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あの子が気になっちゃうんです!
脳裏
「小春ー!おーきーろー!」
ハッと目を覚ますと、うーん今日は朝ごはん食べれそうかな、とぼんやり考えた。顔を洗い、制服を着て、パンを食べ、歯を磨き、髪を整えると、家を飛び出す。………戸締りも忘れずに。外では恵が、スマホをいじって待っていた。
「も〜遅いよ〜」
「ごめん!早く行こ。」
「………そういえば、今日転校生来るって。うちのクラスに。」
「え!そ、その子ってどんな子?」
「うーんと、なんかちょーかわいい、アイドルらしいよ。」
嫌な予感しかない。
(ガラガラッ)
「………神崎、今日はギリギリセーフだな。」
席に着くと、隣の誠くんから、
「放課後、体育館裏に来て。」
と言われた。ここここれはもしや!ここここ告白!?…………いやしかし、期待しすぎるのは良くないな。なんか前までは、彼を殺したいと思っていたけど、今はむしろ、彼を守りたいと思ってしまう自分がいる。あの天使の笑みは反則だよ……。
「みんな!今日からこのクラスに新しい仲間が加わる!」
先生がそう言うや否や、(バシーン!)とドアが壊れる勢いで開け放たれた。そこから、やはりあの、早苗が、堂々とアイドルのように入ってきた。………まあ実際アイドルなんだけど。教室全体がざわついて、「すげえ」とか「かわいい」とか言う声が聞こえてくる。
「みんなおはよう!森岡早苗です!よろしくね。」
そう言うと彼女はにっこりと笑った。誠くんとは一味違う、女の子らしい、キャピっとした笑顔だ。再び教室はざわついた。みんなを鎮めるように、
「じゃあ……、森岡の席は、神崎の後ろだ。
「はーい」
そう言って早苗は席についた。
「ねえねえ〜こはる〜ん。」
「え、あ……何?」
「わからないこととかいっぱい教えてね!」
周りの子達は、わたしと早苗が仲良くしていて驚いている。
「う、うん」
うーん、なるべく目立ちたくないなあ。でも早苗は、さすがアイドルって感じで、みんなの質問の嵐にも余裕で対処している。わたしはそんな彼女を尊敬の眼差しで見つめたのであった。
放課後、あの場所に行こうとすると、
「待って、一緒に帰ろ〜」
と早苗に誘われてしまった。
「あ、ごめん、実は用事が、」
「え、なになに〜?」
「じ、実はその、…………誠くんに呼び出されてて、」
「えええ!それって、こ、告白?」
「あ、それはまだわかんないんだけど、」
「じゃあわたしがこっそり見守ってるから、こはるん、ファイト!」
と言うことで、私たちは体育館裏へ向かった。