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神隠異変ノ章 中編
さっそく森に入ると、誰かがいた。
「どうした」
「誰?」
暗やみから姿を現したのは、わたしですら知らない妖怪みたいなものだった。
「あたしはミノタ・クレタ。古代ギリシアに、迷路に封印されし上半身牛、下半身人間の体を持つ獣の末裔。幻想獣と人間のハーフってところだ。
ここはあたしの能力・迷路に誘い込む程度の能力で迷路となっている。空を飛べばいいとかいう問題じゃないのだ。ここに来るのはとんだもの好きか野次馬ばかりだ。餓死した奴らだって数えるのをやめた。悪いことは言わないから、立ち去れ。仮に迷路を突破できたとしても、ここにいる凶暴な奴らに殺されるだけだろう」
「知らない。こっちには狸の頭領がいるから。あと、とっとと姿を現せ、この獣野郎!」
え、と若干な悲鳴が聞こえた。
「なんだと…?もう知らない、行け。餓死しちまえ!」
「え、行くんですか?」
「行くに決まってるだろう」
ったく、本当に性格がひん曲がっているどころじゃない奴らが多すぎる。
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「おや?誰だ?」
「…そっちこそ誰よ」
家らしきものが少しみえる。明かりがつくと、そこにいたのはまた知らない人だった。
「誰って聞いてる。答えて」
「えー?先にそっちが名乗るのが礼儀ってもんじゃないの?…そっか。で、名前だよね?エディだよ。覚えておいてね〜2度は名乗らないから。」
「エディさん…っていうんですか」
「静かにしたほうがいい。下手に貫入しないほうが、きっとうまくいく」
あーあ、また個性的な人が…
「わたしたちは異変を解決してんの。なんであんたは立ちふさがってんの?」
「この先は危険だからさ。ミノタはそんなに強くない。本当に危険なんだ」
「はあ…何度も言わせないでくれる?こっちはここの森に住む狸の頭領がいんの!だから大丈夫!」
しつこいなぁ、この森に住むひとは…
「行くよ!剛速球でいくから、はぐれないで!」
エディの声も振り切って進む。
「こっちを右、左、そのまま!」
打尤の指示を聞いて進む。
「いた!」
あの人が、異変の元凶?
「えっ、もう!?もう解決しにきちゃったの!?狐恋、ここはわたしに任せといて!」
「ありがと、狐雨!」
ごそごそと、茂みで何かをやっているように見えた。
「ったく、面倒くさいわね!メロと打尤は先行ってて、倒したらすぐ行くから!」
「わかった!」
狐雨…霧で隠れられたりしたら厄介だな…
「え、大丈夫ですか、由有さん!?」
「大丈夫、儂よりも戦うのには慣れているからな。ほっといたほうが足手まといがなくなって〜とか言うんだろう」
「全く、その通りよ。さ、さっさと行って、異変の元凶をとっ捕まえちゃって?」
「は、はいっ!」