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桃太郎、鬼ヶ島でコンサルを受ける
いちごりら
スピーカー「目的地周辺です。音声案内に従って、鬼の心を折ってください」
スマートスピーカーと化した「モモタロウ」を積んだ軽トラは
鬼ヶ島のメインストリートに突っ込んだ。
しかし、そこにいたのは想像していたような角の生えた怪物ではなかった。
いたのは、小奇麗なスーツを着て、MacBookを叩きながらスタバのコーヒーを飲む鬼たちだった。
赤鬼「あー、桃太郎さん? お疲れ様です。アポ、15時からでしたよね?」
代表の赤鬼が名刺を出してきた。肩書きには
**『株式会社ONI・ソリューションズ 代表取締役』**とある。
桃太郎「……え、村の財宝を盗んで暴れてたんじゃないのか?」
戸惑う桃太郎に、赤鬼はため息をついた。
赤鬼「違いますよ。あれは『不用品回収』のサブスクです。
村の皆さんが捨てたがっていた古い釜とか、壊れた斧を回収して、
リサイクルに回してるだけです。おじいさんの芝刈り機も、うちのサービス対象内ですよ」
モモタロウのスピーカーがガガッと震えた。
スピーカー「……解析完了。鬼側の主張に矛盾なし。むしろ村側の不法投棄の疑いが浮上しました」
桃太郎「えぇっ!?」
赤鬼「まあまあ、桃太郎さん。せっかく来たんだし、キビ団子食べながら話しましょうよ。
うちの最新のヴィーガン・キビ団子、めちゃくちゃバズってるんですよ」
結局、桃太郎は鬼たちと意気投合してしまった。
村に帰った彼の手には、財宝ではなく『事業提携の契約書』が握られていた。
翌週から、おじいさんは芝刈りロボットの製造ラインの工場長に、
おばあさんは川で洗濯するのをやめ、最新コインランドリー「KIBI-LAUN」のオーナーに就任した。
鬼と人間が共生する、持続可能な桃源郷の誕生である。 めでたし、めでたし。