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子供として
彼に買ってもらったヴィヴィアンウエストウッドのネックレス。本物かも偽物かも分からない輝きを見つめる。
月曜日の昼下がり。世の学生や社会人は憂鬱な気分でそれぞれ社会に出向いているだろう。
そんな中、太陽光を遮るように遮光100%のカーテンを閉め、極わずかな外からの光で手元を照らしてネックレスを見つめる私は、所謂社会不適合者。
16歳にして不登校3年目。何故高校に受かったのかも分からない。恐らく私は高校二年生になれないだろう。まだ6月の上旬なのでjkとして生きれる期間はあと約10ヶ月。この10ヶ月のうちに学割ならなにやらを使っておくかと思いつくものの、引きこもりの私が学割を使う機会は年に1回、好きなアニメの映画を見に行く時だけ。学割で少しだけ映画代が安くなる。映画が公開されるのは毎年4月だからもう学割を使う機会は無いなと無駄なため息をつく。
私がなんで不登校になったのか。
まだ誰にも話したことは無い。
建前としては『勉強が嫌になった』だが私は記憶力がとてもいいので1度教科書を読めば問題の8.5割は答えられるし、まだ学校に行っていた中学1年生の時には、学年で2位を取ったこともある。
学校に行かない理由。
簡単に言えば、大人になりたくなかった。学校に行って勉強したり友達と関わったりするのも全部全部、大人になるためだって分かって怖くなった。
彼が与えてくれた愛情も大人になれば無くなってしまうって知っていたから捨てた。
二度と失いたくなかった。辛いから自分で手放した。
だけどこのまま引きこもっていたとしても法的にはあと二年で成人を迎えてしまう。華やかな振袖を着て、大人になる前に、私は自分で命を絶とうと思う。
一生、子供でいたかった。