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フィドゥス アモル
⚠ 注意 ⚠
集合体
グロ
鬱
重い
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「……」
なにも履いていない足から床の冷たさが伝わってきて、私は目をあけた。
周りには錆びた鉄の壁と、少しだけ空いている窓に鉄格子。
手には、鎖、足には重そうな鉄球がついている。
私は悟った、 "捕まった" のだと。
だが、私には なんの後悔も悲しみも湧いてこなかった。
ここに来ることこそが、私の 本望 なのだから。
ここに永遠に閉じこめられてもいい。
彼女のためならば どんなことでもやり遂げられる。
── やり遂げて "みせる"
私のこころには炎が灯っているようにあつくて大きい想いがあった。
ふと、なにやら聞き慣れた足音が聞こえる。
それを聞くなり、私は思わず笑顔になってしまう。
そう、その足音が彼女なのだと分かったから。
「フイちゃん!大丈夫!?」
彼女がこんなところまで来てくれるとは思っていなかった。
愛しいあの子。
ただ純粋で美しい。
「……えぇ 大丈夫よ。特に怪我も無いし…」
「良かった……!!」
心配そうな顔から笑顔に変わった。
その彼女の顔がこの世のなによりも好きだ。
そうすると彼女は檻を壊し、私を出してくれる。
そして足並みをそろえて、外へ走り出した。
---
私たちはいつもいる場所に戻ってくる。
「あー!やっと帰ってきた!!あんた そんなんで捕まってるんじゃないわよ!」
「まぁまぁ アルさん 落ち着いて」
「……申し訳なかったわね」
「なによ そのいいかた!!」
「アルちゃん落ち着いて!」
「……わかったよ…」
別に話したい訳でもない相手と
おもしろくもない会話をして、
おもしろくもない笑い声をあげる。
わたしにとって、この人たちとの会話なんて
そんなものだ。
どうでもいい。
あの子が あの子さえいてくれれば、
私は、私は! 救われる!! 幸せに、なれる。。。
そう、思っていた。
…思ってきた。
---
「ッ……!!」
思わず、相手から見えない位置で背を向けてしゃがみ込む。
そして"私という存在"に気づかれぬよう、口に手を強く当て、ひっそりと息をする。
だが、その、隠したい、という気持ちと裏腹に、鼓動は早くなり、「呼吸」という、どうでもいい命を繋ぐための動作の音ばかりが強くなる。
「それじゃあ、この作戦は、来週の決行でいいね?」
「えぇ、いいよ。まぁもっともほんとうなら、もっと早く "あいつ" を殺したいものなのだけどね。」
「まぁ、あんなのと一緒に生活するのが、今週いっぱいだと思えば、楽じゃない?」
「…それもそうね、。 とにかく、来週を楽しみにしているわ。」
「うん、私も。」
そう言って、彼女たちは微笑み合う。
一見すれば、仲睦まじく、微笑ましい光景だが、中身を見れば、悪魔とおなじだ。
"彼女" は信じていたのに。
愛していたのに。
あいつらは裏切った。
"彼女" のことを
愛してなどいなかった。
どうして?
どうして、そんなことをするの?
どうして?
どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして
私の中の、何かが壊れる音がした。
-- 殺らなくてはいけない。
今、始末して置かなければならない。
そう、心の中の私が、後ろにせまる、神様が、
…… 「悪魔」 が。
そう言っている気がした。
「さ、そうと決まれば、今日は早く帰って、休めましょう。」
「そうだね。」
そうやって、歩き始めたあいつらの前に、
私は立ちはだかった。
「なによ、あんた? また 私たちの邪魔するつもり? もうこりごりなんだけど……」
それ が、言葉も言い終わらないうちに、
私は それ のほほを、思いっきり殴る。
そうすると、まだ 変身もしていないというのに、かなりの力が出て、私が殴ったかたほうの女は壁に思いっきりぶつかって、意識をもうろうとさせている。
「!? ちょっ ちょっとあなた! 何しているの?!」
そう、慌てた様子で殴った方の女に駆け寄ろうとするその女を見て、反吐がでる。
が、またとても愉快で、 不思議と笑みが零れた。
それを見た女は、私の顔が余程不気味だったのか、顔を酷くひきつらせた。
「やめなさい!! 前から怪しいとは思っていたけど… 貴女…、私たちと仲良くする気なんてなかったのね……?」
「……そんなことはないわ。 私は…輪を乱すようなものを制裁しに来ただけ。今、やめるなら、見逃してあげるわ。」
そういうと、殴られた方の女がふいに喋った。
「…わかるわ、。 あんたの嘘くらい。 あんたの言っていることは嘘よ。 制裁しに来たわけじゃないし、今更やめたところで見逃す気なんてないんでしょ、?」
…
「…そう、残念だわ、。 もう少し話の通じる人たちだと思っていたのに。」
そうやって悲観にくれてもしょうがない。
私は、腕を上にあげ、大きく振りかぶった。
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〇 "彼女" 視点
ガシャー――ンッ
ビチャッ
ボタボタ…
そんな、どこか物騒な音が聞こえた気がして、ふいに後ろを振り返った。
私は、ひとりで廊下を歩いていたため、後ろは夕方の、どこか薄ら暗い静かな、ただの廊下だった。
だが、私はなんだか悪い予感がして、気づけば走り出していた。
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その地獄絵図のような光景を目に入れて、思わず顔を大きく引きつらせる。
「ッ…?!?! フイ…ちゃ…… これ、、どうい…う……。。。」
目の前には、髪も手も服もどこか血まみれで、私に背を向けたままのフイちゃんがいた。
その奥には、ぐちゃぐちゃで、もう原型もないくらいの血まみれの肉塊が転がっていた。
それの元の姿がなんだったのか、わかっていたけど、頭がわかりたくないと、理解したくないと、警報を鳴らしている。
フイちゃんが、ゆっくりとこちらを向いた。
その顔には、すっきりした、というような私にとっては不気味で、フイちゃんにとってはきっと、再考に美しい ”笑顔” があった。
こんな状況で、ましてや人の前で、こんな顔をしているフイちゃんがそのときの私にはとても怖く、悪魔のように見えて、今にでも逃げ出してしまいそうだった。
いや、逃げ出してしまいたかった。
でも、それがだめだ、ということは私が、私自身が一番よくわかっていた。
「あぁ…… マノ…‼ わたし、やったのよ、! ようやくやったの‼ あなたを…貴女という宝石を汚す、影を…! ついに、消すことができ…」
フイちゃんは、そこまで言って、私の異変に気付く。
「マノ…? どうしてそんなに嫌そうな顔をするの? 恐怖におびえた顔をするの? ねぇ、どうして…? ……わたし、あなたのために、、あなたの、…」
「…フイちゃん、、だめだよ……。 こんなことしたら……、、。」
そういうと、フイちゃんは、自分の過ちに気づこうとしているように、血に染まった手と、床に転がる肉塊を少しの間流れた。
フイちゃんの手からゆっくりと滴り落ちる血も、本来より、何倍も遅く見えた。
時が止まったかのように、時間がゆっくりと流れたように感じた。
すると、ふっと彼女が私の顔を見つめてきた。
何を、彼女は何を見ようとしているのだろうか。
その途中で、彼女がまたもや笑った。
だがその笑顔は、さきほどまでのものとは、もう別のものだった。
さきほどまでの笑顔ではなく、問題を間違えてしまった子供が、答えをすがるような、そんな笑顔だった。
私はその笑顔に心底心の底を震わされ、恐怖に支配され、思わずフイちゃんに背を向けて走り出した。
そしてそのまま家に帰った。
このとき、なんといえばよかったのか、どうするのが正解だったのか、私にはわからないけれど、もう私にはどうすることもできなかった。
とはいっても、彼女のことが、なかなか心の中から離れなかった。
まるで、彼女に支配されているようだった。
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〇フイ視点
次の日、学校になんのけなしに行くと、 "彼女" はいなかった。
そして当然ながら、あの二人もおらず、そのことについて、何か知っている生徒たちが、なにやらこそこそと話している。
…心底気味が悪い。
そんなことより、 "彼女" がいないことが私の心を止めた。
どうしてだろうか、?
