公開中
prologue
窓から見える綺麗な空が好き。
外に出てその空を直接見る事はできないけど、窓から眺めるだけで十分だった。
窓から見える花壇が好き。
近くにある大学の生徒達が毎日水をあげて育てているらしい。
窓から見える景色が好き。
大きなビルも、公園も、花壇も、空も。
毎日変わるその景色を見ていると、幸せな気分になる。
この部屋から出れない僕にとって唯一幸せになる方法だった。
最近、早く目覚めれる日が増えてきて、
花壇に水をやる1人の大学生を見つけることも幸せなことの1つになった。
いつも花壇から僕の部屋を見つけて手を振ってくれる。
窓の外からニコニコ笑って僕を探してくれるのが何故だか嬉しい。
叶うわけがないけれど、
いつか、君と喋ってみたいと思ってしまう。
---
最初は嫌々だった。
花壇の整備とか面倒だし楽しくなさそう。
唯一の救いは友達が同じ担当になったことだけ。
だけど友達も担当が変わっちゃって花壇の水やりは俺だけになった。
本当に面倒だ、と思っていた時だったと思う。
俺達が綺麗にしている病院の花壇から上の病室に、綺麗な人がいた。
俺と目が合うと、すぐにいなくなっちゃったけど。
今まであの部屋には誰もいなかったのに、突然現れたのが不思議だった。
次の日も目をそらされて、その次の日も同じことの繰り返し。
そんなに毎日嫌がられると俺の心に火がついた。
病室目指して全力で手を振ってみる。
反応があった、あの人が微笑んでくれた。
それが嬉しくて、俺の頬も緩んでしまう。
きっと叶わないけど、
いつかあの人と喋ってみたいと思ってしまう。