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〈ピンポンパンポーン。〉『七不思議も都市伝説も成仏させます!』▲▽
展開が早かったり、誤字脱字がたまにあると思うけど、まあ……忘れて下さい。
〈ピンポンパンポーン。〉
学園中に、放送が流れ始める。
『えー、皆さん、オカルト研究部に入部したいと思いませんか??特にそこのあなた。オカルトに興味があって…呪術に向いている。霊媒能も、除霊力も非常に高い、実績も十分で、あのコトリバコもワンパンの君。どうです?入ってみませんか?今なら100円。ワンコインで受付中。』
〈ピンポンパンポーン⤵️。〉
「よし、おっけーおっけー、これであの子も来ると思うし、ついでに人材も…。うひひひひひっ」
にやにやしながら廊下を歩いているのは、麦咲 ユイネだ。
長い紫の三つ編みをなびかせながら、ぶつぶつ呟いているユイネに、生徒たちは首を傾げながら見ている。
ユイネはそのまま、とある角の部屋に入っていく。
ここが、我がオカルト研究部の部室だ。
ユイネは、改めて部屋を見回す。
「だ、ださ〜…」
顔をしかめて、そう呟くユイネの目線は、ダンボール箱の山に向いていた。
こんな散らかっていては、依頼も、入部希望者も来るはずがない。
ということで、力仕事ができる者を探していた。
だが、ユイネは人間として興味がある者を探しているわけではない。
この魔法学園、ごく稀に"人間ではない種族"がいるのだ。
ユイネは、そういう者を探している。
と、不意に部室の扉ががちゃりと開いた。
ユイネは、彼を一瞥すると、
「君が零宮くんだね、てか、入る前にノックをしろ。知ってる?人間はね、扉の前で、深呼吸をしてー、コンコン、と」
手をグーにして、前に揺らす。
「しましたよ」
「は?」
(ふん、声も音も小さい系か)
「いやめんどくさいだけで」
ユイネは、その言葉に深めのため息を吐く。
まだ淡々としている彼は、|零宮《れいのみや》 ユルという男子生徒。
どうやら不器用なようで、濃紺の髪が所々跳ねている。
(あ〜、もうちょっと偉そうな奴かと思っていたけど……あ、まず)
しかしユルは黙ったまま。
少し長い間の後、
「それで用は何ですか」
とユルが聞いてきた。
「いや別に何の用も」
「じゃあさよなら」
「冗談じゃ~~~~~ん!」
「君、いや、零宮。オカルト研究部に入部する気はある??…無ければわたしがお願いしたいんだけど。頭を下げて。土下座して。十万円は払うから。」
「なら入りません」
「金欲しいのか!?」
「……それもありますが、入部する意味が無い……です。除霊でもすれば良いんですか…?」
「その通り!!」
ユルが無言のまま立ち去ろうとするのを、ユイネはユルの手首を掴んで止める。
「冷たい!てか待て~~~!」
「除霊は得意分野じゃない。」
「いや…」
「でも、霊の囮役は出来るかも」
「決まり!!!」
(………まあ、零宮、そんな足速そうには)
「偏見ですか」
「ごめんって」
ユイネは改めてユルのことを見る。
いつの間にかユルの手にはこの部室にあったボールペンと入部届の紙を持っていた。
「…印鑑」
「はい!ぶ、ちょ、う、ぽんっ!」
ユルは印鑑が押された入部届紙を持って、部室から出ていった。
ガチャリ。
…(で?…このダンボールたちはどうなんの?)
ユイネはそう思いながら、早くも新しく届いた依頼書を読んで顔をしかめていた。