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暁前の微光【11話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
底に埋もれた弱者達よ。
強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
駅長「暗うなったら、ちゃんと、家に帰るやで。」
その言葉を聞いた途端、四人の表情がパッと輝いた。
ありがとう、ありがとう、と通る声で、手を大きく振りながら
四人の少年達は駅の階段を滑るように降っていった。
雲の隙間から、陽光が差していた。
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周「____って、ほんまに今年もやっとるんかなぁ」
寺「うーん、去年はやってたけど…」
カラ「観たい場所…ここから結構距離あるよっ?」
LOUIS「うん。」
はぁ…とため息をつくLOUIS。
今年もあの景色を見ることはできるのか。
子供四人で行くことができる距離なのか。
どうしようもない不安と焦りがLOUISの心を覆っていたのはうちでもわかった。
うちもまぁ観たいけど、来年も観に来れるわけで。
周「…っしゃ、ほんなら早よ行こ!!!!」
うちがそう大きい声を出すと、3人の視線がこっちを向いた。
全員顔がいい()
周「間に合うかな!?いや、ぜったい間に合わせよな!!」
急に張り切り出したのはまぁ…気の所為!!
LOUISは来年来れるかわかんないもんね。
カラ「うん、早よ行こ!!」
寺「え」
LOUIS「ちょっと待て、走るのは______」
カラ「あっちの木まで競争な!!」
LOUIS「カラさん?」
競争…絶対まけん。どこから湧いてくるのかわからないこのやる気。
カラには負けられない。
周「よっし、…ええで!」
寺「ちょ、」
カラ「よぉおおおおい」
--- どん!! ---
全速力で50M程先の木までかけていく二人。
それを唖然と見つめる二人。
うちらが走り出した先にあったのは_________凍った地面。
これはやばいやつ。絶対滑る。
横をチラリと見るが、案の定カラは気付いてない。
頭では止まらないとと思うのに、足が止まらない。
嗚呼終わった。
瞬間、音にならない音がして二人が空中に投げ出される。
カラ「っ……たぁ、」
周「はぁ、…」
カラは腰を弱打、うちは幸い膝を擦りむくだけで済んだ。
LOUISと寺が駆け寄ってくる。
イケメンと美女……()
LOUIS「あほなん」
第一声の圧が強いよイケメン。
寺「大丈夫?」
ごめん、好き。
寺に手を貸してもらって体制を整える。
雪が積もっている道路で走るのはやめよう。カラ半泣きやし。
LOUIS「頭打ってたら、危ないから、」
カラ「ごめんなさい」
寺「滑った時はびっくりしたよw」
周「気いつける!」
ちゃんとして、と喝をくらったうちとカラは、この道路で走ることは無くなった。
そろそろ着くかな。まだまだかな。
もしその光景が見れなかったら、LOUISはどう思うんだろうな。
来年も、四人で来れるかな。
淡い期待と確かな不安。
今年もやってますように、四人が同じ事を思っていた。
一人の仲間のために、これだけ勇気を出したうちたちには。
ちゃんとご褒美があるよね。
続く。