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豹変
司「…類、お前なんじゃないのか?」
類「ぼ…僕かい…?」
司「停電直前のみんなの立ち位置を見ると…卓上ランプの電源コード上にいたのはお前だけなんだ…」
えむ「つ、つまり、電源コードを手繰って移動できた人は…類くん以外にいないってこと…?」
類「そんなの…ただの偶然だよ」
冬弥「けれど…神代さんにはチャンスがありましたよね?テーブルにナイフを仕掛けるチャンスが…」
司「類…お前は朝からずっと、あの大広間の掃除をしていたよな?」
司「ならば…ナイフを仕掛けるチャンスはいくらでもあったはずだ…!」
類「それは…!」
司「電源コードの件といい、掃除当番の件といい…お前だけにそれが可能だったなんておかしいぞ…!!」
類「ぐ、偶然なんだよ…!」
冬弥「1回だけならまだしも…その偶然が2回も重なるなんて…」
冬弥「…そんな可能性ってあるんでしょうか?」
杏「ひょっとして…貴方はナイフを仕掛けるために、わざと掃除当番になったんじゃないの…?」
愛莉「そういえば、あのくじ引きを用意したのは神代さんだったわよね…」
杏「ただのくじ引きじゃなくて…何か仕込んでたんでしょ?」
類「………………」
冬弥「犯人がどうかは分かりませんが…少なくとも、怪しいと言うには充分な根拠ですよね」
類「う…っ!」
瑞希「じゃあ、さっきの変な演説も、類の作戦ってことになるけど…」
彰人「俺らのやる気を削いで、自分がやったことを誤魔化そうとしたんだな!?」
杏「どうなの…?はっきり言ってよ!!」
類「うぅ…んぐぅ…!」
司「類…反論があるなら言ってくれ…オレだって信じたくない…!」
司「一緒に捜査したお前が…あんなに優しいお前が…宵崎を殺した犯人だとは…」
類「ん…ぐうぅ…!!」
司「類…どうなんだっ…!?」
類「んん…んんんんんんんぅぅぅ…!」
類「あはっ…!」
類「あはははははははははは!!あはははははははははははははは!!!!」
類「超高校級の才能を持つみんなが、力を合わせて仲間の死という絶望に立ち向かう…!!」
類「あぁ…なんて素晴らしく美しいんだろうね…」
……………
その目は
そこで見た類の目は
闇が何重にも重なり合ったせいで、その闇が眩しく輝いているような…
そんな…希望と絶望がぐちゃぐちゃに混ざったような目だった
類「結論から言うと、大正解!そう、全て僕の仕業だったんだよ」
類「パーティーが始まる前に、ナイフをテーブルに仕掛けたのは僕なんだ」
類「停電を起こさせるため、アイロンとエアコンの仕掛けを作ったのも僕なんだ」
類「もちろん、電源コードを手繰ってナイフを手にしたのも僕だよ」
類「みんなが見てる中で、堂々とナイフを取り出すわけにはいかないからね」
瑞希「な、なんか…キャラが崩壊しちゃってない…?」
類「けれど、まさか宵崎さんが暗視スコープまで持っているとは思わなかったなぁ…」
類「お陰でテーブルの下で揉め合いになって、その結果があれだよ」
類「でも、そんな予想外のことが起きたからこそ、こんなに面白くなった…とも言えるよね」
類「あははっ、宵崎さんのファインプレーだね!」
寧々「る、類…どうしたの…?」
絵名「まさか…それがあんたの本性なの…?」
こはね「ず、ずっと、私達を騙していたんですか…?」
類「騙すなんてとんでもない、僕なんかがみんなを騙せる訳ないよ」
類「自分が大したことない人間だってことは、僕自身が誰よりも理解してるつもりだよ」
こいつが…本当に…
本当に…あの類なのか…?
