公開中
ぬいぐるみ
???「ねぇ、聞こえる?」
???「大丈夫?」
???「だいぶ参ってるみたいだね」
???「でもそれは…他のみんなだって同じだよ」
???「だって、いきなりこんなことに巻き込まれたんだから…」
???「……………」
???「…聞こえてる?」
わからない
ここは…どこなんだ…?
オレはどうして…ここにいる…?
何が起きた…?
まず、それを思い出せ…
考えろ
考えろ考えろ考えろ…
思考を動かし、ぐちゃぐちゃに絡まった糸を解きほぐしていく
状況を整理しろ。
………………………
………………
そうだ…オレは…
おれ…は………
---
その日はオレにとって、単なる365分の1日なんかじゃなく、
もっと特別な意味を持つ1日だった
待ち焦がれたその日を迎えたオレは、なんとも言えない誇らしげな気分になっていた
子供の頃から憧れていた存在になれる気分…そういえば伝わるかな
『私立 希望ヶ峰学園』……
オレにとっては、単なる学校という枠を超えた、もっと特別な存在…
オレは幼い頃からずっと、希望ヶ峰学園に憧れを抱いていた
一等地に巨大な敷地を誇る、政府公認の超特権的な学園…
全国からあらゆる分野の一流高校生を集め、将来を担う《《希望》》に育て上げる事を目的としている
誰かが希望ヶ峰学園について語る時、いつもこんな言葉がつく。
『この学園を卒業できれば、人生において卒業したも同然』
これは冗談とか誇張なんかではない
まさに、《《希望の学園》》の通称通りってわけだ
そんな希望ヶ峰学園への入学資格は2つ…
《《現役の高校生であること》》
《《各分野において超一流であること》》
基本的に希望ヶ峰学園に、入学試験は存在しない
学園側にスカウトされた生徒のみ、入学を許可される…
それが、希望ヶ峰学園のシステムだ
そして、そこで選ばれた彼らの才能を…
《《超高校級》》なんて呼ばれてたりもする
そして、オレは念願かなって入学できるようになったわけだが…
実はオレの場合、少し事情が違うんだ
まぁ、それは後回しでいいだろう
すぐにわかる事だし、特別に言うほどでもない…と思う
そんなことよりまずは、自己紹介でもするとしよう
???「はーっはっはっは!特別にオレが、お前らのために自己紹介をしてやる!」
司「オレの名前は、天馬司だ!」
司「オレにとっての希望ヶ峰学園は、言わば、ヒーローでありスターのような存在なんだ!」
司「その憧れは、《《夢》》なんて言葉にも置き換えられるかもしれんな」
司「だからオレは、自分がその一員になって…もっと胸を張れるようにずっと…」
それだけを目標に今までずっと…
それだけを目標に今までずっと…
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっ
とずっとずっとずっと今までオレは自覚せざるを得ないほどの無個性で恥ずかしくなるほど画一的でだからこそ希望を
才能に◾️個性に憧れたPかもしれない◾️けどようやくオレはずっと●D頑張ってその夢がKでようやく叶っ〜+いd
あ………れ……
なんだ…これ……
扉だ
扉がある…
それより早くしないと…
だって、オレはここに入るべきなんだ
…べき?
べきって…なんだ?
いや…とにかく早くしないと…
---
司「…………」
司「…あれ?」
司「………………」
???「…だ、だれ?」
司「え…?」
???「あの…大丈夫ですか?顔色が悪いけど…」
司「あ…え、えっと…?」
???「あ、もしかして!貴方もここの新入生なんじゃないの?」
司「では…お前たちもそうなのか?」
???「ま、そういうこと!私たちも、この学園の新入生よ!」
こいつらが…全員新入生なのか…
希望ヶ峰学園に入学する…超高校級の新入生…
なんだか視界がぼやけて…顔がよく見えないな…
???「多分この教室には、俺たちみたいな新入生が集められているんですね」
集め…られている…?
???「…とりあえず中に入ったらどう?」
司「あ、嗚呼…」
オレは周りに緊張を悟られないよう、精一杯無表情を装ったまま…
入ってきた扉を後ろ手で閉じ、空いている席に腰を下ろした
それにしても…………
さっきのは…なんだったんだ?
気づいたら目の前にこの教室の扉があって…
まるで、そこに吸い寄せられるように…
だが…オレはどうやってこの教室まで歩いてきたんだ…?
