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0. 過去に囚われた私たち
人間。
天使に、悪魔。
獣人、人魚、魔女……。
この世界には、|幾千《いくせん》の種族が共存する。
ある地では、美しい木々が視界を埋め尽くし。
ある地では、たっぷりの農作物を育てている。
種族、家系関係なく、手を取って助け合い、楽しげに語り合う。
その姿はキラキラと輝いて見える。
だが。
──そんなもの、ただの上部に過ぎない。
他種族で戦争をして。種族同士をも争って。
自他を守るため作られた能力や兵器が、人を殺めるために使われるような。
醜く、穢れた世界。
本当の世界で生きる者たちは、辛く苦しい過去を持つ。
そして、|過去《そこ》に囚われたままでいる。
そんな世界にどこからともなく現れた──
「僕の名前……そうだな、レイスとでも呼んでおくれ。」
──真っ黒なローブを被った、レイスと名乗る者。
これは、彼──もしくは彼女が──
『その悩み、僕が解決してみせるさ。』
──過去に囚われた者たちを救うお話。
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「信じてほしいのに、信じてもらえない……。」
信頼を求める天使。
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「ヴァンパイアなんて、俺を生み出した【悪の生み親】だ。」
|同族《ヴァンパイア》に怯え、人間に懐いた、ヴァンパイアと天使のハーフ。
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「死ぬなら、気に食わない奴全員殺してからにしようと思いまして。」
家族に虐待され、さらには実験体にもされた、悪魔の吸血鬼のハーフ。
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「|麿《まろ》は……化け物ではない。悪魔でもない。」
同族以外を信用できぬ竜人。
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「僕なんかに話しかけない方がいいですよ。バケモノなので。」
バケモノと呼ばれた人間。
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「勝手に実験体にさせられて、"いらなくなったから"って捨てられて……。」
実験によって不老不死となった、元人間の鳥人族。
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「……どうせみんなだって、同じなんでしょ。」
己を『大丈夫』と偽る、悪魔と人間のハーフ。
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「なんで俺なんかを庇ったんだよ……。」
仲間に裏切られ、そして守られた獣人。
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「俺が彼女を殺すわけないだろ……。会いてぇな……。」
冤罪をかけられて以来、同族との関わりを断った|不死鳥《フェニックス》と吸血鬼のハーフ。
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「みんなが幸せになれれば、それでいいの。」
呪いに|蝕《むしば》まれながら、他人の幸せを願う極彩極楽蝶。
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「過去に囚われた者たちの悩みを解決させる。それが僕の使命さ。」
突如現れ、謎めいた発言をするミステリアスな██。
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彼らは、過去に囚われている。
「過去に囚われた私たち。」
今のところ、完成した一週間後18時に予約投稿していくつもりです。