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3.家族
赤々と燃える燈籠が不気味な光を放つ、地獄の一角。
不気味な赤提灯が灯るその場所で、白鷺 姫路、亀岡 淡路、障子目 連の3人は、今日も地獄の仕事をこなしていた。
「淡路、連。次あそこ行こう!」
姫路が少し弾んだ声で指さす。
彼女は亡者の心を読み解く長壁姫の能力で、尋問官として鋭い質問を投げかける。しかし、その瞳は、妹の淡路に向けられるときだけ、慈愛に満ちた優しい光を宿す。
「え、ちょ姉様待って!」
淡路が姉の後を追う。
彼女は亀姫の力で亡者の過去を予言し、秦広王のもとで裁きの補助をしていた。天真爛漫なその姿は、地獄の暗闇の中で一際明るく輝いている。
「私、2人の邪魔じゃない?大丈夫?」
不意に不安げな声でそう尋ねる淡路に、姫路はふわりと微笑んだ。
「ううん、淡路は邪魔じゃない。大丈夫。むしろ、淡路がいてくれるから、私は頑張れるんだから。」
その言葉に、淡路の顔がぱっと明るくなる。
その後ろを、静かに連がついていく。
彼は目目連として、触れたものに目を生やし、亡者の動きを監視する役目を負っていた。その無口で大人しい姿は、二人を優しく見守る兄のようでもあった。
「…待って姫ちゃん、走ると危ないから…」
いつものように駆けていく姫路に、連が優しい声で呼びかける。
「大丈夫、私はもう人間じゃないから」
姫路はそう言って微笑んだが、連は静かに彼女の腰に手を回し、自分の方へ引き寄せた。
「でも、大切なのは変わらない。」
その言葉に、姫路の頬がほんのり赤くなる。
連と姫路は恋人同士。
人間時代に部下の裏切りによって城を失い、自らの手で裏切り者を殺したという、誰にも言えない痛みを共有している。
「…淡ちゃん、大丈夫。むしろ、淡ちゃんがいてくれたほうが楽しいよ?」
連の言葉に、淡路は少し照れくさそうに笑った。
地獄という過酷な場所で、彼らは家族であり、恋人であり、互いに支え合う仲間だ。
生前の辛い過去も、地獄での重い仕事も、この三人でいる時だけは、少しだけ和らいでいく。
自カプ書くの楽しい