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ボクだけのキミ、愛す。 #6
夕暮れの街並み。
望月結は、学校からの帰り道をゆっくりと歩いていた。
空は淡いオレンジ色に染まり、風が頬を撫でる。
だが、結の胸は重く、心の中のモヤは晴れなかった。
(最近、司くんが怖いくらいに私を束縛する……)
彼の独占欲は日に日に強くなり、時に息苦しささえ感じるほどだった。
「もっと自由が欲しい……」
その思いを言葉にすることはできず、結は目を伏せた。
家に着くと、すでにリビングには御影司が座っていた。
彼の鋭い視線が結を捉え、空気が一気に張り詰める。
「遅かったな」
司の声は冷たく、硬い。
結はおずおずと口を開いた。
「司くん……私、少しだけ距離を置きたい」
その言葉に、司の表情が一変した。
「距離を置くだと?そんなこと許されると思うな」
「でも、私……息が詰まるの」
「お前は俺のものだ。誰にも渡さない」
司の声は強く、命令のように響く。
その夜、結は自室のベッドに座り込み、涙を流していた。
胸の内の不安と寂しさがあふれ、どうしようもなかった。
「こんなに苦しいのに、離れられないなんて……」
その時、ドアが静かにノックされた。
「結、話そう」
司の低い声が響く。
結は震える手でドアを開けた。
司は申し訳なさそうに目を伏せながらも、強い決意を感じさせた。
「俺はお前が誰よりも大事だ」
「でも、そのせいでお前を苦しめてしまった」
「俺は独占欲に溺れていた」
結は驚きと共に、少しだけ心が軽くなった。
「司くん……」
司は結の手を取り、強く握った。
「これからはお前の気持ちをもっと大事にする。ゆっくりでいい、一緒に歩こう」
結は涙を拭い、うなずいた。
「うん、私も司くんと向き合いたい」
二人は抱き合い、初めて心の距離が少しだけ縮まった。
翌朝。
朝日が差し込む部屋で、結は窓の外を見つめていた。
「これから、私たちはどうなるんだろう」
不安もあったが、少しだけ希望も感じていた。
司もきっと、変わってくれると信じたい。