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最近よく見る夢
紫音「はあっ」
少女_冬野紫音は辺りを見回す。変わることなき自分の部屋。桃色のカーテン。そして二段ベッド.唯一変わっているのは弟の「陸」がいないこと。陸は最近やってきたウィルス_「エメシス・ヘム」通常「ヘメシス」にかかってしまったのである。弟は現在入院中だ。溺愛する弟のいない生活など考えれなかった…。
それにしても。ふと紫音には気になることがある。それは毎回見る夢だ。内容は弟がウィルスにかかること。
かかること自体同じなのだが最後に出てくる…謎のツノの生えた犬?が出てくることは違うのだ。
紫音(一体,あの夢はなんなの…?何かの予兆かな…)
考えに耽ていると母親…美智子の怒鳴る声がした。
美智子「何してるのよ!?早くきなさい!もう学校に送れるわよ?」
紫音「ああ,ごめんなさい」
彼女はリビングに行き朝食を食べに行った。リビングでは美智子が憂鬱な表情で待っていた。
美智子「はい,早く食べなさい…送れるわよ」
紫音「わかってるよ〜。あれ?朝ごはん一つ多いよ?お父さんはもう食べたでしょ?ならなんで3個残ってるの?」
美智子「…陸の分…作ってしまったのよ…」
紫音「あ,ああ。。」
そう。紫音だけではない,家族全員、陸が入院してからずっと悲しんでいた。
紫音「なんか,ごめん」
美智子「別に、いいわよ。それよりささっと食べなさい?」
紫音「…はーい」
弟がいないだけでこうなるなんて。紫音は思ってもいなかったのだ。
紫音「行ってきまーす」
私が家を出ると、ドアの目の前には親友の輝夜がいた。
輝夜「しおちゃん、おはよう!ねえ,みた?昨日のshell君のライブ!もう〜私最高すぎていいねめっちゃ押しちゃった〜」
shell君…というのは私と輝夜が推しているアイドルグループ、「Stella」のチームメンバーの1人。ものすごくイケメンなのだ。私と輝夜の大の推しなのである。
紫音「もちろんみたに決まってるじゃない!shell君、やっぱり歌もダンスも得意だよねっ!」
輝夜「ねー!」
いつものように変わらない通学路を歩いていた。その時だ。すぐそばの路地で何かが動いた気がした。
紫音(何…?)
私は気になり目を凝らして路地をのぞいた。うっすら見えたのは白い犬?そう_私のみたあの夢に出ていた犬そっくりなのだ。
紫音(?えっまさかあの犬は…)
私は身体中の血の気が引いていくのに気づいた。アレは…正夢だったのか…?あの夢は…私を何かに招いていたのか…?
輝夜「どうしたの?顔色,悪いよ?ねえ,早く学校にいこう?」
紫音「え、ええ。そうね…」
私たちはなんとか遅刻せずに教室に入ることができた。教室に入ってすぐさま輝夜は何かに気づいたようだ。
紫音「どうしたの?」
輝夜「ねえ,転校生かな…?」
輝夜はまじまじと増えている席を見つめていた。本当である。席が増えている。。ちょうど私の後ろ,だ。
輝夜「わかんないけど…ドキドキするわね」
紫音「そうね」
席につき、約5分後、先生が教室から出ていき、そしてまたまた3分後にくすんだオレンジの長い髪をした美しい女の子を連れてきた。先生は黒板にその少女の名前を大きく書いた。
紫音「… 穂積雪希…?」
教室がざわつく。なにしろその少女は輝夜並みに美しいのだから。
先生「はい,雪希、自己紹介をしろ」
雪希「…私は穂積雪希。よろしく」
そういうと雪希さんはそそくさと席に着いた。人見知り…なのだろうか?なかなか喋らなかった。
先生「新しい仲間だぞ。仲良くしろよな!じゃあ一限目を始めるぞ」