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忘れたいよ
夜ふかしの店応募用に作ろうと思った話です!
ねえ、どこ見てるの?
振り返ってよ、私だけを見てくれないの?
ねえ、どこ行くの?どうして何もいってくれないの?
ねえ、ねえ!!
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「|函宮《はこみや》?おい、寝るなー」
はっとした。
今は授業中だったんだ。
いつの間にか眠ってしまっていた、私ったらなんて悪い子なんだろう
最近は睡眠すらまともに取れていないのだから授業中くらい寝かせてくれないのだろうか教師たちはみんな頭が硬いからこんなこと言っても無理だろうけど
「すみません」
「お前さーいくら成績が良くったって居眠りはやめろよ」
ジジ教師に言われて「はーい」と伸びた声で返した。
周りも私を見てヒソヒソ話してる。
せんせーこういう奴らを注意してくださいよー
なんて言っても自業自得って返されるのか?それとも授業妨害じゃないとかになるのだろうか、、、、、、あー、ムカつく
それにしても嫌な夢だった。
何で、リョウくんが出てくるんだろう
リョウくんのこと忘れたいなー
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--- 過去話 ---
リョウくんとは私の元彼。高校生の私と歳は違い彼は大学を卒業していて社会人だった。
出会いは電車だった。
私が寝落ちしてしまっていたところを彼が起こしてくれた
「君、いつもここで降りてるよね?俺も降りるとこなんだ、一緒行こ?」
彼は私に手を差し出して微笑んだ。
「ありがとうございます」
私も彼の手を握って電車を降りた、のだが恥ずかしくて仕方なかった。
大人の男性と手を繋いだこと、寝顔が見られたこと、それに罪悪感がどんどんと押し寄せてきた。
申し訳なくてオロオロと彼に尋ねた。
「あの、降りる駅、本当は違いましたよね?私、いつも電車の端っこにいるんで見てるんですけど、、、、、、この駅の二つ前ですよね?」
男性はエヘヘっと笑って首筋を掻いた
「バレちゃってた?かっこよくしたかったんだけどなぁ、降りようと思ったらいつも降りる人たちを見つめてる君が寝ちゃってたから」
男性の無邪気な笑みに何も言えなくなってしまった、可愛いな
けど、どうして、、、、、、どうして私の降りる駅を知ってたんだろう
男性は私より先に降りることが多いし、私の駅を知ってるはずがないのに、、、、、、けど聞けなかった。
聞いたら、男性は去っていっちゃいそうだったから
「名前、なんていうんですか!?」
聞くことなくて、ちょっと悲鳴に近い声で言ってしまった。
沈黙は苦手なんだ
「んー俺はリョウ。滝沢遼」
エクボのある笑顔を浮かべて彼は名刺を出した。
「リョウさん、、、、、、年上なんですね。私は函宮音緒乃って言います。」
「ねおのちゃん。なんて書くの?」
私は学生手帳を取り出て名前を見せた。
「へー可愛いね、俺のことはリョウでいいよ。さん付けとか苦手」
リョウの笑顔は優しくて年上なのに同級生とおんなじくらい無邪気なお子様な笑顔だった。
大人の男性には失礼だが、可愛い
「リョウくんとかはいいですか?」
「うん!」
その後、リョウとは連絡を交換するほど仲良くなっていた。
そして私たちは付き合った。
仲だって良いし両思いになってた
けど、一度大きな喧嘩をした、それは私の最寄駅をなぜ知ってたのか、という話だった、彼は私のストーカーをしていてそれで知ったということだ。
彼はそれを認めた。
私は怖くて、気持ち悪くて連絡を無視したけど、けど、リョウがいなきゃダメになっちゃってた。
彼の腕の中にいると気分が落ち着いて、それにぐらつく。
こうやって、他の女にも優しくしてるんじゃないかって、私以外の女性と笑ってるんじゃないかって、弄ばれてるんじゃ、、、、、、っていつも考えた。
けど、私に笑ってくれるリョウは私だけのものだ。
私のリョウが今目の前にいるのなら怖くない、きっと大丈夫って言い聞かせてた。
--- 分かってたのにね ---
リョウにデートをドタキャンされてふくれっつらな私が街を歩き回ってると見覚えのある男性がいた。
・・・・・・りょ、リョウ?
彼の隣には私の知らない女性がいて、私の知らない笑顔をリョウは女性に見せていた。リョウってこんなふうにも笑えるんだ。
っていうか、あの女誰?
私と違って大人の雰囲気のあるキレイな女性だった。
彼女も愛おしそうにリョウを見てた、だから気付けた、気づいてしまった。
きっと、二人はただの友達じゃないんだって・・・・・・
私は見てるのが辛くて駆け出した。
家に帰って部屋で泣きじゃくった。
分かってた、分かってたんだ、そんな気がしてたよ。
だってリョウは隠し事が下手くそだもん。
けどまだ決まった訳じゃない、だって、リョウの彼女は私だもん。けど、あの女性に勝てる気なんてしない。
大人のキレイな女性と子供な高校生
優しいリョウに子供の私は不釣り合いだって気づいてたし、無理だって分かってるけど、好きになったんだから、恋に落ちちゃったんだから仕方ないって突っ走った私が付き合えて舞い上がっててもどこかでリョウはあの人を思ってたんじゃないかな
「ねえ、リョウ?」
見てしまった一週間後のデートで私は彼の名前を呼ぶ。
愛おしい名前
「んー」
適当な返事でもリョウらしいって思った
「私のこと好き?」
「好きだよ?どうして?」
「ううん、何でもないよ。」
ああ、このまま時が止まってしまえばいいのにね
リョウが私とずっといてくれる今日が一生続けば良いのにな
「あっ、キレイな花だねー」
そんなことでいい、ただ君の声が聞こえるならいいよ
「本当だぁ、リョウってよく見てるよね」
あ、笑った
この笑顔はリョウが私だけに今見せてくれた笑顔だから、あの人も知らない。
ねえ、リョウ?
ずっと私だけを見てよ。
握った手を強く握り返した。
言っていいよ、今日なんかソワソワしてるね
「、あのさ、今日誕生日だろ?おめでとう」
リョウがおしゃれな箱をくれた。
「ねえ、開けていい?」
ゆっくりとうなづく君を見て蓋を開ける。
中には可愛いネックレスが入っていて、わあ、と声を漏らした。
「付けて!」
リョウが私の首に通してくれたネックレスに触れて微笑んだ。
「今日が生まれてきて一番幸せな誕生日だよ」
今日が生まれてきて一番最悪な誕生日だよ、リョウ
ねえ、服から香水が漂ってくるのはなんでなの?私と会うまで誰かと居たんでしょ?
ねえお願いだから、離れないで
私だけ見て欲しいよ、
どこにいってもいいから、最後には私を思い出して、帰ってきてくれたらいいから離れないでよ、捨てないでね
彼の腕の中で私はそれだけを願った。
夜ふかしの店用に作りましたが、完結しませんでした!
次回も書きたいと思いますが、この話だけ、参加させときます〜
読んでくれてありがとうございました!!