遥「…ねぇ神代さん、全て貴方の仕業なら、あの脅迫文もそうなの?」
類「あぁ。もちろんだよ」
志歩「でも、どうして犯行予告なんて送ったの?」
類「きっと、僕は心のどこかで、自分の犯行を止めてくれる人を捜していたのかも…」
類「なんて理由でもあったら、みんなも同情してくれただろうね」
咲希「か、からかってるの…っ!?」
冬弥「おそらく神代さんは、宵崎さんを脅迫することで、彼女の行動を誘導していたんです」
冬弥「そうやって、宵崎さんを初めとしたみなさんを…今回の殺人が起こる舞台に誘導していた…違いますか?」
絵名「そういえば…私の見張りもそうだ…!」
絵名「事務室での見張りを提案したのは神代さんだったよね…?」
志歩「そっか…絵名さんが倉庫で見張ってたら、アイロンの仕掛けが使えなくなるもんね」
絵名「脅迫の件も、あんな提案も…全部、私達を誘導する罠だったってこと…?」
類「全て正解だよ…ただ1点だけを除いてね」
みのり「な、何を除くんですか…?」
類「掃除当番を決めたくじ引きだよ。僕は、あそこには何も仕掛けていないんだ」
杏「だったら、どうしてあんな都合よく掃除当番を引き当てられたの!?」
類「あれ、忘れたかい?僕の才能を…」
類の…才能…それって…
司「超高校級の幸運…」
司「…!!まさか…っ!」
類「僕は自分の才能を信じた…それだけだよ」
類「僕なら必ず、掃除当番になれる…ってね」
穂波「た、ただの運任せってことですか…!?」
類「ただの運じゃないよ…確かにみんなと比べたらパッとしない才能だけど、僕は超高校級の幸運なんだよ?」
類「あの時、司くんは『ついてない』なんて言っていたけれど…それは違うんだ」
類「僕はついてたんだよ!だからこそ、望み通り掃除当番になれたんだ!」
司「も、もういい…そんなこと…もうどうでもいい…」
司「答えろ!!どうしてお前は宵崎を殺したんだっ!!!」
類「宵崎さんはとても優秀で立派なリーダーだったね…そんな彼女が殺されるなんて…絶望的だよね…」
類「だからこそ、希望の象徴と呼ばれる君達が光り輝く為の踏み台に相応しい…」
類「全てはその為だったんだよ!」
愛莉「わ、わけわかんないこと言わないでよ!!」
彰人「もういい…さっさと投票を始めろ!!その変態をぶっ殺してやる…!」
えむ「ぷりーずモノクマちゃーんっ!!」
まふゆ「ちょ、ちょっと待って!」
彰人「あ?」
まふゆ「えっと…あのね…」
まふゆ「………本当に、神代さんが犯人なのかな」
穂波「えっと…あ、朝比奈さん…どうしたんですか?神代さんは、もう自白までしてるんですよ?」
まふゆ「うーん、確かにそうなんだけど…少し気になることがあって…」
瑞希「気になること?」
まふゆ「………あのナイフは凶器じゃないと思うんだ」
彰人「……はっ?」
まふゆ「奏の体の傷からして、凶器は直径5ミリくらいの細さのはずなんだよね」
えむ「直径5ミリなんてナイフよりガリガリに細いよ!」
彰人「おい…それは本当なんだな?」
まふゆ「うん、間違い無いよ」
類「つまり、朝比奈さんはこう言いたいんだね?」
類「凶器がナイフと言い切れない以上、僕が犯人だと断定できないんじゃないか…」
志歩「何言ってるの?貴方以外に犯人なんて…」
類「僕じゃないよ。朝比奈さんがそう言ってるんだよ」
まふゆ「……………」
冬弥「………神代さん、まだ何か隠してるんじゃないですか?」
司「か、隠してる…?」
冬弥「あの停電の時、宵崎さんと神代さんの間には、まだ俺達の知らない何かがあった…とか」
類「さあね」
絵名「この期に及んで…何を隠すのよ」
類「………………」
杏「つ、都合悪くなったからって黙らないでよ!」
えむ「あの停電の中で何があったのか…うーん、うーん?」
えむ「あっ!こうやって寄り目になると、みんなが二重になって見えるよ!」
愛莉「ちょっとえむちゃん!?飽きちゃダメよ!命が懸かってるんだから!」
類「暗闇の中を見ることは誰にもできない…いくら考えても真相は闇の中…」
類「うん、なかなか上手い例えを使えたんじゃないかな」
司「いや…違うぞ」
類「…違う?何が違うの?」
真相は闇の中…それは違う
暗闇の中で何が起きたのかを知る方法ならあったはずだ!
