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出会い
「マキティ様。こちらにいらしてくださる?」
かわいらしい声で私を呼ぶのは公爵令嬢のアクレース様だ。
王家主催の舞踏会だというのにどうしたのだろう。
「こちらにきてくださる?」
もう一度言われると、はっと我に返って「承知いたしました」と、アクレース様の元に駆け寄る。
「急に悪いのですが、ダンスのお相手をお願いしてもよろしいでしょうか?」
ダンスを踊り終わり、私はアクレース様に手を引かれて舞踏会から退場する。
男同士がエスコートしていたら相当冷ややかな目で見られただろうが、女同士なら何か言われることもない。
「ア、アクレース様……。御手を放してくださいますか……?」
アクレース様は立ち止まり、私の手を握ったまま、そっと振り返った。
「……嫌です」
小さな声だった。
「え……?」
私が戸惑っていると、アクレース様は少しだけ俯いて、口を開く。
「……怖いんです。私には皇太子様という婚約者がいるのですが……。最近は全然かまってくれないのです。ですから、私はあなただけでも傍にいてほしくて……」
私は言葉を失ったまま、アクレース様の手を見つめた。
その細く白い指が、私の手をぎゅっと握っている。
「……アクレース様。私……」