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こぐま はじめての妹
保護者様向け
季節が巡り、森は深みのある緑に包まれ、やがて涼しい風が吹き始める頃、こぐまの家に新しい変化が訪れました。お母さんクマが、いつもよりずっとお腹が大きくなっていたのです。
「こぐま、もうすぐ新しい家族が増えるんだよ」お父さんクマがそう教えてくれた時、こぐまは嬉しさと少しの戸惑いが入り混じった気持ちになりました。「家族って、誰が来るの?」
お母さんクマが優しくお腹を撫でながら言いました。「あなたはもうすぐお兄ちゃんになるのよ。」
こぐまは目を丸くしました。自分以外のクマの赤ちゃんが来るなんて、想像もしていませんでした。嬉しくてたまらない反面、ちょっぴりドキドキしました。
ある日のこと、お母さんクマが急に静かになり、お父さんクマが慌ただしく動き始めました。こぐまは少し離れた場所で、心配そうにお母さんクマを見守りました。夜が明ける頃、巣穴の奥から「ふにゃあ…」という小さな小さな鳴き声が聞こえてきました。
お父さんクマが笑顔でこぐまを招きました。巣穴の奥には、お母さんクマに寄り添うように、生まれたばかりの小さな赤ちゃんクマがいました。まだ目も開いていない、毛玉のような赤ちゃん。それが、こぐまの妹、メイでした。
こぐまはそっとメイに鼻を近づけました。温かくて、ふわふわで、とてもいい匂いがしました。メイは小さな手をぎゅっと握りしめていて、そのか弱さにこぐまの胸は温かい気持ちでいっぱいになりました。
「かわいい…」こぐまは、生まれて初めて「お兄ちゃん」になった喜びをかみしめました。
メイはすくすくと成長し、こぐまは毎日がメイのお世話で大忙しでした。初めてのハイハイ、初めてのよちよち歩き、そして初めての「にいに!」というメイからの呼びかけ。メイの成長の一つ一つが、こぐまにとってかけがえのない喜びとなりました。
こぐまは、メイの手を引いて森を散歩し、見つけたばかりのキラキラ光る葉っぱや、色とりどりの花をメイに見せてあげました。メイはこぐまの隣で、楽しそうに「にいに!」と何度も呼ぶのでした。
冬が近づき、森が冬眠の準備を始める頃、こぐまはメイと一緒に、お母さんクマとお父さんクマに寄り添い、温かい巣穴で眠りにつきました。メイができたことで、こぐまの心はさらに優しく、大きく成長していました。新しい家族と共に、こぐまはまた、たくさんの発見と喜びにあふれる日々を過ごしていくのでした。
楽しんでいただけましたか?
こぐまシリーズまだまだつづくかも?