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ケンチャナ!……ってドッキリかよ!? 〜恐怖と絶望の小児科病棟〜
序章:夜の小児科病棟にて
「離して……! 嫌だぁ……! 怖い……‼︎」
深夜の小児科病棟に、引き裂くような悲鳴が響き渡った。 ベッドの上で激しく暴れ、点滴のチューブを引きちぎろうとする小さな少女、ここな。翌日に脳の手術を控え、恐怖心はとうに限界を超えていた。
その体を、緑色のスクラブに身を包んだ小児科医、川西拓実が体ごと優しく包み込む。ベッドから落ちないようにしっかりと抱きしめ、その耳元で、驚くほど穏やかで温かい声を響かせた。
「……離さへん。絶対に離さへんよ、ここな。嫌なのも怖いのも、全部ここにいるみんなで半分こしたるから。一人で抱えんでええ、全部俺らに預けなさい」
その力強くも優しい言葉に、ここなの激しい抵抗が、小さな震えへと変わっていった。
第一章:決戦の朝
翌朝。手術当日の病室には、昨日から一睡もせずに心配していた医療スタッフたちが、交代で準備を整えて集まっていた。
「ここなちゃん、おはよう。いよいよ当日だね」
ナースの西洸人が、手術着に着替えたここなのベッドの横で、昨日引きちぎってしまった絆創膏の跡を優しく撫でる。 「うん、やっぱりちょっと緊張して硬くなってるか。でも、昨日あれだけ気持ち吐き出せたんだから、今日はもう大丈夫。約束通り、俺がずーーっと横にいるからね」
「おい、ここな」 ポカリスエットの入ったコップを片付けながら、ナースの鶴房汐恩がわざと不敵に笑う。 「昨日あんなに大暴れしたんやから、今日の手術室なんて余裕やろ? ……って、冗談や。怖くなったら、手術室入るまで俺の手、ちぎれるくらい握っててええからな」
「ここなちゃん、おはよう。朝のチェックさせてね」 聴診器を首にかけ、優しく微笑みながら入ってきたのは小児科医の高塚大夢だ。ベッドサイドに目線を合わせてしゃがみ込む。 「うん、呼吸も落ち着いてるし、バッチリ。大夢先生も、手術室の前まで一緒に歩いていくからね。一人じゃないよ」
ナースの後藤威尊は、ここなの髪を優しく二つ結びに結び直してあげていた。 「よし、これで髪の毛もバッチリ! 手術の帽子被っても可愛いわ。ここなちゃんが眠ってる間、威尊お兄ちゃんがこの病室、ピッカピカにしてお留守番しとくからな。戻ってきたら、またみんなで楽しい話しような」
そこへ、オペ着に身を包んだ拓実が入ってくる。その目は、昨日とは打って変わって真剣そのもの、けれど奥底には深い慈愛が満ちていた。 「……ここな、おはよう。いよいよやな。昨日言うたこと、覚えとる? 先生が絶対に、ここなの頭の痛いの治したる。ここなが目を覚ました時には、大成功したでって一番に伝えたるから。……よし、一緒に行こか」
張り詰めた空気の中、ここなは涙目を浮かべ、大夢のスクラブの裾をぎゅぅぅっと強く掴んだ。 「ひろむせんせ……怖いよぉ……帰りたいよぉ……泣」
大夢の胸が、締め付けられるように痛む。彼は愛おしそうに、ここなを包み込むように抱きしめ返した。 「……うん、うん。怖いよね……お家に帰りたいよね……。ごめんね、本当に代わってあげられなくてごめん。でもね、大夢先生、ここなちゃんがまたお家で大好きな笑顔で過ごせるように、この手術を絶対成功させるって約束する。……この手、手術室のギリギリまで絶対に離さないからね」
その時、ここなの耳元で囁いた。ここなは韓国生まれ日本育ちで、韓国語はほとんど分からない。けれど、威尊は彼女のために、ある言葉を用意していた。
「ここなちゃん。威尊お兄ちゃん、実はな……ここなちゃんがこれから手術室に向かうときのために、お守りになる言葉を覚えてきたんよ」
