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光を届ける者Another
おまけなので短いです。
なんだか、放っておけなかった。
別に、心配した訳ではない。なんだか、昔の自分みたいで嫌だったからだ。いや、そこまで状況が変わったわけでもないけれど。ここから抜け出したくて、でも縋りたくて。お母さんが悪いだなんて信じたくなくて抗えなかった、あの自分に。
(日野森さん、顔が暗いままだ)
私は適当にくだらない日常会話でもして、ファミレスまでの道の時間を潰した。
ファミレスでにこにこ笑って過ごしている頃には、雨が止んでいた。話し終えて、ホットティーも飲み終わったので食べ終わっていない日野森さんを置いて精算して帰る。
まだ私は心を取り戻せた訳じゃない。味覚も戻っていない。でも、少しは暖かい気持ちが分かったような気がするのだ。それは全部、奏たちが背中を押してくれたから。
(私のしたことで…少しは日野森さんの背中をおせたのかな)
「まふゆっ!」
「……奏?どうしてここに…」
えへへ…とはにかんで奏は言う。
「まふゆ、傘忘れてたから…雨降ってるし、濡れないかなと思って。でも、よく考えたら折りたたみ傘、持ってるよね…それに止んじゃったし…帰ろう。夜ご飯、望月さんが作ってくれた肉じゃががあるよ」
「…………ありがとう、奏。」
「え?ごめん、聞こえなかった……」
「……なんでもない」
いつもよりむすっとした顔をしているまふゆに首を傾げつつも、奏はまあいいかと歩き出す。
「奏、傘入って」
「え?でも雨止んで……」
「この折りたたみ傘、晴雨兼用なの」
「今曇りで……」
「早く入って」
頭の中が?でいっぱいな奏は、意味もわからぬまままふゆの方へ肩を寄せる。
奏は知らなかった。まふゆが友達から聞いた相合傘というものを奏と試す機会を狙っていたということを。
まふゆは知らなかった。奏はあまりにも鈍すぎるということを。
少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。