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水の使い手
これを書いた時 希初はテスト帰りだったので 文章がめちゃくちゃでも 許してください。
「アクア。よく働いたから休んできなさい」
「はい。ありがとうございます」
ルーナに言われ、アクアは自室へ戻った。
誰もいない部屋。棚から本を取り出し、ベッドに座って読む。
アクアは孤児だ。物心ついた頃から神殿の孤児院に住んでいて、洗礼を受けた頃からずっとルーナに仕えている。ルーナは神殿の上級巫女で、アクアが任されるのは身の回りの世話である。
ルーナは流れるような銀髪と薄い赤の目を持ち、物語のなかに出てくるような美しい顔立ちをしている。それに加えて教養があり舞が上手だったために、神殿に一生住むことになったのだ。
(気の毒な方)
アクアはずっとそう思っていた。ルーナが窓の外に目をやっては寂しそうな表情をするのを知っている。ルーナの両親にとって、彼女の価値はお金しかないのだ。いくら彼女が寂しくても、そんなことはどうでもいいのだろう。
7歳の時からずっと仕えていたルーナを、アクアは尊敬していた。上級貴族の出だからと横柄な態度を取ったりせず、側近を大切にしてくれる彼女にいつまでも仕えたいと思っている。
アクアは本を閉じて、庭園へ向かう。
綺麗に手入れされた神殿の庭には、丁寧に植えられた綺麗な花が咲いている。
アクアは泉にぴちゃりと指先を入れた。
アクアには誰にも言えない秘密がある。
それは、アクアが水の使い手であること。
そっと水をかき混ぜると、泉全体が波打つ。手首まで水に浸からせれば、泉はしんと静まりかえる。泉の水はアクアに連動するように動く。
火、水、風、土。
神話にでてくる「使い手」の力は、聖女よりも強い。しかし、魔力を持たない平民しかなれず、この国には4人しか存在しない。一つの属性につき一人。
四神が宿ったとされる「使い手」に、自分がなってしまったのだ。
アクアは洗礼式前、散歩中に湖に落ちたことがある。服が水を吸ってどんどん沈んで行き、幼子の頭でやんわりと死を悟った。暗くなるにつれだんだんと意識が落ちて、気づいたら岸辺にいた。
年嵩の孤児は「水の女神ファンテーヌ様がお救いなさったのだ」と祈り出していたが、アクアよりも幼い孤児は、「水がアクアを持ち上げていた」と言っていた。奇跡が起きたのかな、くらいに思っていたアクアが自分の能力に気づいたのは3年後だった。
(よく考えれば、あの時水の中で息ができたことに気づけたはずね)
ルーナの隣の部屋がアクアの自室だ。ふかふかのベッドでぐっすり眠ったアクアは、気を引き締める。
午後からの奉納舞のために、ルーナの側近は大忙しだった。
朝食をとったルーナに衣装を着せ、髪を結い、小物を持たせる。舞に使う道具を小箱に入れては神殿の礼拝室へ運び、儀式の支度をする。
アクアはルーナのアクセサリーを選んでいた。
薄い水色の衣装は、透明なビーズが散りばめられ、細やかな刺繍がされている。派手に思えるほど豪華なワンピースは、美しいルーナが着ると自然に見えた。編み込みのハーフアップにされた髪は、彼女が動くたびにさらりと揺れる。
アクアはたくさんあるカチューシャの中から、サファイアとダイアモンドのものを取り出した。
(奉納舞だから、こんなにも飾り立てるのかしら)
ルーナはいつもと変わらない笑顔をしているが、瞳には疲れが表れている。彼女が毎日何時間も練習していたことを、アクアは知っていた。カチューシャをのせて、精一杯微笑む。
「ルーナ様、とてもお似合いです」
ルーナは少しだけ頬を緩めた。
「アクアも綺麗よ。私が衣装を選んだ甲斐があったわ」
午後の奉納舞で、アクアは神具を用意する係だった。
神殿には幾人もの平民が集まり、結界が張られた舞台の下に立っている。
ルーナは水の女神ファンテーヌの位置で舞う。
3つ年上のルーナはまだ20歳にも満たない。神殿に来たのが10歳の時だから、今はまだ17歳のはずだ。一生結婚できないということを、10歳の時に決められたのだ――。そう思うと、胸が締め付けられる感じがした。
舞台の袖で緊張している様子のルーナに、アクアはそっと神具の杖を渡す。いってらっしゃいませ、というとルーナはゆっくりと微笑んだ。
四人の巫女が舞台に立ち、楽師が曲を奏でる。赤、青、緑、黄、4つの色をまとった巫女達はゆっくりと舞い始めた。火の神と風の神は男性なので、二人の巫女は暖炉の女神と空の女神の役だ。
(ルーナ様、とても綺麗......)
ルーナの銀髪が舞うたびにさらりと揺れ、神具からこぼれる青色の魔力が美しさを引き立てる。軽く伏せられた睫毛は長く、細い指先が滑らかに動く。
この国では珍しい銀の髪。艷やかで、さらさらで。なんて素敵な髪だろう、と思った時、幼い頃ルーナに自分の水色の髪を褒めてもらったことを思い出した。深いブルーのこのワンピースも、彼女がわざわざ自費で作ってくれたものだ。
(ルーナ様に仕えられて良かった)
奉納舞の頃、王都では聖女の儀式が行われているはずだ。聖女の祈りと共にこの気持ちが届いたらいいな、とアクアは思った。
翌日の朝、側近仲間たちの悲鳴でアクアは飛び起きた。
彼女達に呼ばれ、慌てて着替えて外に出ると、庭園が枯れていた。
(嘘......)
泉の水は水たまり程度になり、昨日まで色とりどりの花を咲かせていた植物は茶色く干からびている。緑は消え、照りつける朝日だけが見える。
いつからこんなことに、と言う側近の声がだんだん遠くなり、アクアはその場に倒れた。
え? 主人公の名前が予告と違う? その通りでs......こほん、気の所為です。見てご覧なさい、予告の名前もアクアになっていますよ。
(変えましたすみません)