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不思議な世界と小さな冒険
小学生に読み聞かせするようなめちゃ童話っぽいお話です……すみません
「大河っ、待っててって言ったでしょ!」
「桜のことずっと待ってたら学校に遅刻するに決まってるだろ!遅刻はしない方がいい成績をもらえるんだよ!」
「大河のケチ!一回ぐらい遅刻したって大丈夫でしょ!というかそもそもそれほど私遅くないし!べーだ!」
「なんだよー!」
私の名前は、「桜」で、森の中に住んでいる小学六年生。
こいつは「大河」。同じく森の中に住んでいる小六だ。それで、私の幼馴染なんだけど、ほんっと、意地悪しかしてこないし!私の怒りの素、と言える。ついでに言えば、私よりも運動も勉強もできて威張ってるし、ほんっと、嫌なやつ!運動も勉強も私の方ができないからこそ、言い返せないし〜…!
私の方が、テスト勉強とか、がんばってるのにぃ…!全然勉強してなくても100点取れる奴、うらやましー!
抜き打ちテストとか、すごい困るけど、あいつは一位だもんねぇ…多分そこなんだ、あいつのほうがよく評価されてるところは!
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放課後。家に帰ろうとすると、大河がついてきた。
「なんでついてくるのよっ!」
「今日は俺、桜の家に行くから。」
「なんでっ、やだ!」
「やだって、ひど!」
「ううう…。」
「なに泣いてんのさ、さっさと行こう?」
「泣いてるのは大河が原因なの!もうやだ、ほっといて!」
いくら走って撒こうと思っても、大河の方が運動神経がいい分、すぐに追いつかれてしまう。
「今日から、お前んちが俺の家になるの!」
「嫌だ嫌だ、そんなの!なんでいつの間にそうなってるの?」
「お前ん家、お母さんしかいないだろ?だからうちも父さんしかいないからさ、再婚したんだよ。」
「えぇぇえ!そんなことやるなら私に言って欲しかったなぁ!私絶対そしたら断ったからね!
私、そのこと認めないから!」
勿論、大河はついてきた。今日から大河一家と暮らすなんて…絶対やだ!
帰ってからは、しばらく我慢していた。でも、やっぱり、とても嫌!
真夜中に、こっそり家から出て、そこで落ち着いてから戻ってこようと、そう計画した。
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真夜中。私は、こっそりとベッドを出て、誰もいないことを確認してから、ゆっくりと2階の自分の部屋から降りていく。私は、誰にも見られていないと思ったが、ベッドを出て、家から出ていく様子を見ている人影が、一つ、あったのだ。私は、気づいていなかったのだが。
…さて、少し話が切り替わるが、この森は、夜の森といって、夜、凶暴な生物が暴れる森だった。
勿論、私はそんなこと知らなかったんだけどね。
外に出て、陰でゆっくり休もうと腰かけた時。
「グルル…ガルル…」
と、動物の声が聞こえてきたのだ。私は驚いたが、その時にはもう手遅れだった。すぐそこに、凶暴で良く知られる動物が、たくさんいた。主に、オオカミとか、クマとかだ。
私は、本当に、絶体絶命だったわけだった。私は、一つ空いていた道を見つけて、そこから逃げ出した。
だが、家からはどんどん離れていってしまっていた。どんどんと進んでいくと、追い詰められた。
逃げ出した先には、海があった。この森は、海と繋がっているのだ。その時。
ガサッと音がして。
(あぁ、もっと来たのか、凶暴な動物が。)
と、諦めて音が鳴った方角を見た時。
そこから出てきたのは。
「た、大河…?」
そう、出てきたのは大河、だった。
大河はブンブンと木の棒を振るって、動物たちを叩いたり、落とし穴を作って中に誘導したりと、うまく動物を追い払っていた。私も、それに便乗して動物を引きつけたりした。
そして私たちは、いつしか疲れ果てて眠っていた。
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目覚めると、そこは妖精が住む、綺麗な街だった。だが、ここは天国ではない。
なのに、天国ほどに綺麗な花畑があるのだった。
「ここは、夜の森(私たちが住む森)の横にある、幻の街です。いつもは霞や霧で包まれていて、人間は誰一人たどり着けません。ですが、たまにやってくるのですが、貴方達は違うようですね。どうやってきたんですか?」
「それが…私達もわからないんです。」
と、私は答えた。
「私たちは、もどれないんでしょうか?このまま、この街で暮らすほかないんでしょうか?」
「いえ、戻りたいのならば、私達が戻してあげることができます。ですが、またいつ来れるかわかりませんし、もう2度と来れないかもしれません。この花をどうぞ。綺麗な七色に光る、決して枯れない大切な花。
ここでしか見ることはできません。これを、お土産として差し上げましょう。それでは、またいつか、会えるといいですね_____」
私たちの意識は、そこまでで薄れていって、気を失った。
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「……ら……が…くら…いが…」
小さな、よく意味がわからない言葉。私は、その声で目を覚ました。
「桜!大河!起きたのね!もう…死んじゃったのかと思ったわ…。」
目を開けて一番はじめに目に入ってきたのは、お母さんたちの笑顔だった。
「今朝、家の前に倒れていたんだよ。」
とお父さんに言われて、さっきのは夢だったのか、と自分の手を覗き込んだ。
そこには、確かにあの、七色に光る花が、握られていた。
横を見ると、大河も手を覗き込み、驚いていた。
そして、大河と私は顔を見合わせて、笑い合った。
「夢じゃなかったね。」、と。
END
初めて2000文字超えた。2163文字。長すぎ。
長すぎてすみません。スクロールお疲れ様でした…