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足りないきみは風を喰む4
食堂に向かいつつ、ナースを探しに薄暗い廊下を彷徨っている。
|「あの?すみません、私1人でいることが苦手で…近くにいてもいいですか?」《 雫》
ちょうど良いところに走ってきた彼女に出来る限り笑顔を向けて、こちらの真実を見せないように嘘を吐き続けた。
|「…それなら、ちょっと食堂の前に行きませんか?」《五喜》
|「ヒッ…、食堂?」《 雫》
「食堂」、ただそれだけなのにひどく怯えて先程までの笑顔が消えている。
|「嫌ですか」《五喜》
|「嫌じゃないです、けど」《 雫》
|「ねえ、雫さん?何で歩きながら苺を食べてるんですか?」《五喜》
何も言えなかったまま、少し気になった彼女を見つめた。
|「果物とか、スイーツ大好きなんです。甘いもの食べると元気が出てきて。」《 雫》
|「…行儀悪いですよね」《 雫》
そう言いながら、苺を頬に詰め込んでいた。
|「あ、食堂着きました」《五喜》
|「…ちょっと扉開けてきます」《五喜》
服を漁るも、肝心の鍵が見当たらないままでいる。
|「あ、鍵」《五喜》
|「ん、あ!五喜さん?鍵持ってますよ」《命子》
すると、どこから来たのか鍵を手渡してきた。
|「じゃあ、俺皆さんに食堂使う報告してきます」《五喜》
--- __ …また明日もよろしくお願いします__ ---
逃げるようにしてナースステーションに駆け出し、背後で聞こえるナニカに耳を塞いでいる。