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魔物が悪なんて誰が言いました?#21
〜〜|表班《一回目のディーア達》が裏班と合流する前〜〜
カリー視点
カキンッ カンッ
私は今、人間の敵を二対一で相手している。
二対一なんて言っても、そんな劣勢というわけではない。
昔、野獣を二十対一で相手した時は流石にひやひやしたけれど、二対一程度なら余裕ともいえる程だ。
……そう、余裕のはずだった。
??「|光瞬《まばたき》」
カリー「……光属性ね……」
???「よくわかったね。光属性は悪魔に抜群の攻撃力を誇る。かするだけでも大怪我するだろうね」
カリー「私にのろい光属性が当たればいいわね?」
片方は光属性の使い手。
悪魔にとどまらず、魔物相手に効果は抜群であり、光属性の使い手は魔物にとって天敵と言えるだろう。
ただ、彼は使い慣れていないのか発動にも時間がかかるらしく、脅威にはならない。
しかし………
??「……ブンッ!」
カリー「!っスサッ、タッ」
もう片方の刀を武器とする男は攻撃が素早く、しかも気配は薄く近付かれることに気付けない。
突然の不意打ちが恐ろしい上、時々光属性を付与されて、当たったら致命傷になりうるかもしれない。
バンッ!!
カリー「………!」
??&???「!?」
どうやら、ディーア達が到着したみたいね。
カリー「はぁっ!!」
二人は驚いている表情で、ディーア達の方を向く。
その隙に一人の背後を取り、完全なる不意打ちを仕掛けた。
が……、
??「……遅い」
予想されていたかのように逆に背後を取られてしまった。
カリー「!?まずっ__」
カナタ「させっかよ!!」
カリー「!カナタ!?」
カナタ「大丈夫ですか、カリー様!!」
ディーアと一緒にいたはずのカナタが、私の目の前にいる。
カリー「別に他の人の手助けに行けばよかったじゃない」
カナタ「俺はカリー様が最優先なので!!」
カリー「全く…………」
それで何度も仕事を放棄してくるもんだから、いつも怒っていたけれど……。
カリー「よくやったわ。カナタニコ」
今回は流石に助けてくれなかったら私とて致命傷を負っていただろう。
感謝だけでも伝えなければこちらも筋が通らないというものだ。
……しかし、久しぶりに誰かを褒めるというのは、なんだかむず痒いものね……笑
カナタ「!!???!??!?!………バタッ」
何がそんなにカナタを刺激したかは分からないが、急にカナタが倒れてしまった。
…………って、
カリー「こんな所で気絶するな大馬鹿者!!!ドゴッ」
カナタ「ぐぇッ!?」
前言撤回、やはりこいつは何一つ変わってなさそうね。
??「………一体なんの茶番なんだ」
???「さぁね、コントをしてる間に殺しちゃおうか」
カリー「やれるわね?」
カナタ「勿論ですよ」
カリー「なら、貴方はチビのほうを相手しなさい」
光属性だが、カナタは避けることは得意だし、サシ程度なら問題はない。
私も刀の輩と一対一ならば、今度こそ余裕を持って戦える。
???「チビとは些か失礼なんじゃない?あ、悪魔だから言葉遣いが汚いのか笑」
チビと言われたことに不満を持ったのか、煽りを含めてこちらに言ってくる。
カナタ「ちょっとあのチビ殺してきます」
カリー「待ちなさい貴方は短気が過ぎるわよ」
安い喧嘩を売られただけで殺意ダダ漏れの所も、全く変わらないものね。
???「……でもまぁ、互いを呼びづらいのも事実。名前だけでも教えてくれない?」
??「反対だ。俺の名前は魔物に呼ばれるほど汚れていない」
カリー「あら、それは同感ね。私もピアちゃん以外の人間に呼ばれるような名前は持っていないの」
別に名前がないけど、保護化にいる魔物はたくさんいる。
それに、必ずしも名前で呼び合う必要はない。
そこの|チビ《???》のように、あいつは|ノッポ《??》といえばいいだけの話なのだから()
???「ふーん、じゃあいいや。始めようか」
