魔物が悪なんて誰が言いました？#26

純粋神視点 純粋神「はぁ……はぁ………」 あれからエスとエルを相手にして数分が経った。 流石に二対一では分が悪く、攻撃を避けるので精いっぱいだ。 エス「もう終わりにしない？疲れただろ？」 純粋神「はぁ…終わるわけ、ないじゃんッ！」 そうなったら、この二人は他の味方に危害を及ぼす。 それだけは、絶対に駄目だ……！！ エル「………」 純粋神「はぁ…………はぁ………」 エス「……一体何があんたをそこまで突き立てるんだか」 純粋神「悪いね……僕は諦めが悪いんだ。邪神は邪神らしく、最後まで足掻くんだよ！」 エル「…………（意味わかんない……）」 純粋神「ふぅ……『駆使能力』」 エス「！？（俺のチェンソーが……！？）」 エル「！？（ナイフが……！！？）」 駆使能力……それは僕が神だったころからの能力の一つ。 人や物を、僕の意思で操ることが出来る。 そして、僕はそれを利用し、彼らの武器を奪う事にした。 これで、ある程度は虚勢出来たか………？ エス「………しょうがないな……エル」 エル「……………ｺｸﾘ」 純粋神「………？（なんだ…………？）」 指示を出されたエルは1歩、2歩と後ろへ下がる。 純粋神（何かを企んでるのは間違いない………けど……） 一体……何をする気なんだ…？ エス「あの人に言われただけだから、あんまり痛めつけるわけじゃなかったけど、これ以上抵抗されても困るから、これくらいしないと、な！」 純粋神「…………？」 あれは……本…？ エス「『引用・｜炎槍《えんそう》』」 エスがそう唱えた瞬間、目の前が炎で出来た槍で包まれる。 純粋神「！まずっ＿＿」 死にはしないだろうけど、致命的なダメージは避けられない。 とにかく、槍もない上に飛んで…！ エル「ｼｭﾀｯ…」 純粋神「！？」 嘘だろ、こいつ＿＿ エル「ﾌﾞﾝｯ!」 純粋神「ぐっ……！」 くっそ………これが狙いだったか…………！ 逃げ道を一手に塞いでしまえば、そこに獲物が逃げ込むのは確実。 であれば、そこで襲いかかれば、 エス「エル、よくやった」 エル「……………」 エルに不意打ちを食らった僕は、床に倒れ、立ち上がることができなかった。 ｯ………こんな所で終わる訳にはいかないっていうのに……！！ ……あぁ…こんな時に、助けてくれる誰かがいてくれたら、なぁ…………。 ﾊﾞﾝｯ!!!! 淡い希望を抱いていると、突然大きな音が部屋中に響く。 ｜二人《エス＆エル》「！？」 ​純粋神「………！！」 もしかして……………！！ 純粋神「ディーア、ジェリアｯ！！ﾎﾟﾛｯ」 --- ディーア視点 皆のもとに戻り、部屋の扉を開けると、そこに広がるは激戦の数々だった。 クリスとイフリートは一対一で、 カリーとカナタは一人ずつ相手に、 マラ、ラフェル、サリジエが二人を相手に、 純粋神、そしてエスとエルは……、 ディーア「！！」 ジェリア「！あれは………」 少し遠くに見えた。 純粋神が…エスとエルの二人の前で倒れているところを、 ピア「エスおにいちゃん…エルおにいちゃん……？」 ピアは、今この場で何が起きているのかあまりよく分からない様子だった。 ディーア「………そうか」 ｜彼ら《エス＆エル》は、裏切るためだったのか……。 いや、よく考えれば、裏切りもあり得た。 これは、完全に騙されてしまったな………。 とにかく、純粋神を助けに＿＿ ﾀｯ ディーア「ジェ、ジェリア！？」 ジェリア「ごめんディーア。純粋神は任せて、他の皆を、ピアちゃんを頼んだ」 いつもより低い声で、こちらを振り向かず言い出す。 その視線の先には、…………。 ディーア「分かった」 ジェリアがこんなに怒ることもあるだなんて、長い間近くに居ても、そんな事はなかったからな………。 ディーア「頼まれたからには、やってやるさ」 ピア「…………？」 ディーア「ピア、行くぞ」 ピア「！…うん！」 さぁ、反撃の｜時間《とき》だ