカプチーノを飲んでいると近くの席に2人組の女性が入ってきた。
大きな声で世間話をしておりとても騒がしい、そんな大きな声で喋らなくても大丈夫だと思うが。まったく、課題と原稿に追われただでさえ気が滅入っているのに何故追い打ちをかけられなければならぬのか、頭が割れそうだ。聞きたくなくても耳に入ってくる2人組の女性達の話し声、、、ここはもう大人しく屈した方がいいかもしれない、よしよし、そんなに周りに聞いて欲しいならワタシが聞いてやるよまったく、なにか小説のネタになるかもしれないからな、と自分を納得させる理由をつけて大人しく2人組の女性の話し声に屈した。
続くかもしれないし続かないかもしれない。
書きたいところだけ書きます。不定期更新、