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依存異変ノ章 壱
「平和ねぇ〜」
「由有?そんな話で注射は逃れられないよ?」
わたしはいま、『はなねクリニック』で注射を受けている。予防接種である。
彼女は新聞記者兼看護師の|書物文《しょもつふみ》。能力は念じたことをそのまま書き記す程度の能力。ちなみに医者は|医籐花音《いとうはなね》、相手の症状と気分がわかる程度の能力。
「ぎえええええええっ!!おねがいっ!!痛みを!感じないっ!!能力をぉぉぉおお!!いやあああああああっ!!」
いったああああああ!!う…
「由有〜、見に来たけど、大丈夫か?」
紅?
…あれ?なんだか…
「文!?大丈夫!?」
花音?
いや、どうでもいい… 紅…
「かっわいい…!」
「ゆっ、由有!?」
「紅、ずうっと一緒にいよお?」
紅を、独り占めしたい…
「花音さまぁ…わたしもぉ、花音さまとずうっと一緒にいたいですぅ!」
「文まで!?文、なにを入れたのっ!?」
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号外新聞が、わたし・|斎藤空《さいとうくう》のもとへ届く。
文と由有が、花音と紅に依存している『依存異変』が起こっているとか。
わたしは幽霊。幽霊は群れを好まないから、関係ないよね。
「空さん、ですか?」
「誰ですかー?」
誰かがたずねてきた。
「由有さんと紅さんが!あ、失礼しました、わたしは極光闇です。前の『極闇異変』の元凶です」
「ああ、解決したいんだ」
「はい!行きませんか?」
「まあ、暇だし、いいわ」
寂しくなんて、ないけど…
「さ、行きましょ!元凶は北北西の方にいると思う。わたしの能力は空気を操る程度の能力。空気を消すこともできるし、宇宙空間に空気を生み出せる。元凶のいそうな空気は、北北西だから」
「すごい!」
「生まれつきよ、あなたと同じ幽霊。生前空気を読んで生きてたからだと思う」
でも、ほんとうに元凶を倒せるのかしら…
そう思いつつ、わたしは元凶のもとへ向かった。
小説書くひとにとって文の能力は魅力的。