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奥底に秘められたもの
時系列としては21巻前あたり。
だいぶ短いです。
「氷霜院さんって、もしかして」
「___________________?」
自分が鋭く息を吸う音で、目が覚める。
久しぶりに、覚醒して最初に聞く音が規則正しい電子音ではない。そのことを瞬間的に感じながら、俺は天井を見ていた。
やけにうるさい呼吸音と、体に張り付く寝間着。
時計を見ると、本来起床する時間の遥か前だった。一般的に、深夜と形容する時間帯。残像のように残っている感情と、身体状態から結論を下す。
・・・嫌な、夢を見た。
見たというのに。
思い出せない。
起き上がり、ベッドに腰掛ける。ヘッドボードに置いてある水を飲む。
乱れた前髪を一度かき上げてから、息をついた。
夢の中の俺は、一体誰と話していたのだろうか。思い出そうとしても、姿形は全く出てこない。ならば何を言っていたかというと、それも思い出せない。なにもかもだな、と思う。
悪夢だなんて、久しぶりに見た。数年ぶりだろうか。
無意識で端末に目をやる。電源をつけているというのにほとんど開かないそれに、通知は溜まっていなかった。無機質な光は数秒経つと消えて、端末はまた暗黒を映す。
もう一度息をついてベッドに寝転がる。明日は早い。目を閉じると、意味もなく黒髪の少女が脳裏に浮かんだ。
今の俺を、桔梗路はどう思うだろうか。
間違いなく笑って、絡んでくるだろう。
そんなことを考えながら意識を手放した。
21巻、本人すら気づかなかったリュウオウの真意で私は吹っ飛びました。
桔梗路会長のことをちらっと入れたのはそこの二人が個人的に大好きだからです。
次巻11月発売なんですか!!?上下巻!!?リュウオウ出てきますよね!!!!!?????(圧)
楽しみ過ぎる。