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【オリ曲】美しく、残酷に。
校舎の影が、午後の風に滲んでいた
君はいつもの場所
渡り廊下の端で
何も言わずに空を見上げていたね
その横顔を
目で追い始めた
それが
春が始まる合図だった
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ポケットに入れたままの手紙
書いては破って、また書いて
結局、渡せなかった
「またね」だけが
僕らに許された言葉みたいで
それさえもう
うまく言えなかった
どうしてだろう
ずっと一緒にいたのに
最後だけは こんなに遠かった
君の名前を呼べば届くはずなのに
桜の花びらがすべてをかき消していった
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君が見ていた桜を、
僕はまだちゃんと知らない
何を思って空を見ていたの?
あのとき、何を諦めたの?
笑った顔の奥に
ずっと言えなかった言葉があるなら
今でもいい、教えてほしいんだ
全部、遅すぎるけど
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帰り道 坂の途中
振り返れば 校門の向こうに
少しだけ咲き始めた桜があって
なんでもない風景が
急に特別になるのが|桜《春》だった
「元気でね」とか「がんばって」なんて
言いたくなかった
そんな言葉じゃ
今の気持ちには届かない気がしてた
けど
言わなきゃよかったとも思ってない
だって
あれが
あの日の僕の全部だったから
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君が見ていた桜を
僕も ちゃんと見てみたい
あの桜の向こうに 君がいた理由を
もう少しだけ知っていたら
離れることも 違っていたのかな
それでも 別れは来たんだろう
だって僕らは
大人にならなきゃならないから
なんか違うんだよなぁ、、って思ってます。