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彼への気持ち
刺激的な部分があるかもしれないけど。わからねーーー。どういうふうに注意書きしたらいいんだ。
あとリメイク前は短編カフェのリレー小説から引っ張ってきた。他の過去作はほぼ全部消えたんだけど、リレー小説は1人目が残ってたら全部残ってるのがいい。
2025/06/28 彼への気持ち(リメイク)
リメイク後
午後の病室は、怖いくらいに静かだった。時計のチクタクという音が妙に大きく聞こえる。真っ白な壁は美しくも見えるが、同時に威圧感や虚無感を抱く。そしてこの病室で1番存在感を放っている、患者用のベッド。そこには彼が横たわっていた。たくさんの管が彼の体に吸い込まれるように繋げられていて、異質なことはすぐに理解できる。少し布団をめくれば、痛々しいほどに細い腕が見えた。階段から落ちて頭を打った彼が昏睡状態に陥って、今日で1ヶ月が経つ。彼はまだ、目を覚さない。「優希。」彼の名前をつぶやく私の声が、病室に響く。彼は自分だけの静かな、世界で何をしているのだろう。何を思っているのだろう。私の声は、聞こえているのだろうか。心がきゅっと締め付けられた。
どれほどの間こうしていただろうか。窓から差し込む光が赤色に染まっていたことに気づき、慌てて時計に視線をやると、とっくに帰らなければいけない時間だった。あまり重くないカバンを手に取り、席を立つ。「私…もう帰るね。」まるでただ眠っているだけのような安らかな顔をしている彼に告げた。
「美緒。」
病室のドアに手をかけたところで、後ろで名前を呼ばれた。もうしばらく聞いていなかった声だった。私の体が、数秒間固まった。どくどくと心臓が鳴っていた。まさか、ねえ。嘘でしょ。ゆっくりと振り返った。「優希?」彼の目が、こちらを見ていた。ひゅっと息を呑んだ。奇跡だと思った。どうして、とも思った。心のどこかで、彼のことを諦めていた自分がいたからだ。
「目が覚めたの?…本当?」信じられない。私はいつの間にか病室で眠ってしまっていて、これは夢なのではないか。そう錯覚するほどだった。
「ああ。全部思い出した。」けれど優希は、体こそ痩せてしまったが、私の記憶と全く同じ笑い方をしていった。____濁った笑い方。濁った瞳。彼の瞳に映っているのは、本当に私?その笑顔を見るだけで、冷や汗がどっと流れた。ひたいに、背中に。自然と溢れてくる涙が止まらなかった。ああ、ようやくおしまいにできると思ったのに。でもそれ以上に、安心感が心を支配した。死ななくてよかった。それは、これからも彼と一緒の時間を過ごせるからではなくて。私が、殺人犯にならなくてよかった。そういう、ものだった。
「あなたを階段から突き落としたのは。」
私だった。
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リメイク前(11歳、小6)
日に日に細くなっていっている彼の手を握る。
彼はまだ目を覚さない。
階段から落ちて頭を打った彼が昏睡状態に陥ってから、今日で一週間。
常に繋がれているたくさんの点滴は細い腕に繋がれていた。
「友希。」
彼の名を呟くさほど大きくない私の声が、病室に響く。
それくらい、病室は静かだった。
どれほどの間こうしていただろうか。
ふと時計を見ると、私が家に帰らなくてはならない時間はとっくに来ていた。
慌ててあまり重くないカバンを手に取る。
「私、もう帰るね。」
目を瞑っている彼にそういい、私は席を立ち上がった。
「…澪。」
帰ろうと病室のドアに手をかけたところで、後ろからもうしばらく聞いていなかった声が聞こえた。
「……友希。」
振り返りながら彼の名をつぶやく。
「目が覚めたの?本当に?」
信じられない。そんな思いで彼の元に歩み寄った。
「ああ。覚めた。全部思い出したよ。」
「……!」
私は息を呑む。
『全部思い出した』……それはつまり、階段から落ちた時のことも覚えているということだ。
まずい。私が彼を突き飛ばしたことを警察に言われるかもしれない。
「なんで生きてるのよ。そのまま死ねばよかったのに。」
私は今までの憎しみが反映されているような低い声を出し、彼を睨んだ。
思ったこと
リメイク前は彼(優希、あるいは友希)の昏睡期間が1週間だったのに対し、リメイク後では1ヶ月になってるの、すごく興味深い!!
これはまず、「私が長いと思う月日が変化した」と言える。この場合、私が成長したことで、体感時間が短くなったということ。まあ、「体感的な人生の半分(折り返し地点)は20歳」みたいな感じよね。20歳になって急に体感的な月日が短くなるのか、徐々に徐々に…なのか不明だが。
次に「主人公の子がどれだけ優希(友希)へ深い思いを抱いていたか」というところ。この場合、リメイク前は良くも悪くも優希への思いを募らせていたから、1日が長く感じて仕方なかったーみたいな。早く死んでくれーみたいな。リメイク後の場合、どちらかといえば主人公は優希より自分を守るために色々と考えたり、涙を流したり。うーんわかんね。
ちなみに「彼の瞳に映っているのは、本当に私?」という一文の効果を解説させてくれ。この一文を加えることで、異常なのは「私」なのか「彼」なのかがあやふやになってくる。主人公が、自分を受け入れられないっていうようにも思えるよね。自分を真正面から見つめてしまう彼と一緒にいると頭がおかしくなりそうだった〜みたいな。いやだったら別れろや。なぜ付き合っていた。あ、異常な精神状態だったから。。。