カリー「望むところよ」
先行してノッポの奴に攻撃を仕掛ける。
??「ふん、やってやるさ」
今更驚くことではないが、先程より速い速度でも反応される。
こいつに奇襲を仕掛けるのが難しそうね。
それに…ここで戦いを続ければ、他の人達の安全や建物の崩壊も心配される……。
ここからは少し離れたほうが良さそうね。
カリー「スタタタタッ」
??「…………スタタタタッ」
私が走り、他の人から離れると、相手も私に着いてくる。
カリー(ふふ…………)
悪魔を舐めたこと、後悔させてやるわ。
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カナタ視点
???「あーあ……あっちの戦闘は激化しそうだな〜」
カナタ「それは同感やな」
カリー様は皆を巻き込まないため、わざわざ俺らから離れたんだろう。
流石はカリー様や戦いながらも俺らのことまで気にしてくださるとはなんてお優しいお方なんやろう!!!!(早口)
???「そうだ。君にもう一回提案したいことがあるんだけどさ~」
カナタ「?なんや?」
???「あの二人は自分の名前教えたくなかったらしいけど……俺は別にいいからさ、どう?偽名でもいいからさ」
カナタ「…………わかった」
???「ニコリ……俺はセイル。勿論偽名じゃないよ」
笑顔は歪で、不可解だったが、相手は嘘を言っている様子はない。
というかセイル……道中の見張りをしていたあいつが言ってたな…。
もしかすると、あいつはここの見張りではなく、こいつらの仲間だったのかもしれない。
カナタ「………カナタや。」
特に表情は変えず、名前を伝える。
ここで本名を言うメリットはないが、偽名を使ってもあとからややこしくなるだけやろうしな。
セイル「ふーん…悪魔だから偽名でも言ってくるかと思ったけど、本当に名前を教えてくれるとは思わなかった」
カナタ「まぁ、メリットもデメリットも無いからな」
セイル「………それもそっか。じゃあ、始めちゃう?」
ポーカーフェイスの上手いやつやな。
表情が崩れることなく、武器を構える。
カナタ「あぁ、そうするわ」
カリー様を侮辱したこと、その身で償わせてやる。
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イフリート視点
ディーア達と別れ、一直線に純粋神がいる所に向かう。
イフリート「純粋神っ!」
純粋神「!イフリート!」
サポート役である純粋神は皆の邪魔にならないよう、そして目立たないように部屋の隅で待機している。
純粋神「よかった……ディーア達も無事?」
イフリート「うん、純粋神は?」
純粋神「大丈夫……とは言えないかな、不利になっているとも言えないし………」
あぁ、だからサポートが難しいのか………。
イフリート「そうだね………カリーのところにはカナタがいるし、ラフェルとサリジエのところにはマラが向かったから、多分大丈夫だろうけど…」
どこに加勢しても、結局足手まといになってしまうかもしれないし………。
純粋神「……あれ?ディーアとジェリアは?」
イフリート「え?」
純粋神に言われて、辺りをもう一度見渡すと、部屋の中にディーアとジェリアの姿がなかった。
イフリート「どこか別の所に行ったのかな……」
純粋神「とにかく、ここで見守っておこうと思うんだ」
イフリート「わかった」
じゃあ僕は、ディーアのところに………、
??「させないよ?」
イフリート「!?」
カキンッ
声が聞こえたと思ったら、いきなり攻撃が飛んできた。
………レイピアか…。
??「!へぇ……」
純粋神「イフリートッ!」
??「行かせるわけねーだろ?」
??「スパッ……………」
純粋神「っぐ!」
イフリート「純粋神!?」
どうして………………今は皆が戦っているはず、一体誰が…………
イフリート「!?」
嘘…やろ…………………
エス「ははっ、なんかすっげー驚いた顔してんだけど笑」