威尊は、包み込むような声音でゆっくりと語りかける。 「『ケンチャナ』。韓国語、これくらいなら聞いたことあるかな? ……『ケンチャナ、ここな。ハルスイッタ』。意味は分からんでも、この言葉の響きがここなちゃんを絶対に守ってくれるから。みんながついてる。ケンチャナ、大丈夫やで」
その言葉を胸に、ここなは手術室へと運ばれていった。
第二章:暗転
手術室。 緑色の術衣に身を包んだ拓実、大夢、そして器具を渡す洸人が、緊迫した空気の中で集中していた。モニターの規則正しい電子音だけが響く中、突然、執刀中だった拓実の手が止まる。
『ピピピピピピ! ピピピピピピ!』
突如として、激しいアラーム音が室内に鳴り響いた。
「っ……! 拓実先生、ここなちゃんの血圧急低下! 心拍数も一気に落ちてます!!」 洸人が鋭い声を上げる。大夢もモニターに目を走り戻し、顔色を変えた。 「シャント設置中に脳圧が急変動したか……っ!? 呼吸状態も不安定です、拓実先生!!」
「全員、落ち着け!!」 拓実が一瞬だけ目を見開くが、すぐに鋭い声で指示を飛ばす。 「洸人くん、ボスミン1アンプル静注! 大夢先生は速やかに気道確保と人工呼吸器の調整、麻酔科のサポートに入って!!」
「ボスミン1アンプル、ルートから行きます!! ……ここなちゃん、頑張れ、戻ってこい……っ!!」 洸人が迷いなく注射器を手に取る。大夢もここなの顔を固定し、器具を調整しながら叫んだ。 「呼吸同調させます! ここなちゃん、大夢先生だよ、聞こえる!? 頑張って、まだお家に帰るって約束してないでしょ!!」
「……ここな、お前はこんなところで負けるような弱い子ちゃう。絶対に俺が助けたる」 拓実は手元を一切狂わせず、額に汗を浮かべながら脳外科の手技を続ける。 「みんな、ここからが正念場や。絶対にここなを帰すぞ!!」
しかし、医療スタッフの必死の祈りも虚しく、最悪の音が手術室に響き渡った。
『ピーーーーーーーーーーーー』
「っ、心停止……!? 拓実先生、ここなちゃんの心臓、止まりました……っ!!」 洸人の声が裏返る。
「ここなちゃん!!! 嘘だろ、ここなちゃん!!!」 大夢の顔から血の気が引き、すぐさまここなの胸元に手を置き、必死の形相で胸骨圧迫を開始した。ベッドが大きく揺れる。 「戻ってきて……っ!! お願いだから戻ってきて、ここなちゃん!! だっこしてって言ったじゃん……! 怖いよって、一緒に帰ろうって約束したじゃんか……!!」
「西くん、アドレナリン追加!! 除細動器準備!!」 拓実は術野をすぐさま保護し、震えそうになる手を必死で抑えつけながら叫ぶ。 「大夢先生、心マ止めんな!! 絶対に諦めるな!!!」
「アドレナリン追加行きます!! パッド装着!!」 洸人は自分の太ももを叩いて手の震えを止め、薬液を吸い上げる。 「ここなちゃん!! 威尊くんも汐恩も病室で待ってんだよ!! 頑張れ、戻ってこいよ……っ!!!」
「ここな……っ!!」 拓実はここなの青ざめていく顔を見つめ、歯を食いしばった。 「ケンチャナって、大丈夫って言ったやろ……!! お前を絶対に死なせへん!!! 戻ってこい、ここなーーーーーっ!!!!」
しかし、無情にも電子の連続音は途切れない。
『ーーーーーーーーーーーーーーーー』
大夢は狂ったように胸を押し続けた。 「……やだ……嫌だ、嫌だ!! 戻ってきてよ!! ここなちゃん!! お願いだから目を開けてよ……っ!!」
「……拓実先生……っ」 除細動器のモニターを見つめたまま、洸人の目から大粒の涙が床に落ちる。 「波形、フラットのままです……っ。反応、ないです……っ」