覚えていない……
何かが…変だ…
司「おい、少しいいか?」
???「ん?どうしたの?」
司「お前らはどうして…この教室に集まってるんだ?」
司「ここに集まれなんて聞いてなかったけど…入学式とかホームルームとか…ここでやるのか?」
???「それは、ちょうど今から話し合おうと思ってたところだったんです」
???「これで全員揃ったみたいだしね…」
???「え?これで全員なの?なんで?」
???「ここにある机は20個だけ…今来たこの人で20人…」
???「なるほど!それで…何の話をするの?」
???「やっぱり、私たちがこの教室に集められた理由についてじゃないですか?」
???「うん、そうだよ」
???「えっと、まず確認したいんだけど…」
???「この中に、どうやってこの教室まで辿り着いたか…覚えてる人はいる?」
オレたちは、互いに顔を見合わせていた
全員、驚いた顔のまま…手を挙げる人間は1人もいなかった
???「気づいたらこの教室にいた…みんなそうなんだね」
???「でも…どこか変ですよね…」
???「うん…誰も覚えてないなんて…」
???「この学園に足を踏み入れた途端、奇妙な眩暈に襲われ…わけもわからずここにいる…」
???「私はこんな感じだったんだけど…他のみんなもそうなんだよね?」
司「嗚呼、オレは全くその通りだ…」
???「え?あの眩暈って私だけじゃなかったの!?」
???「でもでも!みんな揃って眩暈なんておかしいよー!」
???「ぐ、偶然にしても出来過ぎだよね…」
???「まさか…偶然じゃなかったりして…」
???「え…偶然じゃない…?」
???「それより今は、どうしてここに集まったのか…より、どうしてここから出られないのかの方が問題じゃないか?」
???「は?出られないってどういうこと?」
???「ま、まさか…」
ガタガタガタ…
???「あ、あれ…開かない!開かないよ!?」
???「な、なんで!?」
???「どうなってるんでしょうか…」
???「開かないって…なんで…?そんなのおかしいわ…」
???「だって私が入ってきた時は普通に開いたし…鍵が掛かった感触だってなかったのよ?」
???「なんの原理かはわかんないけど…」
???「私たちが閉じ込められたのは事実…みたいだよね」
…閉じ込められた…?
途端に、体が重くなったのが分かった
両肩に不安感がズシリとのしかかる…
???「俺たち…やばいことに巻き込まれた…とか?」
???「というよりも…これが《《入学試験》》だとは考えられないかな?」
司「入学試験…?希望ヶ峰学園のか…?」
???「え?希望ヶ峰学園には入学試験は存在しないんじゃなかったの?」
???「表向きにそう言ってるだけで、実際は《《特別な入学試験》》が行われていた可能性も…」
???「あ、違いまちゅよ。これは入学試験じゃありまちぇーん!」
???「な、なに?今の声…」
???「ちょっと…誰?急に可愛い声出さないでよね…」
???「あのー、あちしでちゅけど!」
???「だ、誰なの!?どこにいるのよ!」
???「そこの教壇から聞こえたみたいだが…」
教壇の…向こうから…?
???「はーい!ミナサンお集まり頂けたみたいでちゅね!」
???「それじゃあ初めまちょうか!」
???「……なに…あれ…?」
???「…ぬいぐるみじゃないの?」
???「そう。あちしはぬいぐるみなんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」
ウサミ「《《魔法少女ミラクル★ウサミ》》…略してウサミでちゅ!」
ウサミ「こう見えても、ミナサンの先生なんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」
ウサミ「よろしくね!」
???「あ、あれ…これは幻覚…?私にしか見えない幻覚なのかな…?」
???「私も…見えてるよ…」
???「とゆーか!なんで猫ちゃんが喋ってるの!?」
???「え?あれって猫さんだったの?」
ウサミ「…ミナサンはうさぎってご存知でちゅか?」
ウサミ「ふわふわと柔らかくて、もふもふと愛おしい生物でちゅ」
ウサミ「あちし、それなんでちゅ!歌って踊れて喋れるうさぎのマスコットなんでちゅー!」
???「ま、まって!一旦整理させて!」
ウサミ「はい!いいでちゅよ!」
???「えっと…みんなはどう思う?」
???「ど、どうせラジコンか何かだよ…そんなことで騒ぐ必要ないって…」
