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空を飛び立つ僕
僕はいつもいつも同じところにいる。似たような仲間がいるだけで、足が鎖のように重く。風に名前を忘れさせられたかのような毎日で、僕はただただ風に揺られているだけの存在だろうか。
今日はまた、新しい仲間が来て仲間が減っていく。僕はそれをずっと眺めているだけで、つまらない日々を送っている時に風かなんなのかわからないけどちょっと体が動いた気がした。でも、まだ自由に動けるわけじゃなかった。
いつもと同じようなことを考えている、その時だ
ふわっと体が軽くなった、何かのように。思い出せないが鎖のような足もこんな太っている見た目でも軽くなって上へ上へ持ってかれる。
「ああ〜風船が〜」と小さな少女が僕に手を伸ばして大きく言った。
「そういえば僕は風船って名前だったな」。だからこんな見た目でも体が軽いんだろうか。
僕は、風に乗って飛び立っていた。ハヤブサのように風に乗って速く、空高く、僕の夢が達した気がした。