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歳離れに恋しちゃダメですか?
とある普通の日だった。
不登校の私は普通なら学校に行くはずの時間に、いつも母に祖母の様子を見てきてと電車に乗った。
祖母を3時間ぐらい世話をしてあげたら、家に帰る前にお店に長居してから帰る。
それが私の日常。
でも、今日は少し違った。
祖母の世話が終わり、今日は何でか疲れていたから店に寄らずに電車に乗った。
満席で混雑していた電車に乗ったからか、空気が重く感じる。
私は高校生になっても小柄で力が弱いせいか、電車が揺れると他の人によく押された。
体調が悪いのか、吐き気がしてきた気する。
電車の端っこでもたれていた。
すると、近くにいた少しぽっちゃりとしたおじさんが呟いた。
「そこのお嬢ちゃん、親はいないのか?」
私の周りには女性は少なく、私に言っているのかなと思った。
気持ち悪いと思いながらも、受け答えはしなければいけないと考え小さく頷いた。
すると頷いた瞬間におじさんは「そうか」と言い不吉な笑顔になり、混雑する中近づいて来て私の肩に触れた。
驚いて「ひゃっ」と小さな声が出てしまう。
おじさんはニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かばせて、肩から髪、髪から首や頬へと気色悪い手で触った。
私は目立つのは苦手なので、頑張って次の駅まで我慢しようと思う。
しかし特急だからか次の駅が遅く、さらにおじさんの痴漢は増すばかり。
遂におじさんは私の服の中にまで手を入れた。
「君温かいねぇ。このままおじさんを温まらせてよ。」
小さな声で耳の辺りで囁く。
もう我慢できないとおじさんの手が背中から腰の下の方まで来たとき、こちらに近づいてくる足音が聞こえた。
コツコツ…コツコツ…
次に瞬きした時には、服の中に入っていた手はなく、その腕は高身長の男性が掴んでいた。
「だ、誰だっ⁈」
おじさんは男性に向けて言う。
男性は少し怖い真顔で答えた。
「『誰だ』じゃないですよ。貴方は今、何をしていましたか?」
美声の男性は私を指す。
「お前には関係ないだろ!さっさと失せろ!」
おじさんは勢いよおく、人質的な感じなのか私に抱きついた。
苦しく、気持ち悪く、臭い。
「関係ない…ですか…では、貴方もその子に関係ない赤の他人ですよね?顔似てないですし。」
そう言われた瞬間、ブワッと鳥肌が立った。
そしておじさんもヒッと言いながら、私を手放した。
男性は庇うように私を後ろに隠し、続けてい言った。
「俺もこの子に関係無い赤の他人ですが、今から貴方が痴漢した事をこの電車に乗っている方々に公開してもいいのですが…」
「ま、待て待て!俺は痴漢なんかしていない!な、嬢ちゃん?」
よくも思いっきりしてきたくせに。
そんな奴の味方になると思ってんのか?
「思いっ切りしてきました。罰してあげてください。」
「よく言った。じゃあ次の駅に着いたら大きな声で駅員さんに言ってやろうか。」
そういうとおじさんは電車の奥に逃げて行った。
おじさんが見えなくなってからしばらくすると、男性は私に声をかけた。
「大丈夫だった?もう少し早く気づければよかったんだけど…」
「いえ、助けていただいただけで嬉しかったです。ありがとうございます。」
駅に着くと、混雑にまぎれたおじさんは男性が見つけて捕まっていた。
私は男性に挨拶してから安心して改札を出る。
しかし、元から疲れていたのと痴漢のストレスで意識が飛んだ___。
夢を見た。
眼鏡をかけた男性が私に声をかけると、眼鏡をはずし微笑んだ。
すると私の身長と同じになるようにしゃがんで、顔を近づける。
とあることをする直前に、視界が真っ白になって気づけば何かに寝転がっていた。
「大丈夫?」
その声が聞こえると、私は自然に体を起こしていた。
白いベッドの隣で心配そうに見つめるさっきの男性がいた。
「あ…私…」
「良かった。大丈夫そうだね。心配したよ。名前の知らないキミだけど急に改札で頭から倒れるんだから。」
「そうだったんですか。」
男性はどうやら病院に運んでくれたようだ。
おじさんの事と言い、迷惑かけてばかりだな。
「そうだ。キミが倒れたときに丁度キミのスマホが鳴ってね。お母さんからメールが来てたから、そのまま迎えに来てほしいって電話したんだ。」
「で、電話⁈えっと、暗証番号はどうしたんですか?」
「駅員さんが頑張って解いてくれたよ。キミ、もう少し難しい番号にしないとな。」
「すみません…ありがとうございます。でも、突然電話が来て知らない声だったら母は驚いていたんじゃないでしょうか。」
男性は何故か質問に答えるのを躊躇している。
そわそわとしていると男性は答えた。
「えーっと…あ、そうそう!一階でキミのお母さんが待ってくれてるよ。」
「えっ」
私はそのまま男性に案内され、一階ロビーに向かった。
椅子に座って呆然とする母を見つけ、私は急ぐように向かう。
母は途中で私を見つけると小走りで近づいて来て抱きしめた。
「|菫《すみれ》!大丈夫だった⁈」
「う、うん…大丈夫。」
母は私の頬を触って少し涙を流す。
あのおじさんと違って頬を触られても温かくなる。
家族だから当然のことだけど。
しばらくの間、ロビーの椅子で少し話をしていた。
すると男性の事を思い出した。
ずっと母と話していて、男性をすっぽかしてしまっていた。
また迷惑かけちゃったな。
母に男性の事を話すと、母は何か思い出したのか飛び上がった。
「そういえば菫。電話の男性に、迷惑かけてない?」
「えっ迷惑かけちゃった。多分沢山。」
「急いで近くのデパートに行って高級菓子を買いに行くわよ。」
「えっなんで?」
「あの人の声、多分、いや絶対|鷹野琉霞《たかのルカ》だわ。あの爽やかな美声。間違いない。」
え?《《鷹野琉霞》》って、あの登録者数400万人超で大人気VTuberの…?
この話はフィクションです。
VTuberと書いてますが実際には存在してないから二次創作ではありません。