公開中
夢鬱な台本中
「……で、要するに……《《質問に答えればいい》》、と?」
再度、無機質な空間で薄ら笑いを浮かべた|日村《ひむら》|修《おさむ》がそう呟いた。
目の前のディスプレイには『YES』とだけ文字が浮かび、それ以外のものはない。しばらくして、何か紙のようなものを映し出した。
---
<「唯一の身内の一人で、最愛の兄」・「腹を割って話せる大親友かつ、最愛の人」・「常々、能天気で危険を顧みずに首を突っ込む好奇心の強い猫」・「天然っぽさのある鈍感な男」・「事が起こってからでしか動けない、情けない人」・「周りをよく見る、気配りのできる紳士的な友人」・「誰よりも信用できる、透明性が高くて、兄貴の幼馴染み」>
---
「ああ、そちらが前に行ったアンケートの答えの一部だな。それがどうした?」
そう反応した言葉にディスプレイは画面を映し出す。
『他の皆様に、和戸さん以外の他の方についてもアンケートをしていただきました。残りは、貴方です』
「……それで?」
『お付き合いのほど、よろしくお願いします』
画面がそれを映した後に、人のようなものが再生されていった。
---
移り変わる動画の中でテロップが忙しなく表示されている。
『梶谷湊さんのことは、どう思いますか?』
それに様々な部屋の中でそれぞれが答える画面が続いていく。同様に無機質な空間で、日村|遥《はるか》が最初に答えていた。
「なんというか……常識に固められた変人、とか狂人な感じが……する、かなと……」
その答えに、更に質問が続く。
『畠中秋人さんのことは、どう思いますか?』
「柔く少し暗影のある人……ですね」
『神宮寺朔さんのことは、どう思いますか?』
「とても綺麗な人ですよ。話していても優雅な人です」
『神宮寺大和さんのことは、どう思いますか?』
「……姉思いの良い人です。あまり話したことはないので…」
『八代亨さんのことは、どう思いますか?』
「気遣いのできる良い人ですね」
『八代十綾さんのこと、どう思いますか?』
「……とても……仲の、良い……“友人”……だと、思います」
---
「年頃の■■■の反……これも規制入るのか?冗談だろ!」
『では、長ったらしいものを見るのも面倒だと思いますので、結果だけの紙を表示します』
「最初からそうすればいいんじゃないのか?」
『貴方だけは済んでいないので』
「紙のアンケート形式でもいいだろ」
『それでは、表示します』
「無視か?!」
『質問の順は日村遥、梶谷湊、畠中秋人、神宮寺朔、神宮寺大和、八代亨、八代十綾です』
---
<梶谷湊:「桜に攫われそうな女性だと思うよ」「わりとメンタルが弱いんだよね、根はいいけど」「知らない、あんまり関わらない」「知らないね……たまに話すけど」「良い友人だよ、ちょっと抜けてるけど」「正直言うと、兄より優秀。前に描いたのを見たよ」>
<畠中秋人:「……いや、知らない。二人でいてもあまり会話をしない」「結構、嘘つきな印象だな」「朔?いや、別に……姉より弟が牙を出してるイメージだ」「犬」「お人好しだと思う」「もう一匹の犬」>
<神宮寺朔:「良い子よ、比べるのはよくないから」「知らないわ」「……パス」「嫌よ」「優しい人ね」「パス」>
<神宮寺大和:「いや……そんなに、関わらないというか……神々しいというか……」「前に祠を壊しているのを見たけど、何もお咎めがなくて怖かったかな」「あ〜……うん、そんなに好きではないけど……ちょっと可哀想ではあるかな」「……ここで言ってもな……パス」「……まぁ……心底、ちょっと……いや、ちょっとでもないかな。羨ましい、というか……ここじゃ関係ないからもういいんだけど……」「会う度にボロクソに喧嘩してるね、手を出せないのが惜しい」>
<八代亨:「良い子だよ、十綾と仲が良いね」「悪戯をわりとするけれど、頼りになるし、良い友人だよ」「ちょっと口が悪いかもしれないけど、よく見てて、筋のある意見をくれるね」「あぁ……ちょっとパス、ごめんね」「時々怖いかな」「自慢の弟だよ」>
<八代十綾:「……狡いな、パス。“友人”、“友人”だ」「たまに変なもん作ってるけど、まぁ、良い人だよ」「知らないな」「女狐」「狐の金魚のフン__……あと、すげぇ嘘つき__」「兄貴だな、それ以外に何が?」>
---
「……で、最後に私と。面倒だから先に書いておいたぞ」
---
・可愛らしい自慢の妹
・気が合い、信頼のできる友人
・皮肉屋だが、根は良い友人
・ふわふわとした雰囲気の中に刺すものがある友人
・毒がある友人
・弟想いで、お人好しな友人
・兄想いの良い弟かつ、友人
---
『それで決定ですか?』
「ああ」
『質問の意図は分かりますか?』
「関係性を分かりやすくしたいだけだろう。正確かは、別として」
ディスプレイには何も浮かばない。何の文字も、浮かんでこなかった。
……図星?