ようやく、私たちを邪魔する 「邪魔者」 はいなくなったというのに。
頭が疑問で埋め尽くされる。
いつの間にか朝の学活の時間になった。
その時間になっても、 "彼女" はこなかった。
そして、先生が残念そうな顔で言った。
「訃報だ…。 このクラスの、三田 さな、麻田 あみ。 この2人の遺体らしきものが、昨日 学校で発見された。」
やはり、か。
私は、そう思った。
他のみんな …… 特に、あの2人と仲が良かったであろう生徒たちが、驚きを隠せておらず、思わず、涙を流しているものまでいた。
私は、そんなものたちから目を逸らした。
いつもと何変わらぬ顔で窓の外を眺めた。
あんなやつらのこと、どうでも良かった。
…… 本当だったら、もっと早く殺してやりたかった。
だけど 、 "彼女" が、 あの|娘《こ》 が悲しむ顔が見たくない。
その一心で、ずっと我慢してきた。
それも昨日で終わりだ。
クラスメイトが死んだというのにいつものすまし顔でいる私の様子に不満を覚えるものもいるだろう。
だが、そんなものは、ほんとうにどうでもよかった。
彼女が、私を "愛して" くれれば。
私が求めているのは、たったそれだけだ。
それがかなえられるというのならば、私はどんなものでも簡単に手放せる。
彼女がいない学校ほど、こんなつまらないものはない、そう思った。
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つまらない学校も終わり、学校からの帰り道。
気ののらない足取りで、何も考えず道を歩いていく。
ふと、少し大きな住宅街沿いの道での横の路地裏を見る。
すると、見覚えのある愛しい桜色の髪が目に入った。
「!?」
予想だにしない場所に座り込んでいる彼女をみて、私は驚き、思わず駆け寄る。
「マノ…!? あなた、なにして……」
私が近づこうとするとマノは、私の前に手をだして、制止させた。
「マノ…」
「フイちゃん…」
マノが、私の言葉をさえぎって重い口を開いた。
「私、ずっと考えてたの。 それでやっぱり思ったんだ。」
「やっぱりあんなこと**ダメ**だって、!」
…なにを、なにを…!言って……!
私、は!! 私は!!!!!
「わかってる!! わかってるよ、、! フイちゃんは、私のためにあの二人を…こっ 殺した…ことも……! 二人が、私を嫌っていた…ことも……。。。」
彼女は、マノは、わかっていた。
二人のことを。それでも、それでも…。
頭の中にたくさんの記憶が、情報があふれだしてくる。
いろんな感情がまざりあって、気持ち悪い。
気を抜いたら、倒れてしまいそうだ。
「でも、、でも!! そんなことのためにッ フイちゃんの手を汚したくなかった。」
こんな時でも、 あなた は… 他人の、 私 のことを考えて……。。。
「ッそんなことないわ!! 私はッあなたのためなら、この手なんて、汚してもいい、ちぎれてもいい、どうなってもいいわ…!!」
「フイちゃん……」
「でもね、私、もういいの。」
「それで、そんな思いを、するなら、させるくらいなら、私なんていない方がいいと思うの。」
彼女は自分の首に持っていたらしい刃を向けた。
…目の前が真っ赤になった。
この|娘《こ》は、何を言っているのだろうか?
意味が分からない。
そんな、そんなことがあってはならない。
そんなことしたって、なにもいいことなんてない。
「じゃあね、フイちゃん。」
「待って!!!!! 私ッ!! まだ!!!」
「フイちゃん、」
「**今まで、ありがとう。**」
そういった彼女は、ひと思いに、彼女の首を切った。
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最後のフイの気持ちまで書くか迷ったけど、もうすでに長いし、なんかこの終わらせ方のほうがおもろいし、ちょっとめんどく…ゲフンゲフン、から、こんな変な(?)終わらせ方になりました。
多分5000文字いきました。
読んでくれてありがとう。
多分くそ長かったと思う…。
そこは申し訳ねえ…。