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異変、そしてミッションは
「「「「「え?」」」」」
仙人の背中に、茶色の短剣。
皆あっけにとられて固まっている。
天使さえも、想定外の事態に狼狽えている。
そんななか、動いたのはりんりん(転生先は雫…だったっけ?)。
仙人に駆け寄って脈を確認し、顔が真っ青になる。
「仙人…まだ生きてる。」
失礼な話だが、死んでいると言われるよりも怖い。
生きているということは、まだ茶色の短剣は《《人を殺す能力を持っている》》ことになる。
ふと、ひびきっちが口を開く。
「俺等、大丈夫じゃね?」
なんで?
「だって、すでに俺等死んでるじゃん」
…あ。
そういえばまだ転生は完了してない。
ということは私達も死んでいることになっている。
仙人はどうだろうか?
「とりあえず茶色の短剣ここに入れて!」
なっちゃんが叫びながら異空間を開いた。
慌てて私は仙人から短剣を抜いて放り込んだ。
りんりんがつぶやく。
「一つ、ミッション達成…でいいんかな?」
「これって短剣、中から出てきたりしない?どう思う?ひびきっち。」
「しないんじゃない?しらんけど」
あれ、ひびきっちも関西人?
なっちゃんも関西弁っぽいの混ざってるし。
そういえば天使は?と思いあたりを見回すと、天使が団子みたいに固まって震えていた。
大事なときほど役に立たない奴らめ…
よく見ると、隣に叶人も立っている。手にはゲーム機。どこから出したんだよ。
「…んで?騒ぎは終わったのかよ」
ぶっきらぼうに叶人がいう。
「あのねぇ叶人。ちょっとは協力しようとか思わなかったわけ?」
なっちゃんの怒りもスルー。
「協力?めんどくさいだけ。今回も4人で片付いてんじゃん。俺別に地獄でも良かったんだぜ?」
これにはみんなあっけにとられて、何も口が聞けなくなった。
やっとのことでりんりんが口を開く。
「でも地獄よりこっちを選んだからには責任があるでしょ。」
「俺最年少だぜ?まだ小6。責任なんてありませーん」
何から何でもむかつくやつだ。
「せめて敬語使うぐらいしたら?みんなあなたより年上なんだし。」
「部活じゃないから敬語じゃなくていいって言ったのは誰でしたっけー?自分が行ったこともわすれたんですかー?あーあ、サイアクだよこんなメンバーで。地獄行っときゃよかった。」
正直、みんなが地獄に行かなくてはならなかった理由はわからないけど、こいつだけは分かる。
問題児過ぎる。
こんなやつと協力するのは、こっちも願い下げなんだが…
「そんで?天使サン。ミッションコンプリートしたら何が起きるわけ。」
ひびきっちが執り成すように天使に訊く。
「それは私達もわからない。仙人一人が知っている。」
それはとても困ったぜ…