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#1 Mizuki Inoue
アナストみじゅ編。
時が止まった。
空気が凍った。
なんて表せばいいのかわからないけど、そんな空気が場を支配した。
「HiHi Jetsを辞めて、ここも退所して。新しいことに挑戦したいです。」
ほんの数秒前に空間の中に浮かんだ言葉が、そのままちゅうぶらりんになっている。
なんていうとポエムっぽくなっちゃうかもだけど、
本当にそんな感じ。
しんとした部屋の中は、なんだかやけに暑くて、寒かった。
ちょっとおかしいなとは思ってた。
最近優斗は、よく1人で考え込んでたから。
声をかけられても気付かないほどで、大声を出してやっと気付き、ごめんごめんと謝られる。
そのごめんだって、なんだか少しだけよそよそしい。
長年やってきたメンバーだ、いやでも何かを抱え込んでることぐらいは分かった。
そして、長年やってるのは俺だけじゃない。
「そういえばさ、優斗、最近ぼーっとしてるよな。」
「あいつ大丈夫かな、疲れてる感じでもなさそうだし、」
「なんか抱え込んでる感じ、、、は、するよな。」
「どうしたんだろ、今までなんでも言ってくれてたのに。」
もちろん、メンバーも気付いてた。
たまたま4人だった時、ふと優斗の話をしてみると、やっぱりみんな心配なようで、食いついてくる。
純粋に心配して眉を少し下げるはしもっちゃん、何やら考えながら一つ一つ話すガリさん、不安げに、瞳を揺らしながら俯く作間。
やっぱり、みんな優斗のことが心配だ。
「どうしたらいいんだろ」
「待つ、、、しかない、と思うけどな。」
「優斗、大丈夫かな、、、」
優斗が自分の意見をちゃんと話すのには、真面目というよりラフな方がいいだろう。
そうみんなで考えて、仲の良いマネージャー、それからメンバーでご飯に行った。
でも、何も言ってくれない。どころか、マネさんも何かを隠しているようにぎこちない。表情は少し硬いし、なんだか笑顔も怖い。
そのまま、楽しいようで気まずい食事は終わった。
帰ってきて1日を反芻し、もう我慢できない、そう思った時。
優斗から着信が入った。
『あ、もしもしみずち〜?』
「優斗?どうした?」
『あのさ、明日YouTubeの撮影あるでしょ?』
「あー、それがどうしたの。」
『その後、時間空いてるかなーと思って。メンバーに、話したいことある。』
優斗の声が硬いことに、その時気付いた。
「、、、俺は空いてる。他は?連絡取った?」
『ううん、まだ。今から電話しようと思って。』
「了解。じゃ、明日。」
『うん、ばいばい』
「いよいよか。」
1人、ベットの上で気合を入れ直した。
長くなりそうなので別シリーズにまとめます。
アナスト長くなるっていうのもちょっとあれなんですけど、
こっちも本編として読んでいただけたら。