「……大夢、先生……。……もう、やめ、やめるんや……」 拓実の声が激しく震える。自分の手が、ここなの血で真っ赤に染まっているのを見つめたままだった。
「嫌だ!!! まだ、まだ諦めない!!!」 大夢は涙で視界をぐしゃぐしゃにしながら押し続ける。 「威尊くんが、お留守番して待ってるんだよ!? 汐恩だって待ってるんだよ!? 治したるって、拓実先生が一番に伝えるって言ったじゃんか……っ!!」
「大夢、もう、ここなを休ませてあげよう……っ」 拓実は大夢の肩を、痛いくらいに強く、抱きしめるようにして止めた。 「これ以上、この小さな体を傷つけたらあかん……っ、俺の、俺のせいや……っ」 拓実はボロボロと涙を溢れさせ、ここなの遺体にすがりつくように崩れ落ちた。
「……ここなちゃん……ごめん……っ。守ってあげられなくて、本当に、ごめん……っ!!」 洸人も声を押し殺して号泣し、ここなの冷たくなり始めた手をそっと両手で包み込んだ。
2026年5月20日。 ここなの短い人生の幕は、あまりにも残酷に閉じられた。
第三章:連鎖する呪い
その日の深夜。誰もいない暗がりの医局で、拓実は一人、血のついた術衣のままデスクに突っ伏して、声もなく肩を震わせていた。
「……すまん……ここな、すまん……っ。俺が、俺の手が、お前の未来を奪ってもうた……っ」
自分を責め続ける拓実の耳元に、突然、部屋の温度がスッと下がるような、不気味で冷たい風が吹き抜ける。そしてーー。
「……治してくれるって、言ったじゃん……」
「(っ、ここな……!?)」 拓実は弾かれたように顔を上げた。
暗闇の中にぽつんと佇む、顔色のない、虚ろな目をしたここなの姿。その胸元からは、黒いモヤがゆらゆらと立ち上っている。
「絶対に助けるって言ったのに……嘘つき。痛かった、苦しかった……っ! なんで、ここなを殺したの……? 拓実先生のせいだ……! 拓実先生なんて、大嫌い……っ!!」
「……おっしゃる通りや……! 全部、全部俺のせいや! お前を救えんかった俺を、いくらでも呪えばええ……! でも、ここな、そんなに悲しそうな顔せんといてくれ……っ、本当に、本当にごめん……っ!!」
拓実が床に膝をつき、涙を流して謝罪したその瞬間、ここなの霊の虚ろな瞳が、真っ黒く歪んだ。 「……許さない。拓実先生も、ここなと同じくらい痛くて苦しい思い、すればいいんだ……っ!!」
黒い霧が拓実の胸元に吸い込まれた瞬間、拓実は心臓を素手で掴まれたような、凄まじい激痛に襲われた。 「う、あ……っ!!! あああああっ!!!」
バキバキバキッ!と、医局の蛍光灯が激しく点滅し、周囲の医療器具がガタガタと音を立てて震え出す。 「(は、がっ……ここ、な……っ! ぐあぁぁぁぁっ!!!)」
その時、異変を察知して廊下を走ってきた大夢と洸人が、勢いよく医局のドアを開けた。 「拓実先生!? 何の音ですかっ……って、うわっ、何だこれ、部屋がめちゃくちゃ寒い……っ!?」 「拓実先生!! しっかりしてください!! 顔色が土気色だ、これ、心不全の症状……っ!? 誰か、救急カート持ってきて!!」
洸人が拓実の体を抱き起こそうとした、その瞬間だった。
「……洸人お兄ちゃんも。……ずーーっと横にいるって言ったのに、ここなの手、離しちゃったよね……?」
「っ……ガハッ、あ、あぐっ……!?!?」 突然、洸人が目を見開いて自分の首を両手で掴んだ。
「洸人くん!? うそ、何で……何が起きてるの!?」 大夢が叫ぶ。洸人の背後には、黒い霧を纏ったここなの霊がぴったりと張り付き、その首を背後からギリギリと締め上げていた。
「が、はっ……ここ、なちゃん……? ごめ、っ……ごめ……っ」 洸人は心臓を直接握り潰されるような激痛に、床に崩れ落ちる。
