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奇病患者が送る一ヶ月 六日目
諸事情により、一部を勝手に変更されて頂きました。
報告や相談もせずに変更してしまった事を、深くお詫び申し上げます。
尚、作中にも大きく関わる事のため、これ以上年齢を若くする事は出来ません。
我ながら、ご希望通りに執筆が出来なかった事、申し訳なく存じます。
ご了承賜りますようお願い申し上げます。
「緊急事態だっ‼」
珍しく黶伊が取り乱して、バタバタと医務室に入ってきた。
「どうしたんすか…⁉」
そんな姿を見て戸惑う俺達を代表して菱沼が言う。
「緊急事態とか…この病院ではいつも通りが緊急事態でしょ。」
シエルがそんな事を言うが、黶伊の耳には届かず、彼は続けた。
「大変なんだっ…‼朝、目覚めたら…、翠ちゃんが…‼」
最悪な事態が頭をよぎる。
「ま、まさか…、もしかして…‼」
「あぁ、いないんだ…!院内を探し回ったけど、どこにもいない…‼」
まずい…、これはまずい…。
混乱する頭の中でまた一つ嫌な事に気付く。
「危険だ……危ない、外は駄目だ。絶対に街にだけは。
このままじゃ、もしかしたら…。一刻も早く見つけないと…‼」
「灰山さん…?大丈夫?」
「シエルと菱沼は院内をよく調べてくれ…。黶伊は病院裏を中心に頼む。
俺は街の近くまで行ってみる。あそこにだけは…。」
「分かった、じゃあ見つかり次第、連絡するよ…‼」
黶伊はそう言い、医務室を飛び出して行った。
焦りで胸を締め付けながら、俺も黶伊の後を追うように飛び出した。
「あっ、怪我しないように気を付けるんすよっ⁉」
「…変なの…。」
「さっさとジブン達も探すっすよ!」
「はいはい、分かった分かった。」
---
[黶伊視点]
僕はあの人に言われた通り、病院裏を調べていた。
この病院裏は、墓場となっていて、ここで亡くなった人達を埋葬しているそうだ。
だが残念ながら、僕がそこまで気にしていないと言うこともあり、
この四年間でここへ来たことは数えるほどしかなかった。
一体、翠ちゃんは何処へ行ってしまったんだ…。
独りになった途端、不安や心配が徐々に募っていく。
ふと顔をあげると、不自然な小道が見えた。
草木が覆い茂ってしまい、獣道すら出来ていないが明らかに人が通った足跡が見える。
もしかして…、この奥に行ってしまったのか…?
こんな道があったことに驚きだが、今はそんな時間なんてない。
僕は迷いもせずに小さく細い道を進んだ。
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[灰山視点]
俺は翠と関わった事は無い。一度たりともと言っても過言ではないだろう。
自分でも職務放棄なんじゃないか、って思う事も多々あるがこれにも事情はある。
まず俺は翠が八歳の時、強制的に回収した。
見た感じ異変は特に無かったが、俺の勘がこいつはマズイぞって言った。
案の定調べてみたら奇病持ち。
|鉱石涙腺病《あらがねるいせんびょう》…、って言うその時に初めて見つかったもの。
名前の通り涙が鉱石になる。ちょっと変わってるが、別の意味で危険。
その時は、念のため俺が看護等をしていた訳だが…、
翠の性格上、どうも扱いが難しかった。全く懐いてくれなかったのだ。
でもまぁ、あの時は丁度仕事も山積みで困り果てて、
俺が患者達の事をかなり大雑把に管理してたから、結局悪いのは俺なんだよな。
その時から既に菱沼と黶伊はいたが…。
菱沼に患者を任せるには危なすぎる。絶対にやめたほうがいい。
奇病に一般人を加えたら、患者になる可能性は極めて高い。
とは言え、黶伊に任せるのも色々あって抵抗はしたが、
経験せずして事はわからぬ、百聞は一見に如かずか…、って思って翠を任せた。
そもそも黶伊も奇病持ち。
…天使病とは、知っているだろうか。
これはかなり有名だろうから、説明は大まかに片付けよう。
天使病とは、患者の背中に生えた羽が栄養を奪い、患者を死に追いやる病だ。
黶伊はその奇病の持ち主のため、今でも天使のような羽がよく目立つ。
ファンタジーみたいな奇病だったのか、本好きの翠にはよく響いたそうで、
彼には懐いてくれた。
当然ながら、俺は嫉妬なんてものを抱くほどの余裕はなかったため、
何かを思った訳ではないが、強いて言うなら喜びを感じた。
成長や彼らの変化に、心底喜びを感じた。
それからは翠の事は全て黶伊に任せたが、嫌がる素振りは見せなかった。
多分、なんだかんだ気に入ったのかななんて思ったが、もう俺には知る由もない。
俺は重たい瞼を開ける。どれぐらい意識を失っていただろうか…。
いったたた…、頭がすげぇ痛いんだけど…。
どうやら俺は石につまずき転んだそうで、少し高めの崖から落ち、
頭を打ったみたいだ。血は…、多分大丈夫だろう…。
あぁ…、クッソ…、こういう時に限って端末機器置いてきた…!
