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第一話
「れ、レイマリ…さん…?」
「え?いや、私は|東雲 真理愛《しののめ まりあ》ですけど…」
そう言われても、肩までで大体切られている茶髪も、「S」を|模《かたど》った黄緑色のピンも、Sレイマリさんにしか見えないのだ。正直、見間違えて当然だと思う。
「あぁ、そうなんですね。あの、私達転校生なんですが…」
とりあえず話は流すことにしたらしい。玲がさっさと教室の場所を聞く。
「教室は全て2階にまとまってます。多分、二人とも一組だと思います」
私はここを離れられませんので、と案内を断られ、真理愛さんに追い払われた。
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「お姉ちゃん、またあとでね」
玲が一年一組に入って行くのを横目に見つつ、私も二年一組に入った。
「あ、キミが転校生なのだ?」
聞き慣れた口調。何となく察しては居たが、やはりこうして見ると驚愕してしまう。
「え、えーと、藍です…」
「藍ちゃん、よろしくなのだっ!
私は|丸部 驚華《まるべ きょうか》なのだ!」
おどろくさんは驚華と言うらしい。周辺は…。
…はい、恋人一組発見。やめてくれよ…。
私は、恐らく茶子さんとiemonさんのペアをスルーして、その近くにいた白髪の少女に声を掛けた。
「|北園 理流《きたぞの りる》と言います。転校生さん、よろしくお願いしますっ!」
こっちが名乗る前に自己紹介された。
彼女は、多分瑠璃ちゃん。名前がまんま過ぎると思う。
「星影 藍です。こちらこそよろしくお願いします、理流さん。…あの、私の席はどこでしょう…?」
世間話と顔繋ぎも大事だと思うが、まずは席だ。荷物を置きたい。
「えっ?前まで空いてたので、ここだと思いますけど…」
理流さんに度肝を抜かれたような顔で答えられた。何故かは知らないが、まあいい。
好印象を与えたいので、いつものようにドンと置くのではなくそーっと置いてみた。
「ふぅ…」
荷物を整理し、席に座る。思わず溜息が漏れた。
その後は、驚華さんや理流さんと話をする。
「藍さんは前までどこに住んでたのだ?」
「田舎ですよ。その辺に畑が広がってました」
「え、こっちも田舎ですよ?高層ビルのこの字も無いですもん」
彼女達は話し方が上手い。夢中で話しているうちに、チャイムが鳴った。
949文字。まあええでしょう。