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小説「聖夜の奇跡」 No.3
登場人物
・カイ
・アヤ
・ユウ
「あ、カイじゃん」
聞き覚えのある声に、思わず顔を歪める。
まるでロボットのようにカクカクとカイは振り返った。
その顔を見た瞬間に声が漏れたのは『げ』という声。
「ユウ……」
「げ、は酷すぎない?」
ここにいるとアヤが来てしまう。
帰らそうとしたが、時すでに遅し。
「えっと、カイの友達?」
「まままさかカイの彼女!?急いで写真撮ってクラスのグループに……」
「バカ、お前やめろ!」
カメラを起動するユウはアヤを盾にし、カイは立ち止まるしかなかった。
ユウを睨んでいる間に自己紹介が済み、何故か高校での話になっている。
「カイって学校ではどんな感じなんです?」
「陽キャでも陰キャでもないごく普通の人間。運動が出来るから一応モテる。あと文芸部で小説を書いてるね」
何でもかんでも話すユウのこめかみをグリグリするカイ。
イタタ、とスマホを落とさないように頑張るユウ。
「良かった。まだ小説家になる夢、諦めてないんだ」
「え、カイの将来の夢って小説家なの!?」
少し考えた後、言っていないことに気がつく。
コノヤロー、と今度はユウがやり返していた。
No.4は2022/09/16/12:00公開予定です