公開中
24:ミニマムヒール
カレーも食べ終わったことだし、昼休みだ!
さっきの出来事を振り払うように私は明るく話しかける。
「ですね。昼休みは……基本的に、何をしてもいい、とか。」
うん。絵を描いたり、外で遊んだり、図書室に行ったり。
「図書室に行ったり!?ですか!」
図書室ぐらいあるよ、流石にね。
「本です!本屋さん以来の本です!」
本屋さん、って言っても、ついこの前だけど。
非常にワクワクした様子で図書室へと案内板を見て行き方を確認するヒメさん。と、そのとき、突然視界がよろめいて驚く。
大丈夫?まだ、傷が痛むとか?
「はい、少しだけですけどね。」
そ、そういえば!何だか前に、「治癒魔法」とか「生命魔法」って言ってたよね!まさか、使えたりって……?
「い、一応は、出来ます。」
転生チート来た!ふふふ、こういう転生モノといえばチート魔法!ハーレム!……は今回ないけれど、チート魔法路線きたかもしれない。私、大魔法使いとかそういう肩書きもらったりするかも!?
「最低級魔法、ですけどね……。」
あっ。
……前に聞いたじゃん私の馬鹿!ハンバーガー食べた時に聞いちゃったじゃん!なんで?私は馬鹿なの?馬鹿だね!
「も、もももしかしたら、の話ですよ?その、わたしは今ナツキさんの体をお借りしてるわけですよね。つまり、この体でなら治癒魔法も、もうちょっと強く扱えるかも、ですよ?」
マジですか?
「……たぶん?」
よーし!やる気出た!いっちょやってみよう、治癒魔術。
目の前に意識を集中させる。音が消えていく。
「せーのでいきますよ?一応、その、わたしだけだとダメかもしれないので。」
よし。準備OKだよ。
「せーの」
ミニマムヒール!
「ミニマムヒール!」
……絆創膏貼ってるから何も分からない!
「そ、そうでしたね。では、剥がしてみますよ。」
よろしくお願いします。ちゃんと出来てるかな。これで治せてなかったら私には魔法の才能がなかったということ。流石に悲しいよ。
「わたしよりは絶対にうまく行っているはずですよ!その、わたしは魔法使いの中でも底辺ですので。」
そんなことない……う、うわっ!?
ちゃんと治ってた。なんならもう痛みはないけどあざになっていたところまで治ってた。
「おかしいです。せいぜい治りを早くする程度なのに。」
調子乗っていい!?私たち2人は最強!はっはっはー!
やっぱり、全然底辺なんてことなかったじゃん、ヒメさん。