公開中
傾く天秤の反対側には僕
僕は柏木 空。
僕には双子の弟がいる、柏木 海だ。
海は頭もよくて、運動もできて、全てが完璧。
それに比べて僕は頭も悪くて、運動もできないのろまだ。
自覚している。
何故なら、他人にそう言われてきたから。いつも海と比べられて、非難され、批判を受けてきた。
生まれてきたのが自体が間違いだった。
生きる意味なんて見出せなくて、毎日辛かった。
でも、僕は生きる意味を見つけられた。
"あの人"のおかげで。
---
1ヶ月前、僕は自殺をしようとした。
その日の夜、僕はビルの屋上へ行き、屋上にいた猫と戯れていた。
「柏木 空。」
後ろから自分の本名を言われ、バッと後ろを振り向いた。
そこには、20代後半くらいの男がいた。男はにんまりと笑った。
「なぁ空、"こっち"に来ないか?」
「は...?」
「お前はなんだか才能がある気がするんだ。」
男は眉を上げ、「どうだ?」と諭してきた。
僕はコクリと頷いてしまった。男は、ははっと笑った。
「着いてこい。」
男は背中を向けながら、そういった。
僕は男に着いていった。男の名前は、|黒須田 闇《くろすだ あん》、28歳らしい。
「ここだ。」
顔を上げると壁には20丁ほどの拳銃があった。
「生きる意味、俺らと一緒に見つけないか?」
黒須田は手を差し伸べてきた。
僕はその手を取り、黒須田の仲間になった。ここでの生活は、とても楽しかった。毎日が幸せで、仲間にも恵まれていた。
でも、僕らは毎日楽して生きているんじゃない。
僕らにも、ちゃんと仕事がある。それは、"殺人"や"誘拐"、"麻薬密売"など。
簡単に言えば、犯罪組織みたいなものだ。
---
「お前ら、今日は全員で行くぞ。」
黒須田はそう言い、拳銃を手に取る。
「|零《れい》、|雨《あめ》、|心《しん》、|鈴《りん》、空。」
黒須田は1人ずつ、仲間の名前を言っていった。
そして、それぞれに武器を渡していった。
零にはガトリングガンに、鉈。
雨には手榴弾。
心には拳銃に、ノコギリ。
鈴には刀。
僕にはスタンガン。
「行くぞ、お前ら」
黒須田はニヤッと笑った。
「「はい」」
---
コツコツと歩く音が響く。
歩いていると、前から警察が歩いてきた。
僕らは武器を構え、警戒する。
すると、「兄ちゃん...!?」という声が聞こえた。
警察の中にいたのは、大嫌いな弟の海だった。
「なんでここに.....兄ちゃんが...」
「なんでもいいだろ。」
僕は海にそういった。
海は驚いた顔をしていた。
「僕はいつもお前と比べられてた。ウザいんだよ、お前。」
僕は黒須田から拳銃を奪い取り、海を殺した。
警察も全員殺した。
僕は"こっち"で生きていく。
生きる意味を見つけるために――。