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ワイングラスを鳴らして
君と僕の違う人生
赤ワインの入ったグラスを洒落た店で呑み干す美しい女性。
顔が花のように火照っていて、より魅力が伝わってくる。
その美しさはオーナーが今まで見てきたた女性の中で一番であった。
「あら。何を照れているの?」
酔っているのか、隣にいる女性客に問い詰める。彼女は同姓をも魅了させる、いわゆる魔性の女だ。
その様子を見た、裕福な男は、心の底から欲しいと感じた。
「こんばんは。」
「こんばんは。何か御用でも?」
酔っていても礼儀を忘れぬ女性をまた一層欲しくなった。
「実は、あなたに私の人生のパートナーになって欲しくて。。」
遠回しの言い方のように見えるが、見方を変えればとてもストレートなプロポーズである。
「…。お気持ちいただきますが、生憎私には夫がいるんです。」
夫の写真を見ると、衝撃が走った。うちの会社の社長であった。
自分よりも身分の高い、社長夫人。
こんなの勝ち目がないと思い、男は言った。
「ならいいのです。では、これから共にワインを呑みませんか?」
一緒にいる時間が長くなれば、人生一番の思い出だろう。
「いいですよ~。」
男は、女とそれぞれ違うワイングラスを鳴らした。