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強がり少女は夢喰い王子と恋をする 9話
「あけましておめでとうございます。」
「あけましておめでとう。」
新年。新しい1年が始まった。4月から私は高3。受験生になる。
「冴、奏真くん、おはよう。あけましておめでとう。」
年末年始は両親共に仕事は休み。まあ三が日が過ぎたら2人とも仕事だし、私も1月10から学校だし。
「そういえば、シーズンモールの近くの美術館あるだろう?そこで1月6日から僕の個展があるんだよね。冴と奏真くんで今度行ってきたら?」
朝ごはんの雑煮を食べながら、お父さんが言った。ちなみにシーズンモールとは我が家から車で15分くらいのところにある大きくて広いショッピングモールのこと。
「えっ!?ホントですか!?」
わお、奏真さんの目がキラキラしとる。
「流石にこんな嘘はつかないよw入場料も無料だし、行くついでにシーズンモールに寄って昼ごはんでも食べたらどうだ?」
「行きたい……冴さん、付き合ってくれる?」
「まあちょうど本屋行きたいって思ってたとこだし、行きますか。」
新年早々いい予定が決まったな。知り合いに会わないといいけど………
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「じゃ、行こうか。」
当日。私は我が家の車の助手席に座っていた。運転席には奏真さんが座っている。
「免許持ってたんですね。」
「写真撮る時遠いところ行ったりするし、運転するの結構好きなんだよね。」
「なるほど。あ、音楽流していいですか?」
私は車の充電コードにスマホを繋ぎ、アプリを開く。
「別にいいけど、何の曲?」
「んー、これですね。」
私は自分のプレイリストの3番目の曲をタップした。
「これ、アニソンだよね。冴さんアニメ好きなの?」
車を運転しながら奏真さんが私に聞いた。
「時々見ますよ。オタクってほどではないですけど。小説書く時の参考がてら見るんですよね。そうしたら曲にもハマったんですよ。」
「ふーん。いいね、この曲。」
などと話しているうちに、美術館に着いた。が、美術館に駐車場が無いのでシーズンモールに車を停める。車を降りると、冬の冷たい風が吹いていた。
「あ、今日この後俺の家まで行ってブレスレット取りに行くけどいい?」
「はい。わざわざありがとうございます。」
とりあえず最初は美術館へ。奏真さんは目を輝かせながら写真に魅入っている。私はというとぼーっと周りの人を見ていた。ふむ、やはり大人が多い。確かにお父さん写真撮るの上手いから見たくなるのはわかる。うん。興味無いけど。
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「いやー素晴らしかったー。映司さんの撮る写真ってホントよなあ……次、俺の家行こうか。ここから歩いて行けるからそれでいい?」
「どうぞどうぞ。」
奏真さんの両親ってどんな感じなんだろう……怖い人かな?意外とそうでも……いやでも逆らったら実の息子でも夢を奪おうとする人らしいし、怖くなくてもヤバそう。
「着いたよ。」
モヤモヤと考え事をしているうちに奏真さんの実家に着いた。
「いや、え、デカくないすか……?」
横浜の赤レンガ倉庫を小さくして屋根付けた感じの外観で、なんかオシャレ。
「そうかな?とりあえず入ろうか。」
ビターチョコレートみたいな色のドアを開け、中に入る。めっちゃ洋風の家だな。
「ブレスレットは確か父の書斎のほうにあるんだよね……ちょっと見てくるからここで待ってて。」
リビングのふかふかの革のソファに身を沈め、奏真さんを待つ。
「誰かいるのか?」
「知らない靴よね。これ。」
えっ……今の声……奏真さんの両親帰ってきちゃった?
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「あ、すみません勝手にお邪魔して。ドリームフォトの社長の娘の夢見冴といいます。」
「ああ、奏真が世話になってます。納夢敦貴です。奏真の父です。」
「奏真の母の、納夢美夜子です。」
ふむ……奏真さんは母親似だな……
「あの……素敵なお家ですね。今着てらっしゃるスーツもシックでお似合いですよ。」
お父さん直伝、交渉スマイルでなんとか取り繕う。これでごまかせないかな……色々と。
「ああ、アンティークが好きなもんで。このスーツは、うちのブランドのものなんですよ。」
「うちのブランド?」
「|adolescence《アドレセンス》ってブランド知ってますか?実は、僕がそこの経営をしていまして。」
「どうりで。adolescenceのスーツ、うちの父もよく着ていますよ。」
うん。これは事実。
「それは嬉しいですね。ありがとうございます。ところで……奏真はどこかな?」
「ああ、父さん母さんおかえり。」
「久しぶりだな。年末年始も顔を見せなかったじゃないか?」
その一言で、空気がピリッと冷える。
「色々と忙しかったんだよ。大学生舐めないでくれる?」
「それは悪かったな。」
「じゃ、俺もう行くから。冴さん、行こう。」
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なんとなく、奏真さんの顔が険しい気がする。と気づいたのは、さっき本屋で買い物をしていた時だった。奏真さんの家を出てから、今の昼ごはんの時間に至るまで奏真さんはほとんど喋っていない。
「大丈夫……ですか?」
「ああ、ごめん。」
私が声を掛けるまで無言で生姜焼き定食を食べていた奏真さんが顔を上げた。
「はあ……やっぱ父さん母さんに会うと緊張するな……」
「なんか……すいません。」
「いいんだよ冴さん。別に気にしなくても。」
今度は私が無言になり、醤油ラーメンをすする。なんか、空気が重い。
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昼ごはんを食べ終わると、服屋を見たりクレーンゲームを見たりとわりと楽しかった。
「冴さーん、次どこ行きたい………って、どうしたの?冴さん。」
いきなり黙った私に、奏真さんが心配そうな顔をしている。
「あの、すみません。今日はもう帰りましょう。」
私は奏真さんの左手首を引き、早足で歩く。
「え、どうしたのホントに。」
「ちょっと……会いたくない相手が見えたので。」
私は、嫌に早い鼓動の心臓を落ち着けながら、逃げるように歩いた。
どうもぱるしいです。投稿頻度については黙っててくれるとありがたいです。