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神様神社 6話
「貘って?」「貘っていうのはね、簡単に言うと神様じゃないけど化け物を倒せる人間のこと。」「人間なのに、ですか?」「うん。でね、貘と神様の違いなんだけど・・・
貘はね、化け物を食べるんだよ」
「化け物を、食べる・・・?」「そう。でも消滅しちゃう体を食べるんじゃなくて、あかりも見たと思うんだけど・・・化け物の動力源になってる『石』って言うのを食べるの。そして力をつける」
神様に説明して貰ったが、『石』というのは化け物ができる原因になる負の感情の塊だそうだ。
そして石は、ちょっとした神様同様の力を持っているらしい。
「でも、石を食べてどうするんですか、貘って人たちは・・・」「昔、かなりの力を持った貘が、天界に侵入して、天界を滅ぼそうとしたんだって。だから神様の間では貘は危険視されてるの。貘を見つけたらすぐ殺すっていう神様も居るからね」「ちなみに、その貘は・・・?」「一番偉くて強い力を持った神様によって、消滅させられたよ」「消滅、ですか」「それほど危なかったからね。・・・だから、今回の貘は、もしかしたらこの街を支配して、ついには天界も滅ぼすつもりかもしれないんだよ」
「あ、神様」「どうしたの?」「でもその貘の子、石を食べてませんでした。持ち帰ってました、どこかに」「どこかに、持ち帰った?」神様が驚く。
「もうひとり、仲間がいるのかもしれない!きっと食べさせようとしてたんだよ仲間に!きっとその子は下っ端、仲間が首謀者なのかもしれないね」「そうですね・・・」
事件があったのはそれから3日後だった。
「あかり!」登校してすぐ、友達が私に話しかける。「どうしたの?」「今日、転校生が来るんだって!」「え!?珍しいね・・・」今は6月。夏休みの後じゃないんだな、と思う。
ガラガラ、と音を立ててドアが開かれ、先生が教室に入ってくる。「知っている人も多いと思うが、今日は転校生がうちのクラスに来る。入ってこい」がらり、と遠慮がちに扉が開く。
その時、私は声を抑えていたつもりだった。「ぁ・・・」誰にも聞こえていないようでホッとした。しかし驚きは拭い去れなかった。
制服の黒い学ラン。色素の抜けた白い髪。分厚いレンズの丸眼鏡。
「|水無月《みなづき》|凪無《なぎな》です、よろしくおねがいします」
その顔は、あの夜に見た『貘』の少年と、同じだった。