「ひ、洸人、くん……っ! 逃げ、ろ……っ! ここな、頼む……洸人くんは、関係ない……っ、俺だけを、呪えば……っ!!」 拓実が必死に手を伸ばす。
「うそつきは、みんな一緒。ここな、寂しかったんだよ……? 一緒に行こう? 拓実先生、洸人お兄ちゃん……!」 ここなの霊は涙を流して笑う。
「やめろーーーっ!!! ここなちゃん、お願いだからもうやめて!!」 大夢は二人の体を必死に抱きしめ、涙を流して叫んだ。 「これ以上、誰も連れて行かないで……っ!!」
しかし、大夢の叫びも虚しく、医局の電気が激しく火花を散らして消え、部屋は完全な闇に包まれた。
『ーーーピーーーーーーーー』
拓実と洸人の絶叫が同時に途絶えた。
「拓実先生!? 洸人くん!? 嘘だろ……脈が、ない……二人とも、嘘だろ!? 目を開けてよ!!! 誰か!!! 誰か来てくれよ!!!」
ゆっくりと医局の非常灯が薄暗く灯る。そこに横たわっていたのは、完全に心停止し、ピクリとも動かなくなった拓実と洸人の冷たい身体だった。
「……拓実先生、洸人お兄ちゃん。一緒に行こうね……?」 ここなの霊が両手を優しく差し伸べると、二人の身体から、魂がゆっくりと立ち上がる。
「……待たせてごめんな、ここな。もう痛くないか? これからは、ずっと一緒や」 拓実の霊がここなの頭を優しく撫でる。
「約束、破ってごめんな。でも、もう二度とこの手は離さないから。……大夢、あとは頼んだぞ」 洸人の霊がここなの手をしっかりと握りしめる。
三人の姿は、温かい光の中に溶けるようにして消えていった。
第四章:崩壊する精神
翌朝。病院内は、ここなの死、そして深夜の医局で起きた拓実と洸人の突然の心停止というトリプル不審死に騒然としていた。
何も知らないまま、一人だけ生き残ってしまった大夢は、抜け殻のようになって病室の隅に座り込んでいる。そこへ、異変を察した威尊と汐恩が血相を変えて飛び込んできた。
「大夢……っ! なぁ、どういうことや!? ここなちゃんだけじゃなくて、拓実先生も洸人くんも死んだって……おい、何があったんや説明してくれ!!」 威尊が詰め寄る。
「……ここなちゃんだよ。ここなちゃんが、連れて行ったんだ……。約束守れなかったから、怒って、寂しくて、みんなで行っちゃったんだよ……」 大夢の目は焦点を結ばない。
「ふざけんな!! 訳わからんこと言うなや!! なんで……なんで俺らだけ置いていくんや」 汐恩が大夢の胸ぐらを掴み、涙をボロボロと流しながら声を荒げる。 「昨日あんなに一緒に、頑張ろうって、大丈夫って言うたやんか……っ!」
すると、掴みかかる汐恩の手を威尊がそっと制した。その顔には、狂気を孕んだような、どこか歪んだ笑みが浮かんでいた。 「……なぁ、汐恩。大夢の言う通りかもしれんで。ここなちゃん、韓国語で『ケンチャナ』って言ったとき、嬉しそうやった。でも、独りぼっちは寂しかったんや。拓実先生と洸人くんだけずるいわ。……俺らのことも、呼んでくれるよな?」
汐恩はハッと目を見開いたあと、ふっと視線を落として力なく笑った。 「……そうか。そうやな。あいつらだけで、ここなを独占するなんて許さん。俺、ここなの手がちぎれるくらい握っててええって約束したしな……」
「……僕が、だっこしたから」 大夢は二人を見上げ、涙を流しながらブツブツと呟き続ける。 「僕が、一番最後に抱きしめたのに……なんで僕だけ置いていくの……? ここなちゃん、僕も、僕もそっちに連れてってよ……っ!!」
静まり返った病室には、誰からともなく「ここな……」「ここなちゃん……」と、その名前を呼ぶ、病んだ呟きだけが冷たく響き渡り、絶望が部屋を完全に支配したーー。
その、瞬間だった。
終章:テッテレー!