エル「……………」
僕の目に映ったのは、確かに味方であったエスとエルだった。
そして、目の前で起きたことに一瞬で理解した。
エスとエルが、裏切った
だけど……、
イフリート「どうして………なんで……」
目の前で起きていることが事実であるはずなのに、その事実を、頭では理解できていない。
エス「なに?俺らのこと本当に"ナカマ"だと思ってたわけ?笑」
エル「………………」
イフリート「っ………!」
……会って最初にエスに言われた、エスのあの言葉を思い出す。
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エス「私たちは魔物達と仲良くしたいと思ったんです」
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そうか、こいつらは"仲間になる"なんて言ってない。
最初から"裏切るため"に仲良くなるふりをしたんだ。
イフリート「っ………!!!あんたッ!」
??「余所見してたら死ぬよ?」
イフリート「!死んでたまるかよ…!カキンッ」
横から奇襲を仕掛けられたが、なんとか自分の刀で受け止める。
とにかく、攻撃してきた子供をある程度抑制しつつ、純粋神を助けないと………。
純粋神「イフリート、そっちに集中して!こっちは、なんとかするからっ!」
イフリート「!…分かった、くれぐれも気を付けて!」
純粋神「もちろん、!」
あちらを向かずとも分かる、純粋神は必死な声で、必死に戦っているだろう。
少しずつ純粋神達の距離が離れていく。
??「………もういいかな?」
イフリート「わざわざ待っててくれたんだね」
??「もちろんニコ」
イフリート「………僕はイフリート、君は?」
??「………僕はミア。ミアって呼んでくれる?」
イフリート「呼べたらね」
ミア「……僕から行くよ?」
イフリート「かかってこい、全力で相手してやる」
ミア「じゃあ、遠慮なくっ!」
イフリート「っ!」
シュッ カキンッ!
ミア「………」
イフリート「………」
沈黙の中を、刀と|細剣《レイピア》がぶつかる音だけが響く。
基本、細剣は刺す突くに特化した武器で、相手の攻撃を受け流さなければ刃が折れてしまう。
しかし、このミアが振るうレイピアは僕の剣を受け止めても、折れず壊れずだ。
一体、この細剣はどんな金属で作られているのか。
イフリート(というかまずいな……このままじゃずっと平行線だ…)
このミアを倒す…望みたくば、無力化して他の皆の手助けをしたいんだけれど………。
ボワッ!
ミア「!サッ」
イフリート「ふんっ!」
カキンッ!
炎を囮にし、後ろからの奇襲を仕掛けても、いとも容易く避けられる。
ミア「こっちこそ、ね!」
シュッ!
イフリート「!スサッ」
ミア「………避けられた…」
イフリート「ふぅ……」
さて、どうする……?
この状態が続けばジリ貧となり、いつかは相手が倒れるだろうけど、その前に味方が倒れてしまったら元も子もない。
なんとかして打開策を見つけなくちゃいけないよね………。
ミア「………次で終わりにするよ」
イフリート「…こっちこそ、最高の一撃をくれてあげるよ」
こうなったら、白炎で決着をつけるしかない。
これで皆の回復も出来るし、やるしかない!
ミア「…世界__」
イフリート「はくえ__」
バンッ!!!!
イフリート&ミア「!?……………」
今の音は一体…!?
イフリート「………!」
イフリート「ディーア!」
扉の前に立っていたのは、ディーアとジェリア。
そして…………
イフリート「ピアちゃん………!」
よかった、無事助けれたんだ…!
ミア「…………援軍…かな……?」
疑問の声で聞いてきたミアだが、すぐにこちらへと視線を戻し、細剣を構える。
ミア「…まぁいっか。続けよう」
ディーアを少しの間見つめた後、僕も視線をミアに戻し、体制を整える。
イフリート「うん、そうやね」
剣の撃ち合いが再び始まった
おつせる!!