まださほど病院から離れてはいないだろうが、
これじゃあ今どの辺りにいるか分からないな…。
生憎、ここの周辺に目印になるものは無く、ましては広すぎる。
街がそれほどざわざわとしてなかったから、翠が街に行った可能性は低いだろう。
…今はもう街の声すら聞こえねぇ…。聞こえるのは鳥のさえずりぐらいか…。
参ったな…。本当にどこかが分からない。でもここで待ってても仕方ねぇよな。
俺は自力で帰る事を決意し、痛む足を引きずりながら歩き出した。
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[黶伊視点]
スマホを確認すると、翠ちゃんを探し始めて、もう四〇分も経ったようだ。
僕もかなり歩いたが、周りの様子が変わったようには見えないね…。
どれだけ歩いても、ずっと森の中で、同じ場所を延々と歩いているようだった。
本当にこの先にいるのだろうか…?
とは言え、ここから引き返す事は出来ない。
ここで引き返せば、僕は一生後悔するだろう。
突然、辺りが日光により眩しくなった。
木々や草木が開け、その平野のような場所に、
ポツンと小屋のようなものが建っていた。
物置だろうか…?
僕は静かに小屋の戸を押すと、ギィっという音を立てて戸が開く。
中には翠ちゃんが、小さなスツールに座っていた。
「翠ちゃん?大丈夫かい…?」
息はある。どうやら眠っているようだった。
近くにこの子がよく読む本が落ちているから…、
きっと本を読んでいた途中で眠ってしまったのだろう。
「ここにいたんだね、翠ちゃん。心配しちゃった。」
僕は聞こえてない事を知っていながら、あえてそう口にした。
スヤスヤと眠る翠ちゃんをお姫様抱っこで持ち上げる。
僕はスマホを取り出し、あの人に電話した。
「翠ちゃん、見つけたよ。」
「くぁwせdrftgyふじこlp⁉」
「えぇっと…、少し落ち着いてくれないかい?」
「怪我とかッしてないっすか⁉大丈夫っすか⁉」
「あぁ、無傷だったよ。今からそっちに戻るね。」
「分かったっす‼気を付けるんすよ⁉道中に何がるか分」
さて、翠ちゃんを起こさないようにしながら帰ろうか。
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[灰山視点]
「いってぇぇぇぇぇぇぇ‼‼‼もう少し優しく出来ねぇ⁉」
俺が菱沼に怪我を着々と手当てされていると、
不意に消毒が染みて、考えられないほどの痛みを指の先まで感じる。
「仕方ないっすよ…。というか、なんでこんなに大怪我してるんすか⁉」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「全く聞いてないね。」
翠を膝で寝かせている黶伊が言う。
「マジか。あーー…、ほら、転んだ!」
「転んだだけでこんな大怪我しないっすよ⁉」
俺の言葉に菱沼がすかさずツッコむ。
えぇー…、間違えてはないんだけどなぁ…。
「足に腕に頭って…。まぁ確かに転ぶだけじゃこんな怪我しないよね…。」
シエルも若干苦笑いを見せた。
うーん…とは言え崖から落ちたとか言ったら、絶対怒られるじゃん。
「まぁ、翠が無事で良かったな‼」
俺が誤魔化すように言うと、
「灰山サンが怪我してちゃ意味ないっすよ。」
菱沼は安定の返しをする。
駄目だったか…。残念!
でも、この怪我じゃあと三日ぐらいは安静にしておかないといけないよな…。
まぁ…、さほど困んねぇだろうし良いか‼
████ま█、
あと24日。
ごめん、今回はマジで酷かったかもしれない。
いつも通り誤字脱字はご割愛なんだけど…、
結構急いで書いたから、出来は最悪だね。
マジでごめんなさい。
ゆーるしってちょ((反省の色が見えない
あと、やっといつも忘れてた[灰山視点]の文字を入れました。
本当にすみません。以前までずっと読みづらかったと思います。
てかなんでそれだけ忘れてるんだっていう感じっすよね笑
ハッハー()