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リア友さんのリクエスト!! 君と僕の、夏の境界線
ジリジリとアスファルトを焼く太陽が、僕らの影を短く切り取っていた。
午後四時。部活終わりの気だるい空気の中、僕と葵(あおい)はいつものように並んで歩いていた。
「ねえ、蓮(れん)」
葵が自転車を押しながら、不意に振り返る。結んだポニーテールが揺れて、シャンプーの甘い香りが風に乗って僕の鼻腔をくすぐった。
「ん?」
「私たち、いつまでこうして一緒に帰れるのかな」
その言葉に、胸の奥がチクリと痛む。
僕と葵は幼稚園からの幼馴染だ。家が隣同士で、通学路も同じ。だから一緒にいるのが当たり前だった。だけど、高校最後の夏休みが近づくにつれて、僕たちの間には目に見えない「境界線」のようなものができ始めていた。
葵は東京の大学を目指している。僕は、この街に残る。
夏が終われば、僕らの進む道は完全に分かれてしまう。
「さあな。葵が東京に行ったら、もう終わりかもよ」
わざと意地悪な口調で言ったのは、そうでもしないと泣きそうな顔をしてしまいそうだったからだ。
「冷たいなぁ。私は寂しいよ?」
葵は少し口を尖らせて、それから僕たちの間に視線を落とした。
僕と葵の距離は、わずか三十センチ。手を伸ばせば、簡単に触れられる距離。だけど、幼馴染という透明な壁が、その一歩を邪魔している。
街外れの古い歩道橋に差し掛かった。ここを渡りきれば、お互いの家が見えてくる。つまり、今日の『一緒にいる時間』の終わりだ。
階段を上り、歩道橋の真ん中で葵が立ち止まった。
西日が僕らの影を長く、長く引き延ばしていく。その影は、歩道橋の床でぴったりと重なり合っていた。
「見て、蓮。影はくっついてる」
葵が僕の影をそっと踏むように一歩近づいた。
一瞬、世界からセミの声が消えたような気がした。ドクン、と心臓が大きな音を立てる。
「……葵」
「私ね、この夏が終わるのが怖いよ」
夕日に照らされた葵の瞳が、かすかに潤んでいるように見えた。
ただの幼馴染。その境界線を越えてしまったら、もう二度と元の関係には戻れない。そんなことは分かっている。
だけど、じっとりと汗ばんだ手のひらを握りしめ、僕は葵の引き延ばされた影を、一歩踏み越えた。
「終わらせないよ、夏が過ぎても」
それが、僕が生まれて初めて引いた、僕と彼女の新しい境界線だった。
(終わり)
こんなんでいいかにゃ?
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