『テッテレーーーーーー!!!』
バァン!!! と病室のドアが、鼓膜が破れんばかりの勢いで開き、派手なクラッカーの音が鳴り響いた。
「「「大成功ーーーーーーー!!!!!!」」」
「……は?」と威尊。 「…………え?」と汐恩。
入り口には、満面の笑みで「ドッキリ大成功」のプラカードを持ったここな。そして、死んだはずの拓実と洸人が肩を組んで立っている。拓実に至っては、死んだときの「臨終メイク」のまま満面の笑みでピースサインを決めていた。
「いや〜〜! 大夢、威尊、汐恩! 名演技すぎてこっちが泣きそうになっちゃったわ! 特に大夢の『僕も連れてってよぉ〜泣』のところ、最高だったぞ!!」 洸人がお腹を抱えて大爆笑する。
「いやぁ、ここなの幽霊の演技すごかったなぁ! 『嘘つき……っ!』って言われたとき、マジで心臓止まるかと思ったわ、ハハハ!」 拓実もメイクをシートで拭き取りながらケラケラと笑っている。
ここなはケロッとした顔で、呆然とする威尊と汐恩に駆け寄った。 「威尊お兄ちゃん、汐恩お兄ちゃん! ここな、手術大成功したよ! 頭の痛いの、拓実先生が全部治してくれたの!」
「……え? ……え? じゃあ、あの心停止のアラームは……? 医局で死んでたのは……?」 大夢は涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔のまま、床にへたり込んで震えている。
「あ、あれ? 音響担当の音と、俺らの死体メイク! 洸人くんの白目の演技、マジでリアルやったろ?」 拓実が親指を立てて自慢げに笑う。
その時、病室の空気が再び凍りついた。ただし、今度は絶望ではなく、純粋な「怒気」によって。
「……拓実先生。洸人くん。ここなちゃん……」 威尊の声が、聞いたこともないような超低音ボイスに変わる。
「おい……。俺らがどれだけ本気で絶望したか分かってんのか……? 覚悟しろよ、お前ら……!!」 汐恩がバキバキと拳を鳴らし、目が完全に据わっている。
「(笑顔が引きつる)え、あ、あれ……? 怒ってる……? ここなちゃん、逃げるぞ!!!」 洸人が叫ぶ。
「キャーッ! 怒られたー!(笑)」 ここなを楽しそうに抱え直した拓実と洸人が、一目散に廊下へ逃げ出す。
「待てコラァァァ!!!(怒)」 汐恩と威尊、そして急に元気を取り戻した大夢が般若の形相でその後を追う。
生きている喜びと、あまりにもタチの悪いドッキリへの怒りが爆発し、小児科棟は大追いかけっこ大会の会場と化した。ここなの頭の痛みはすっかり消え去り、いつもの賑やかで温かい日常が、最悪で最高の形で戻ってきたのだった。