公開中
2
「まりー、明日遊べるよね?」
あー、やっぱそうだよね。この前の休み2週間前だもんな。
「何時頃?時間によってはムリかも」
「朝イチで夢の国〜。行ける?」
待ち合わせ場所に近いし大丈夫か。
「11時から予定あるから、それまでだったらいいよ〜」
「おっけー。じゃあ、後でまたLINEするね」
「はーい」
疲れた…。なんでせっかくの休日にこんな朝早くから出かけないといけないんだ。
なんて愚痴を吐きながら、あの古着屋へと向かう。
「あ、遅かったですか??」
「ううん、今来た時だし大丈夫だよ」
「良かったです!じゃあ、行きましょうか」
2人で歩き始める。
しばらく歩いていると、店長が声をかけてきた。「ねぇ、先にご飯食べてかない?あたしお腹空いてんだよね」
「いいですよ、私も朝から外で出てて、お腹空いてますし」
「やった。なんか食べれないもんある?あたし行きたいとこあってさぁ」
「何でも食べれるんで、どこでも大丈夫です!」
と話していると、おしゃれなカフェに着いた。
席につき、メニューを眺めていると、店長からの視線を感じる。
「どうかしました、?」
「今日、最初から思ってたんだけどさ、服いつもと違くない?」
私がいつも店長と会っているときは古着だけど、今日は量産型っぽい服を着ていた。
そりゃ、違和感に思うよね。
「えっと、今日友達と遊んでたんで」
「なんで、友達と遊ぶときはいつもと違う服着るの?」
この前と同じだ。私の中まで見透かされてるような気がする。
「だって、変だって言われるから。1回いつもみたいな服着てったら、『変だ』『可愛くない』って言われて」
「自分の趣味バカにする奴とまで仲良くしなきゃなんないの?今の高校生って大変だね〜。それより、名前教えてくんない?ずっと君って呼ぶの違和感あるし」
「えっ!?このままズケズケ聞いてって店長さんがズバッと解決!みたいな展開じゃないんですか??」
思わずそう聞く。だって私の周りの店長さんみたいな大人の女性に憧れてる人、もっとズケズケ、ゴチャゴチャ言ってくるから。
「何で好きでもないのに人の人間関係あたしが狭めなきゃなんないのよ。あたしは、なんでいつもと違う服着てんのか、なんで友達と遊ぶときはいつもと違う服着なきゃなんないのか、それが気になったから聞いた、それだけ。他のことにキョーミない」
そう言い切る姿を見てカッコいいな、そう思った。
私もいつかこんな大人な女性になりたい。
「あ、名前でしたね。茉莉花です。南茉莉花」
「へぇ、かわいい名前だね。『まりか』じゃなくて『まつりか』ってとことか。あたしそのセンス好き。ジャスミンから?」
親以外にそんな事始めて言われた。みんな「なんでわざわざ『まつりか』なの?『まりか』で良くない?」って言うのに。
私はこの名前、結構気に入ってたから嬉しいな。
「そうです、親がジャスミン好きで」
「いいねぇ、あたしも昔、娘が生まれたら『ジャスミン』って付けようと思ってたもん」
「さすがにそれはちょっとキラキラすぎません?『まりか』とか『まつりか』でジャスミン呼びとかで良いじゃないですか」
「天才じゃん。じゃあ、これから君のこと『ジャスミンちゃん』って呼ぶよ。あたしの名前は菫だよ
、清瀬菫。似合わないよね〜」
「素敵な名前じゃないですか。菫なら、ヴァイオレットさんですね。」
「50年弱生きてきて、初めて言われたなぁ。これからよろしくね、ジャスミンちゃん」
冒頭でも「まり」呼びしてる通り、ジャスミンちゃんの仲良しな子は「まつりか」って変なのぉ。って思ってるタイプですね。
ジャスミン、ヴァイオレット呼びを閃いたのはですね、弟が「特捜戦隊デカレンジャー」を見てたからですね。デカイエローが礼紋茉莉花っていう名前なんですけど、みんなに「ジャスミン」って呼ばれてるんですよ。
それ可愛いなぁ、使えないかなぁって思って。