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2 - オーバードーズ
ひとーつめ。
ふたーつめ。
みーっつめ。
よーっつめ。
いつつめ。
むっつめ。
なな、つめ。
やっ……つ、め。
ここの……———
———どれくらい、時間が過ぎたんだろう?
機械のように、バリッと破いてカプセルを取り出す。
機械のように、それを口の中に運ぶ。唇の向こうに消えていく。
機械のように、口の中に水をぶち撒けた。舌に張り付いたカプセルが浮く。
|口蓋《こうがい》にくっついて、気持ち悪い。
———これで、何粒目なんだろう?
ドクン、ドクン、と波打つのを感じる。体が熱い。
視界がぐるぐると反転して、回転する。まるでドラム式洗濯機の中にいるようだ。
鼻に、ツンとした臭いを感じた。
薄黄じみた ドロドロとした液体が、隣に転がっている。
カプセルに手を伸ばす。立ち上がろうとする。———つんのめって倒れた。
手が震える。
曲げろ、伸ばせ、と指示しても、もはや従いそうにない。
ぐるぐると回る視界が止まった。急速に|翳《かげ》っていく。
目の前のカプセルが、コップが、どんどん遠ざかっていく。
ガチャン!とドアが開く音がした。
誰かの悲鳴が高く聞こえる。
私の名前を呼び、叫ぶ声が聞こえる。
嗚呼———
———親ヅラしてんじゃねえよ。