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第4章:均衡の構築《リブラの封印》
星環領域《セレスティア》の中央―― そこには、風が螺旋を描いて昇る塔があった。 空に最も近いその場所は、星霊リブラが封印された知の塔。 均衡の星霊は、理の崩壊とともに沈黙していた。
Sara.は、静かに塔を登っていた。 彼の足取りは迷いなく、目は常に構造を見つめていた。 風が巻き上がるたび、魔法陣が揺れ、空間が歪む。 それは、星霊の記憶が崩れかけている証だった。
「魔法構造が不安定だ。 星霊の力が、理を失っている」
彼は、塔の頂に立ち、封印の紋を解析し始めた。 その瞬間、星霊の声が響いた。
「私は、均衡の星霊。 空と地、光と闇、感情と理性―― すべてを秤にかけ、世界を保っていた。 だが、空白が広がったとき、秤は傾いた。 私は、理を失い、封印された。 あなたは、私の均衡を再構築できるか?」
Sara.は、冷静に答えた。 その声は、風の中でも揺るがなかった。
「理は、感情を否定しない。 感情は、理を壊すこともある。 でも、魔法はその両方でできている。 あなたの力を、構築し直す。 それが、俺の役割だ」
その言葉に、塔が震えた。 封印の紋が光を放ち、秤が空に浮かび上がる。
Sara.の手が輝き、魔法陣が展開される。 秤が敵の力を見極め、裁きの光を放つ。
リブラ・ジャッジメント: 敵の強化を解除+属性に応じた裁きのダメージ。 均衡の光が、理を取り戻す。
風が静まり、塔が安定し、封印が解かれていく。 リブラ座が、夜空に戻る。 その輝きは、理と感情の交差点だった。
「あなたの知性が、私の均衡を再構築した。 理は、感情とともにあるべきもの。 あなたたちの旅は、世界の構造を再び繋ぐもの。 次に待つ星霊は、夢と闇に潜む者。 彼は、虚星の深層を知る者。 あなたの沈黙が、彼の封印を解く鍵となる」
Sara.は、塔を後にした。 空には四つの星座が輝いていた。 だが、次に向かうのは――夢の谷。 そこには、封印された星霊《オフィウクス(へびつかい座)》が眠っている。