???「いや、ラジコンにしたってリアルすぎない?おもちゃってレベルじゃないよ…」
???「どうやって動いてるかは置いといて…貴方のその口振りからして…」
???「知ってるんだね?私たちがどんな状況に置かれているのか…」
ウサミ「もちろん知ってまちゅ!あちしは、この《《修学旅行》》の引率の先生でちゅから!」
???「は…?修学旅行…?」
???「ちょ、ちょっと!修学旅行って…どういうこと!?」
ウサミ「教職員の引率の元で生徒さんが団体行動で旅行をする、学校生活における一大イベントの一つでちゅね!」
???「そういうことじゃなくて…!」
ウサミ「では早速!楽しい修学旅行の旅に出発しまちょーう!」
司「しゅ…出発…?」
ウサミ「えーい!」
司「………!」
---
司「……………」
司「は?」
目を疑った
目だけじゃない。自分の頭を疑った
そして世界を疑った…
教室が舞台セットのように崩れ落ち、オレの目の前に現れたのは…
青い空と白い雲…
青い海と白い砂浜…
司「な…な…な……なんだこれはーーー!?!?!?」
どう考えても異常だ
明らかに理不尽だ
完全に狂っていた
徹底的に間違っていた
???「え、えーっと……」
???「私…ついに頭おかしくなったのかしら…」
???「うそ…でしょ…?」
???「うぇーー!?こ、ここどこ!?」
???「どうなってんの!?」
ウサミ「ミナサン!落ち着いてくだちゃーい!」
ウサミ「慌てる必要ありまちぇんよ!ほーら、よく見てくだちゃい!」
ウサミ「綺麗な海でちゅよね…心が洗われていきまちゅよね…」
ウサミ「嫌なこととか…全て洗い流してくれまちゅね…」
???「ま、まってよ!ここはどこなの…!?」
ウサミ「どこって…そりゃあもちろん…」
ウサミ「うーみーはーひろいーよねー!おおきーよねー!」
ウサミ「の、海!」
???「そ、それは見りゃわかるよ!」
???「なんで海にいるのか聞いてるの!」
ウサミ「ねぇ…そんなに叫んでばっかりだと喉とか痛くなっちゃいまちゅよ?」
???「だ、だっておかしいよ…さっきまで学校にいたはずなのに…
ウサミ「安心してくだちゃい、修学旅行が始まっただけの事でちゅから!」
???「なんでいきなり修学旅行…?いろいろすっ飛ばしすぎでしょ…!」
司「そ、そうだ…!オレたちは入学するために来たんだぞ!?」
ウサミ「あぁ…希望ヶ峰学園ね…なるへそね…そうでちゅか…」
ウサミ「希望ヶ峰学園の事が心残りなんでちゅね。だったら…」
ウサミ「希望ヶ峰学園のことは忘れてくだちゃーい!そのための修学旅行なんでちゅから!」
???「わ、忘れろ…って…」
???「お前は何者なんだ…?何を企んでいる…?」
ウサミ「ほわわっ!?企むなんてとんでもない!あちしはミナサンの為にやってるだけでちゅよ!」
ウサミ「ミナサンが大きな《《希望》》を胸に成長する事を心より祈っているだけでちゅ!」
ウサミ「だから、この島に危険は一切ありません!ね、安心してくだちゃい!」
???「この…島?島なの?」
ウサミ「はい、ここは見るも美しい南国の島なんでちゅ」
ウサミ「危険もないし、他人もいない。ミナサンの為だけに用意された島でちゅ」
司「無人島…ってことか…!?」
???「まさか、この無人島で僕らに殺し合いをさせるつもりかい…!?」
ウサミ「ほわわ!?殺し合い!?」
ウサミ「め、めっそーもないでちゅ!暴力とか他人を傷付けたりとか、そういうのは厳禁でちゅ!」
ウサミ「それに殺しだなんて…口に出すだけで恐ろしいでちゅ…!」
???「じゃあ修学旅行ってなに…?何をさせようとしてるの…?」
ウサミ「えっとでちゅね…」
ウサミ「ミナサンはこの島で、ほのぼの〜と暮らしながら、仲良く絆を深めていってくだちゃい!」
ウサミ「それが『どっきどき修学旅行』のルールなんでちゅ!」
???「ど、どっきどき修学旅行…?」
ウサミ「何も起きず、誰も傷付かず、誰も苦しまず、ひたすら平和でほのぼのと希望を育て合う日々…」
ウサミ「そんな、らーぶらーぶな『どっきどき修学旅行』こそが…」
ウサミ「この島でミナサンに与えられる課題なのでちゅー!」
司「な…なんだ…それ…」
ウサミ「さぁ、『どっきどき修学旅行』が始まりまーちゅ!」
当たり前だが、全くついていけなかった
ついていけるわけなかった
そしてそのまま、ゆっくりと緞帳が下りていくように…
オレの意識はなくなった