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〖変な生き物〗
今日のお題
『田舎』『伝説の生き物』『友好関係』
田舎って狭くて息苦しい。
田舎が狭いと言うと、皆は「田舎は田畑が一面に広がっていて、だだっ広いイメージだけど」と言う。
確かに広いけど、狭いんだ。
人が少ない分、見るものが少ない分、私達は監視される。
だから私は都会の喧騒から離れたいとか、田舎で自由に暮らしたいとか、そんなことを願って田舎に住む人がいると聞いて、馬鹿なんじゃないかと思った。
都会の方がよっぽどいい。
喧騒に紛れた方がよっぽどいい。
私はそう思ってた。
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小6の秋、私は”それ”と出会った。
「えっ」
私は自然が好きだ。
森は本当に自由で、田舎よりも、都会よりも、いい。
動物達の自由さに手招かれ、私は自然の魅力にハマっていた。
だがある日、変な生き物を見つけた。
白い馬のような生物で、1つ角があり、虹色のたてがみと尻尾がこの世の生物とは思えなかったが、とても美しかった。
結構小さくて、ダンボールにすっぽり入っていた。
「これって…ユニコーン?」
ユニコーンは架空上の生き物であろうが、確かに私の目にはユニコーンに見えた。
「えっ…」
私は取り敢えずその生き物をツンツンとつついてみた。
すると突拍子にぱちりと瞼を開け、口を開ける。
「水をくれ」
「うぎゃぁぁぁぁああ」
私は驚きのあまりに横転する。
そして、運命的な出会いをした。
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それからというもの、私は毎日森へ通い、その生き物と日々を過ごした。
田舎の人付き合いに子供ながら疲弊していた私にとって、その時間は子供の自分をさらけ出せるような、そんな時間だった。
だがある日を境に、姿を見かけなくなってしまった。
私はもう社会人だ。
実家に帰って、久しぶりに森を尋ねた。
色々な生き物が自由に過ごしているが、あのユニコーンはやっぱり居ない。
でも、もうそれでいいと思う。
あの幻想的な体験の出来る、田舎の素晴らしさを知れたのだから!