司「暗闇の中で何が起きたのか…見ることはできなくても、聞くことならできたはずだぞ!」
司「そうだよな?えむ」
えむ「そーなの!?」
お前が忘れてどうするんだ…
司「ほら、教えてくれただろ?停電の中で、誰がどんな声を上げたのか…」
咲希「わわっ!?て、停電だ!」
寧々「な、何も見えない…!」
遥「み、みんな落ち着いて!こういう時は落ち着かないと!」
奏「ねぇ…貴方何してるの…っ?」
奏「やめて…!」
類「いてっ!」
瑞希「だ、誰か電気付けてきてよ!」
穂波「みんな、どこにいるの…?て、停電って、厨房だけじゃないんですか…?」
愛莉「これ、ブレーカーが落ちたんじゃないの…?」
類「流石はえむくんだよ…ここまで聞き分けられていたなんてすごいね」
絵名「でもさ、そこでの奏と神代さんとの会話を聞いてると…」
絵名「まるで、神代さんが奏の反撃にあってるようにも聞こえるけど…」
類「まぁ、実際そうだからねぇ…」
司「…はっ?」
類「少しだけ白状しようかな」
類「実は、僕は宵崎さんに突き飛ばされてしまったんだよ。あのテーブルの下でね」
穂波「宵崎さんに…突き飛ばされた?」
類「停電と同時に、僕はすぐに隠していたナイフを取ろうと、テーブルの下に潜り込んだんだけど…」
類「そこで、暗視スコープを付けた宵崎さんに見つかって、テーブルの外に突き飛ばされてしまったんだ」
類「そう、僕はナイフを手にする事すらできなかったんだよ」
司「………………」
確かに、その時の2人の会話を聞くと…
そうとしか聞こえない
司「そうにしか…聞こえない…」
類「テーブルの外に突き飛ばされてからは、みんなと同じでただ混乱するばかりだったよ」
類「目印の夜光塗料も見失って、卓上ランプの電源コードもどこにあるのか分からないし…」
類「そうこうしてる内に明かりが付いたら、テーブルの下から宵崎さんの死体が発見されて…」
杏「ちょ、ちょっとまってよ!!」
杏「じゃあ…貴方は、自分が犯人じゃないとか言うつもり…?」
類「あのパーティーから始まって…」
類「停電を仕掛けたのも、ナイフを仕掛けたのも、全て僕の作戦だったけれど…」
類「でも、残念ながら僕の計画は失敗に終わったんだ。暗視スコープを持っていた宵崎さんの活躍のおかげでね…」
類「その後の事は、僕にも分からないよ」
彰人「失敗…だと?じゃあ、お前は宵崎さんを殺せなかったっつーことかよ…?」
絵名「はあ!?今度こそ振り出しに戻っちゃうじゃん!」
えむ「ええーー!?ここまで話し合ってきたのに!?」
類「諦めちゃダメだよ!!希望を持って、前を向いて頑張らないと!」
類「そうやって何度でも立ち上がるからこそ、君達は《《希望の象徴》》なんだからさ!」
司「………………」
こいつは…
本当にあの類なのか…?
分からない
だが、今はそんなことを気にしている場合では無い…
オレ達は、宵崎を殺した犯人を突き止めなければいけないんだ
そうしないとオレ達は…
ここで…終わる…!!